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手塚治虫(1928~1989 / 漫画の神様 代表作「鉄腕アトム」)の随筆「科学の進歩は何のためか」から地球環境問題についての名言 [今週の防災格言667]

time 2020/10/05

手塚治虫(1928~1989 / 漫画の神様 代表作「鉄腕アトム」)の随筆「科学の進歩は何のためか」から地球環境問題についての名言 [今週の防災格言667]

『 自然への畏怖いふをなくし、傲慢ごうまんになった人類には必ずしっぺ返しがくると思います。 』

 

手塚治虫(1928~1989 / 漫画家・医学博士 漫画の神様)

 

格言は未完のまま遺作となった随筆集『ガラスの地球を救え -二十一世紀の君たちへ-』(光文社(カッパ・ハードカバー・シリーズ) 1989年)の「科学の進歩は何のためか」より。

チェルノブイリ原発事故(1986年)、フロンによるオゾン層破壊など、地球上の大気汚染が世界中に広がり、回復不可能なまでに森林が姿を消している現状に対して言及したもの。

曰く―――。

《 SF映画や小説、マンガには核戦争や大気汚染で、人類がついに滅亡する物語は数多くあるけれども、もうフィクションの世界のことではなくなりつつあります。こうなってしまった以上、まだ間に合ううちに言っておきたいやむにやまれぬ気持ちが、ぼくのなかで動いています。

・・・《中略》・・・

科学の進歩は、本来人類に幸福をもたらすはずだったものです。ところが、いまでは地球を痛めつける悪い奴になってしまった。かつて荒唐無稽だと笑われたこともあるぼくのマンガどころの騒ぎではおさまらない。危機的状況といわざるをえません。『鉄腕アトム』で、ガロンというロボットが口から毒ガスを吐き出すのをやめさせるために、ばかな軍人が水爆を使ってガロンを破壊しようとするシーンを描いたことがありましたが、なんと、いまや現実のほうが、マンガの世界を越えてしまっています。

放射能による食物汚染もさることながら、薬品による汚染も相当なものだといわれています。しかも、その理由は大量生産して儲けを多くするためでしかない。そんなばかなことが、えんえんと続けられてきているのです。

生産性を上げるために人類の寿命を縮めるなど、本末転倒もはなはだしいことを否定できる人間はいないにちがいありません。

昭和六十三年に尊敬するウォルト・ディズニーに捧げる『森の伝説』というアニメをつくりましたが、人間が開発と称して森の木を伐(き)っていくのに、森の動物や草木が反乱をおこすという話です。

自然への畏怖をなくし、傲慢になった人類には必ずしっぺ返しがくると思います。いまこそ、全地球的レベルで、超長期的、何百年何千年という視点から、地球を考える必要があるのです。 》

 

手塚治虫(てづか おさむ)は、『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』『どろろ』『火の鳥』『ブラック・ジャック』『三つ目がとおる』『ブッダ』など数々のヒット作で知られる漫画の神様。
1928(昭和3)年11月3日、大阪府豊能郡豊中町(現豊中市)の3人兄弟の長男として生まれ、5歳から兵庫県川辺郡小浜村(現宝塚市)で育つ。1945(昭和20)年、大阪府立北野中学(現北野高校)を卒業すると、戦争体験から生命の尊さを深く知り、医学の道を志し大阪大学付属医学専門部に入学。在学中の1946(昭和21)年に4コマ漫画『マアチャンの日記帳』(『少国民新聞(後の毎日小学生新聞)大阪版』連載)で漫画家デビュー。翌1947(昭和22)年、酒井七馬原案の描き下ろし単行本『新宝島』がベストセラーとなり、1950年代から少年漫画・少女漫画・幼年漫画・大人漫画などに多くの連載を持ち、数々のヒット作を発表。戦後日本のストーリー漫画の礎を築き、日本の漫画・アニメ文化を、1989(平成元)年2月9日に60歳で急逝するまで第一線で牽引し続けた。
手塚治虫
手塚治虫

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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