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2023年09月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。
【 2023年9月1日~9月30日 】

time 2023/10/01

2023年09月の 防災・危機管理ニュース をピックアップしてお届けします。<br />【 2023年9月1日~9月30日 】
9月10日、北アフリカのリビアを記録的な大雨が襲い、デルナ上流のダム2基が決壊

【2023年9月1日~9月30日】
今月の防災・危機管理ニュース
ピックアップ13選

 


 

【リビア洪水】
記録的豪雨でダム決壊 濁流がデルナの町を襲う [2023/09/10]

9月10日、北アフリカ・リビア東部を記録的な大雨(300~600年に一度程度の大雨)が襲い、人口約10万人のデルナの町の上流にあるダム2基が決壊する大規模洪水が発生し、甚大な被害をもたらしました。未だ被害の全容は依然見えず、汚染された水による疫病の感染拡大が懸念されています。2011年のカダフィ独裁政権崩壊後に内戦となったリビアは西部のトリポリの暫定政権と東部ベンガジのリビア国民軍の東部政権と国家分裂状態が続いており、長年、決壊の危険性が指摘されていたとされるダムの改修工事の遅れや今回の災害復旧・援助も滞っていると言います。今回の災害を「人災」とする指摘もあります。
世界保健機関(WHO)は9月22日、洪水の死者4014人、行方不明者8500人以上と発表。国連人道問題調整事務所などによると、避難者4万3千人超、道路や橋の寸断で支援物資は不足しているほか、汚染された水で感染症を患った例が150件報告され、今後急増する可能性があるそうです。

 

【モロッコで大地震(M6.8)】
死者2900人超 60年ぶりの大被害 [2023/09/08]

9月8日夜22時11分(日本時間9日)、北アフリカのモロッコ中部の観光地マラケシュ近郊サフィ地域でマグニチュード6.8(震源の深さ18km)の地震が発生し、地震の揺れは隣国のスペイン、ポルトガル、アルジェリアでも感じられました。震源から約70キロ離れた世界遺産のマラケシュ旧市街にも被害が及びました。この地震による死者は2,960人、重軽傷者は5,674人に達し、38万人以上が被災したと発表されています。
モロッコで発生した地震としては過去120年間で最大規模の地震となり、震源周辺ではマグニチュード6以上の地震記録もなく、建物の耐震性の低さが被害を拡大させたとみられます。
今回の地震は地下の岩盤に南北から押し合う力が働き断層がずれ動く「逆断層型」で、日本の震度階級に換算すると最大震度6弱程度の揺れに見舞われたとみられています。モロッコが面する地中海はプレート境界にあたり、アフリカ大陸を覆うアフリカプレートが北側のユーラシアプレートと衝突しているため、モロッコ北部では比較的地震活動が活発とされていますが、今回の震源周辺では、米地質調査所(USGS)の記録が残る1900年以降ではマグニチュード6以上の地震は一度も発生が確認されていませんでした。また、この付近では1960年に1万人以上が死亡する地震が中部で起きましたがこの時の地震の規模はマグニチュード5.9でした。

 

【酷暑】
夏の平均気温 平年比1.76度高く125年間で最高に [2023/09/01]

9月1日、気象庁は、この夏(2023年6月~8月の夏の平均気温)の日本の平均気温は平年と比べて1.76度高く、気象庁が統計を取り始めた1898年以降の125年間で最も高くなったと発表しました。日本近海の海面水温も過去最高となり、地上も海も最も暑い夏だったことがデータから裏付けられました。

 

【観測史上最も遅い「猛暑日」】
異例の残暑 9月中旬なのに…各地で記録更新 [2023/09/15-]

気象庁が、今年の夏(6~8月)の日本の平均気温が1898年の統計開始以降で最も高くなったと発表した今年(2023年)、9月中旬になっても全国各地で猛暑日(気温35度以上)となり「秋とは思えないような暑さ」を記録しました。15日には10地点で猛暑日が観測され、16日も34地点(12地点で観測史上最も遅い猛暑日記録)、17日には25地点、18日は14地点(9地点で観測史上最も遅い猛暑日記録)、19日も全国の6地点で猛暑日が観測され、観測史上最も遅い猛暑日を記録した場所もありました。9月15日には、名古屋で最高気温35.2度が観測され、13年ぶりに記録を更新するなど、各地で観測史上最も遅い猛暑日の記録更新が相次ぎました。
気象庁によると1875年の統計開始以来、東京の9月の月平均気温で、今年は26.7度(2023/9 *9/29現在)となり、2012年の記録(26.2度)を抜いて観測史上1位となっています。

 

【台風13号による大雨】
東京都(伊豆諸島)、福島県、茨城県や千葉県で猛烈な雨 [2023/09/07-09]

9月29日、気象庁の『災害をもたらした気象事例』に、今年9月上旬に関東甲信地方や東北太平洋側に猛烈な雨をもたらした「台風13号による大雨」を社会的関心や影響の高い気象事例としてホームページに掲載されました。
9月5日に日本の南で発生した台風第13号は、7日にかけて日本の南を北上し、8日には東海道沖に進んで熱帯低気圧に変わりました。その後、熱帯低気圧は9日にかけて東海道沖にほとんど停滞したため、南から暖かく湿った空気が台風の東側に流入し、台風の中心から離れた場所で雨雲が発達、関東甲信地方や東北太平洋側では、8日から9日にかけて大雨となったものです。秋雨前線と台風から変わった熱帯低気圧の影響で、特に東京都(伊豆諸島)、福島県、茨城県や千葉県には線状降水帯による記録的な大雨が降り、河川氾濫などによる浸水被害や土砂災害、停電などが相次ぎました。これらの地域では1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降った所もあり、1時間降水量が観測史上1位の値を更新した地点があったほか、7日から9日にかけての総降水量が400ミリを超えた地点や平年の9月の月降水量を超えた地点もありました。
福島県では沿岸部などに線状降水帯が発生し、いわき市の9河川が越水しました。茨城県では、時間雨量100ミリを超える猛烈な雨が降り、鉾田市では24時間雨量214.5ミリを観測、各地で土砂災害が相次いで発生しました。日立市、高萩市、北茨城市などに記録的短時間大雨情報が発表され、高萩市などで警戒レベルが最も高い「緊急安全確保(レベル5)」も発令されました。
千葉県でも、千葉市緑区や茂原市などの8河川が氾濫し、市街地が浸水しました。茂原市では24時間雨量374.5ミリ(観測史上1位)というものすごい雨量が観測されています。茂原市の中心部を流れる豊田川などが氾濫するなどし、千葉県内では約9万人に「緊急安全確保(レベル5)」が発令されました。

 

【防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2023】
日本最大級の防災イベント(神奈川県横浜市)[2023/09/17-18]

防災や減災について学ぶ日本最大級の防災イベント「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2023」が9月17日、横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大学で開催されました。主催は内閣府などの実行委員会で、関東大震災100年にあたる今年は、震源地だった神奈川県内で初開催されました。

 

【中国のサイバー攻撃】
米国と警察庁、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)注意喚起[2023/09/27]

9月27日、警察庁は中国を背景とするサイバー攻撃集団「BlackTech(ブラックテック)」が日米や台湾などへの攻撃を繰り返していると発表しました。今回、攻撃者への牽制と抑止のために相手を名指しする「パブリック・アトリビューション(非難声明)」という手法で発表したもので日本政府として6例目の事例となる。米国との合同発表で、手口や対処例などの注意喚起文書も公表しました。

 

【グリーンインフラ広まる】
2021年に国の浸水対策指針で自治体へ提言 自然が持つ治水機能を活用 [2023/09/22]

地球温暖化が加速し、異常気象による自然災害が増えている中で、自然が持つ治水機能を防災に活用する取り組みとして、緑豊かな街づくりにもつながる持続可能なインフラ整備「グリーンインフラ」が注目されています。
近年の大雨では、とくに市街地で舗装された路面に降った大雨が地中に浸透せず、河川や下水道にそのまま流れ込み、川に排水しきれず雨水が地上にあふれる「内水氾濫」が相次いでいます。コンクリートで固めたダムや堤防など従来型の「グレーインフラ」だけでは被害を防ぎきれなくなっており、国は2021年に自治体向けにまとめた浸水対策の指針で、既存の排水施設の活用とともにグリーンインフラの導入を提言しました。国が道路の緑化や緑地整備に取り組む自治体や企業に事業費の半額を補助し、毎年約40団体が利用しており、自然が持つ機能を上手に利用して災害を最小限に抑える「グリーンインフラ」という新たな手法が広がりを見せています。
しかしその一方で、記事では、千葉県の実験で雨庭により下水道に流れ込む雨水量を約43%減らせたとの結果がある一方、日本下水道新技術機構が2020年に行ったアンケートでは1504団体のうち496団体が、効果を定量的に示せないなどの理由でグリーンインフラの導入に「課題がある」と答えたという。グリーンインフラを既に導入した自治体の担当者は「貯留できる雨水の量は地層の状態にも左右され、氾濫をどの程度防げるのかはっきりしないので水害対策として計算しにくい面もある」と話す。

 

【無縁墓の増加(社会問題)】
公営墓地6割に無縁墓 総務省が初の実態調査 [2023/09/13]

管理する子供や親族がいなくなり放置されたままの「無縁墓」が増えており社会問題となっている。
公営墓地を運営する全国765市町村のうち、58.2%に当たる445自治体で、管轄する墓地や納骨堂に「無縁墓がある」と、総務省の調査に回答しました。政府がこうした調査を行ったこと自体初となります。無縁墓が増加すれば、墓地が荒廃し、ゴミの不法投棄の温床になる恐れがある。劣化した墓石が災害時に倒れる危険も大きい。
無縁墓が発生した場合、その管理不備に起因する様々な支障が生ずるおそれがあり、その解消を図るために手続や費用で多くの負担が発生する。伝統的な家族の形が急速に変化している中、墓の管理の実態把握と対策づくりが急務になっている。

 

【防災ラジオ付き自動販売機】
東北で初めて福島の道の駅に登場…緊急地震速報など流す [2023/09/23]

今年、各地のFM放送局と大手飲料メーカーが進めている取り組みにより、街中で災害時に防災ラジオとなる自動販売機が増えています。
震度5以上の地震が発生した時など、緊急地震速報のほか、地元ラジオ局が信号音を発信し、ラジオを起動させ、避難所情報などを流すことができるもので、その音声は最大で半径100mほど届くという。停電しても内蔵電池で最大2日間稼働が可能で、大規模災害時には自販機の飲料が無料で提供されるというもの。
2023年1月17日には東京都内で初となる1号機が世田谷公園内に設置され、5月26日には広島県で第1号機が設置されている。9月21日には、東北地方で初めて、福島市の道の駅ふくしまに設置された。
この防災ラジオ付き自動販売機は、東日本大震災で被災者の命を守るための貴重な情報源となったラジオを、各地のFM放送局と大手飲料メーカーが連携し、防災・防犯等の緊急情報を自動販売機から音声で伝える防災・防犯ラジオ付き自動販売機の設置・普及を推進しているものだそうです。

 

【会計検査院 処置要求】
災害時の防災回線(多重無線回線)4分の1に耐震不備 [2023/09/22]

会計検査院の調査で、防災情報を伝達する目的で全国の国道事務所などに設置されている「多重無線回線」の約4分の1が耐震不足などのために災害時に使えなくなる恐れがあることがわかりました。検査院は9月22日、国土交通省に対し耐震対策を進めるよう求めました。多重無線回線は、道路や水位の状況などを伝える通信網の一つで、国道事務所建物の屋上に鉄塔を建てるなどして設置されているもの。今回、会計検査院は、全国の鉄塔型の設備約1200か所のうち232か所を抽出し調べたところ、計57か所(26か所が耐震性不足、30か所が耐震診断が行われていなかった)で耐震対応に課題があることが判明しました。本州と四国、九州をつなぐ淡路無線中継所(兵庫県)では約16年にわたって建物の耐震対策が行われていなかったなど、耐震不足が20年以上続いている施設が12か所見つかるなどしています。

 

【気象庁】
防災支援4ポスト新設 [2023/09/19]

読売新聞の記事。
気象庁が、福祉施設の避難計画策定や交通インフラ事業者の災害対応などを助ける新しい専門職の配置を各地の気象台で進めている。平時から災害時まで切れ目なく地域に寄り添った支援をする目的で、災害の危険が高まった時は地元自治体に行き、対策を助言する。顔の見える関係を生かした好事例も生まれている。これまで気象台は、自治体とは気象情報を共有してきたが、交通・生活分野などのインフラ事業者や、高齢者や障害者らの安全確保を担う福祉業界との連携は進んでいなかった。
新しい専門職は分野別に4種類あり、2022年度に本庁と5管区気象台のほか沖縄や九州各県などの気象台に先行配置。今年度からは東海・北陸・中国地方の計12県にも置いている。4職種のうち「リスクコミュニケーション推進官」は、民間事業者らとの勉強会などを通じ、防災課題を共有し、防災気象情報を得る方法や使い方を伝える。

 

【日本脳炎】
熊本の男性 今年全国初の感染例…「蚊に刺されないようにして」[2023/09/23]

9月23日、熊本県は玉名郡に住む70代の男性が日本脳炎に感染したと発表しました。日本脳炎は、ウイルスを持つ蚊に刺され感染するもので、2023年、全国で初めての感染例となります。男性は9月4日に発熱を訴え、有明保健所管内の医療機関に入院し、その後、意識がないとのことです。熊本県内では去年3人の患者が確認され、このうち70代の女性が死亡しています。
熊本県によりますと、日本脳炎は感染した豚などから蚊が媒介して広がり、高熱やけいれんなどの症状が出るほか、子どもやお年寄りが感染した場合には死亡するケースもありますが、人から人へ感染することはないということです。

 

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