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星新一（1926～1997 / SF作家）が遺した“科学”について述べた名言 [今週の防災格言713]

time 2021/08/23

『宗教は信じるものだけど、科学は理解するものだ』

星新一（1926～1997 / SF作家「ショートショートの神様」）

この格言は、９名の執筆者らが様々な観点から3.11震災を考え、若い世代に今後の生き方を問うた編著『特別授業3.11 君たちはどう生きるか～14歳の世渡り術（河出書房新社 2012年）』集録の最相葉月（ノンフィクションライター）著『理科：科学は私の中にある』より。

著者の最相葉月氏が、以前、星新一の伝記執筆のため取材で奥様にお会いした際に、聞いたとされる話として紹介されているもので、

そのときに初めて聞いた、星新一がどこにも書き残していない、奥様だけに語った言葉にはっとしました。「宗教は信じるものだけど、科学は理解するものだ」。どんな経緯（いきさつ）で発せられた言葉かはわからないのですが、大学院で化学の研究に取り組んでいた星新一らしい一言だと思いました。
原発事故のあと、科学が信じられない、という声があちこちで聞かれました。私は、みんな科学を信じていたのかと驚きました。そして、星新一の言葉を思い出しました。そう科学は信じる、信じないという対象ではなく、理解するものなのです。

―――と述べています。

星新一（ほししんいち / 本名：星親一）は、日本SFのパイオニアとして知られる小説家。小松左京、筒井康隆と並んで日本SFの御三家と称される人物。
400字詰め原稿用紙10枚程度の超短編小説「ショートショート」を生涯に1001編以上執筆し「ショートショートの神様」とも呼ばれ、「日本SF作家クラブ」創設し初代会長も務めた。

1926年（大正15年）9月6日、星製薬創業者・星一、精夫妻の長男として旧東京市本郷区駒込曙町（現・東京都文京区本駒込）で生まれる。
祖父は人類学者の小金井良精（東京大学名誉教授）、祖母は森鴎外の妹の喜美子である。
東京女子高等師範学校附属小学校（現・お茶の水女子大学附属小学校）、東京高等師範学校附属中学校（現・筑波大学附属中学校・高等学校）、旧制・東京高等学校（現・東京大学教養学部）を経て、1948年（昭和23年）東京大学農学部農芸化学科を卒業。東京大学大学院へ進学し、酒の醸造に関する世界的権威（後に文化勲章受章）である農芸化学者・坂口謹一郎（1897～1994）に師事し、1950年（昭和25年）大学院修士課程を修了。後期課程へと進学するも、1951年（昭和26年）に星製薬社長だった父親・星一が南米ペルー視察の途上のロサンゼルスで急死したため、星製薬を継ぐために大学院を中退し、星製薬社長を勤めた。しかし、この頃には経営状況は急速に悪化し、経営破綻により会社を売却するため、債務整理に追われることになった。退社後は父親の創業した星薬科大学の非常勤理事をしながら作品を執筆し、30歳のとき、1957年（昭和32年）発表の短編『セキストラ』で商業デビューした。その後、SF文学の旗手として脚光を浴び、『ボッコちゃん』『ようこそ地球さん』『きまぐれロボット』などのショートショート集、長編ファンタジー『ブランコのむこうで』、伝記『人民は弱し官吏は強し』『明治・父・アメリカ』『祖父・小金井良精の記』などを発表している。
1968年（昭和43年）『妄想銀行』などで第21回日本推理作家協会賞受賞。
1997年（平成9年）12月30日、間質性肺炎により死去。享年71。

写真出典：wiki（ウクライナ）より