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徳富蘇峰(明治~昭和期の思想家・評論家・歴史家・随筆家・新聞経営者)の非常時の備えについての名言 [今週の防災格言655]

time 2020/07/13

徳富蘇峰(明治~昭和期の思想家・評論家・歴史家・随筆家・新聞経営者)の非常時の備えについての名言 [今週の防災格言655]

『 非常の準備は、尋常の時に於て為すべし。 』

徳富蘇峰(1863~1957 / 明治~昭和期の思想家・評論家・歴史家・随筆家・新聞経営者)

尋常(じんじょう)とは、普段と変わらぬ平和な日常で、とくに異常なくいつも通り、の意。

格言は『蘇翁言志録』(昭和11年)より。

徳富蘇峰(とくとみ そほう)は、明治・大正・昭和の日本を代表する思想家・政治評論家・ジャーナリストで「日本言論界の父」とも呼ばれる人物。作家・随筆家のほか、書道家や詩人としても知られる。
民友社を創設し、『国民之友』『国民新聞(東京新聞の前身)』を創刊させ、これら有力新聞を基盤に、以後40年間にわたって日本の代表的時論家として活躍した。
生涯で10万冊の本を読破し、自身も360冊余の著書を執筆、新聞社経営の傍ら、国木田独歩、森鴎外、二葉亭四迷、石川啄木、与謝野晶子、井上靖、吉川英治、菊池寛など若い作家らを支援した。
維新後の新日本の産業貿易の未来を憂い『将来之日本』を執筆し、松方内閣、桂内閣にも深く関与し、故郷水俣に日本初の地域婦人会を結成させ女性参政権を訴えるなど、政論・歴史論など多方面に健筆をふるい言論界を常にリードし続けた。
昭和18(1943)年に文化勲章を受章し、敗戦後はA級戦犯容疑者として公職追放され、昭和27(1952)年『近世日本国民史』全100巻を34年の歳月をかけ完成させた。

1863年3月14日(文久3年1月25日)、代々肥後国葦北郡水俣郷(熊本県水俣市)で名主(惣庄屋)を務める肥後藩郷士の家の長男として、母方の実家である肥後国上益城郡(熊本県益城町)に生まれる。本名は猪一郎(いいちろう)、字は正敬(しょうけい)。筆名に菅原正敬、大江逸など。雅号に蘇峰、山王草堂主人、頑蘇老人、蘇峰学人、銑研、桐庭、氷川子、青山仙客、伊豆山人など。実弟に小説家・徳冨蘆花がいる。
父・徳富一敬(1822~1914)は、幕末維新の大思想家・横井小楠(1809~1869)の一番弟子で母の妹も小楠に後妻として嫁いでおり、肥後実学党の指導者として藩政改革等で活躍した人物であった。
蘇峰9歳の時、兼坂止水(1833~1901 / 兼坂諄次郎)の私塾・衆星堂に学び、後に熊本洋学校に入学し、米国人教師L.L.ジェーンズ(1838~1909)の影響を受け、宮川経輝、金森通倫、横井時雄、小崎弘道、吉田作弥、海老名弾正らとともに「熊本バンド」を結成しプロテスタント・キリスト教に改宗した。熊本洋学校が閉鎖されると13歳で上京し、東京英語学校(後の旧制一高)を経て、京都の同志社英学校に転入学。明治9(1876)年、同志社創設者の新島襄(1843~1890)から洗礼を受けた。
明治13(1880)年、同志社英学校を卒業間際に自主退学し、帰郷して自由民権運動に参加。明治15(1882)年、熊本県飽託郡大江村(後の熊本市大江)の自宅内に、父・一敬とともに私塾「大江義塾」を創設。国家主義的な日本の未来を憂い、民衆による自由・平等・平和を特徴とする近代化「平民主義」を提唱、明治19(1886)年、24歳のときに日本の行く末に警鐘を鳴らした著書『将来之日本』が評判となり論壇デビューを果たす。本格的に東京に転居し「民友社」を設立して、月刊誌『国民之友』を主宰、さらに明治23(1890)年には国民新聞社を設立し『国民新聞』を創刊する。その後も『国民叢書』『家庭雑誌』『国民之友英文之部』などオピニオン誌を発行し、民友社からは山路愛山、竹越與三郎、国木田独歩など文筆家を輩出させるなど、明治時代を代表するジャーナリストとして活躍した。
32歳のとき記者として日清戦争の旅順攻囲戦に従軍するが、明治28(1895)年に日本政府がロシア・ドイツ・フランスからの三国干渉に屈服し、清国から割譲された遼東半島を返還したことに絶望し、これを機に日英米同盟論を展開させ、次第に平民主義から国権論・帝国主義・皇室中心主義へと転じていった。
明治30(1897)年、第2次松方内閣の内務省勅任参事官に就任すると、山縣有朋や桂太郎ら政治家との親交を深め、後の桂内閣では、艦隊増強案や日露戦争開戦を強力に後押し、第1次~第3次桂内閣まで桂太郎を支援したことから蘇峰の「国民新聞」は御用新聞として世間から批判された。明治44(1911)年、自身も貴族院勅選議員にも選任されるが、大正2(1913)年10月の桂の死を契機に政界を離れ、以降は言論人に立ち返ることを公約して時事評論に健筆をふるった。
大正7(1918)年、55歳のときライフワークとなる『近世日本国民史』の執筆をスタートし、大正12(1923)年9月1日の関東大震災では、神奈川県逗子にある別荘(老龍庵)で『近世日本国民史』を執筆中に罹災している。
関東大震災後に根津財閥の根津嘉一郎や河西豊太郎らに国民新聞社が買収され、昭和4(1929)年に自らが設立した国民新聞社を退社することになると、本山彦一により大阪毎日新聞社・東京日日新聞社の社賓に迎えられた。
昭和6(1931)年の満州事変を契機に軍部との結びつきが強くなり、大東亜戦争(太平洋戦争)では、日独伊三国軍事同盟を近衛文麿首相に建白し、開戦時には東條英機首相の依頼で大東亜戦争開戦の詔書を添削するなど活躍し、昭和17(1942)年に設立された戦時言論統制の機関『日本文学報国会』『大日本言論報国会』では何れも会長に就任した。
敗戦時はポツダム宣言の受諾に反対し、昭和天皇の非常大権の発動を画策したという。戦後はGHQによるA級戦犯容疑で自宅拘禁されたが、後に不起訴となった。昭和21(1946)年の公職追放で貴族院勅選議員を辞して静岡県熱海市に蟄居。言論人としての道義的責任から文化勲章(1943年に受章)も返上した。92歳まで著作活動を続け、昭和32(1957)年11月2日、熱海の晩晴草堂で死去。94歳。

写真:徳富蘇峰と徳冨蘆花

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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