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正岡子規（1867～1902 / 俳人・歌人）の晩年の随筆「病牀六尺」に書かれた人の習慣に関する名言から [今週の防災格言555]

time 2018/08/13

『何でも子供の時に親しく見聞きした事は自（おのずか）ら習慣となる様である。家庭教育の大事なる所以（ゆえん）である。』

正岡子規（1867～1902 / 俳人・歌人雑誌「ホトトギス」創刊）

格言は随筆『病牀六尺』（1902（明治35)年）の96より。
病床についた正岡子規は、死の2日前まで自身の病状や時勢について思いをつづった。

曰く―――。

《子供の時幽霊を恐ろしい者であるやうに教へると、年とつてもなほ幽霊を恐ろしいと思ふ感じがやまぬ。
子供の時毛虫を恐ろしい者であるやうに教へると、年とつて後もなほ毛虫を恐ろしい者のやうに思ふ。
・・・中略・・・
読書する事、労働する事、昼寝する事、酒を飲む事、何でも子供の時に親しく見聞きした事は自ら習慣となるやうである。家庭教育の大事なる所以（ゆえん）である。（八月十六日）》

一方で、33（六月十四日）では能役者の悪い習慣について、

《悪習慣は一撃に打破つてしまへば何でもないやうな事であるが、その実これをやらうといふには、非常の困難を感ずる。》

とも述べている。

正岡子規（まさおかしき）、は俳句や短歌など短詩型文学の革新運動を主唱し、肺結核の病に苦しみながらも、俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆など幅広い創作活動を行った明治時代を代表する文学者の一人。高浜虚子、伊藤左千夫、長塚節、河東碧梧桐ら後進の指導も行い、三十六歳の若さで亡くなった。

1867（慶応3）年10月14日、伊予国温泉郡藤原新町（現・愛媛県松山市花園町）に松山藩の下級藩士の家の長男として生まれる。本名は川市常規（つねのり）、幼名を処之助（ところのすけ）、升（のぼる）。別名を獺祭書屋（だつさいしよおく）主人、竹の里人（さとびと）といった。
4歳のとき父を亡くし家督を相続、藩の儒者をしていた母方の外祖父・大原観山（1818～1875）の私塾で漢学を学ぶ。勝山学校（現・松山市立番町小学校）、旧制松山中学（現・松山東高等学校）に入学するが、1883（明治16）年に受験のため松山中を中退し上京。東京の共立学校（現・開成高校）、東京大学予備門（後の一高）を経て、1890（明治23）年に帝国大学文科大学哲学科（現・東京大学）に入学。翌1891（明治24）年には文学に興味を覚え国文科に転科した。この頃から「子規」と号し句作を行うようになり、1892（明治25）年に大学を中退すると「日本」新聞社の記者となった。日清戦争の従軍記者として遼東半島へ渡るが、喀血して入院。以後、病床にあって俳句、短歌の革新運動に精力的にのりだすことになる。まず、写生句を特徴とする俳句革新運動を主唱し日本派俳句を確立、俳句雑誌「ホトトギス」を創刊、写生主義と万葉調を主唱して「根岸短歌会」を結成し短歌革新運動に勤め、後のアララギ派の基礎を築いた。
1902（明治35）9月19日死去。満34歳。墓地は東京田端の大龍寺にある。
正岡子規