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藤原智美が会報誌『激震日本株式会社#2』に残した格言[今週の防災格言296]

time 2013/08/12

藤原智美が会報誌『激震日本株式会社#2』に残した格言[今週の防災格言296]


『 いまある経験値は役にたたない。
そのかわりに人には想像する力がある。
それを駆使して、想定できるあらゆる事態に
日ごろから備えるしかないのだろう。 』

藤原智美(1955〜 / 小説家・エッセイスト 代表作『運転士(芥川賞)』)

格言は会報誌「激震日本株式会社#2(セコム株式会社 2005年7月)」記事「芥川賞作家・藤原智美が見つめた都市型災害〜神戸・福岡の震災の爪痕を訪ねて」より。

曰く―――。

地震が起こる。都市全体が混乱の渦のなかに落ちる。そのとき人々がまず必要とするのは、その混乱を乗りこえるための「言葉」ではないか思う。最初に襲ってくる恐怖や不安がまずおさまらないことには、人間はつぎの行動に移れない。いま周囲はどういう状態であり、救助活動はどうなっているのか? 被害の状況によっては、この世の終わりのような絶望的事態を想像する人も多くいるだろう。ニュースで被害を見聞きできる一般の人々とはちがって、被災者にはそうした手だてはない。主観的にしか事態をみることができないのだ。目前に地獄絵図のような光景が広がっていれば、いま救援体制が整えられつつあるということなど、想像すらできないだろう。 <中略>

もし大地震などの災害が起これば、たとえ(ケータイ電話の)中継基地が被害をうけていないとしても、すぐに連絡を取り合うことは無理だろう。いまぼくらは高度に整備された情報社会にいる。けれどそれは思いのほかもろい。不安のどん底にいる人に「言葉」を届けるのは、ことのほか困難である。 <中略>

神戸、福岡と見て歩いてわかったのは、よくあるふつうの地震と、大地震はまったく別次元の出来事であるということだ。いまある経験値は役にたたない。そのかわりに人には想像する力がある。それを駆使して、想定できるあらゆる事態に日ごろから備えるしかないのだろう。

藤原智美(ふじわら ともみ)氏は、幅広いフィールドで創作活動を展開されている福岡県福岡市出身の作家。福岡県立福岡高等学校を卒業後、上京し明治大学政治経済学部政治学科に入学。1979(昭和44)年に大学卒業後、雑誌などのフリーライターやコピーライターを経て、1991(平成3)年『王を撃て』で小説デビュー。1992(平成4)年の『運転士』で第107回芥川賞を受賞。その後、小説創作のかたわらドキュメンタリー作品も手がけ、ミサワホームへの取材に基づく家づくりと家族の関係を独自に考察した『「家をつくる」ということ(1997年)』がベストセラーとなった。他『モナの瞳』『恋する犯罪』『なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか』『暴走老人!』『検索バカ』『骨の記憶』『ぼくが眠って考えたこと』など著書多数。

■「藤原智美」氏に関連する防災格言内の記事
芥川龍之介(2008.08.25 防災格言)
石原慎太郎(2013.07.22 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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