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佐藤善治郎が著書『南清紀行』に記した名言と関東大震災（1870〜1957 / 教育者精華小学校・神奈川学園創立者）[今週の防災格言337]

time 2014/05/26

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佐藤善治郎が著書『南清紀行』に記した名言と関東大震災（1870〜1957 / 教育者精華小学校・神奈川学園創立者）[今週の防災格言337]

『知るは行ふ（う）の始（はじまり）なり。』

佐藤善治郎（1870〜1957 / 教育者精華小学校・神奈川学園中高等学校創立者）

格言は著書『南清紀行（1911年）』より。

佐藤善治郎（さとうぜんじろう）は、横浜市の精華小学校や神奈川学園の創立者として知られる教育者。

千葉県の農家に生まれ、幼少期を房総半島（内房）で過ごした。

1885（明治18）年地元の小学校を卒業後、補助教員を2年勤め、18歳のとき千葉師範学校に入学。卒業後、しばらく母校の小学校訓導となるが、1895（明治28）年、叔父の勧めから26歳で東京高等師範学校に入学した。卒業後は鎌倉市扇ヶ谷へと移り、神奈川師範学校教諭、神奈川師範学校附属小学校主事、私立横浜高等女学校（現横浜学園高等学校）校長を歴任。1899（明治32）年には自身の社会教育論をまとめた『最近社会教育法』を出版。1914（大正3）年に横浜実科女学校（後の神奈川高等女学校現神奈川学園中学校・高等学校）を設立、1922（大正11）年には精華小学校創立。横浜市松ヶ枝町（現横浜市中区伊勢佐木町）へと移り住み、校長として長く同校の経営に当たった。関東大震災の翌年1924（大正13）、欧米の学校教育について視察。1932（昭和7）年6月から翌年1月には、文部省の依頼を受け英国私立教育の視察と南方移民事情の調査目的で半年以上を費やし世界一周視察を敢行。英国ではイートン校、ウエスト・ミンスター中学などを視察している。鎌倉時代史への造詣が深く1903（明治36）年には北条時宗祭（鎌倉市）を起こしたり、三浦半島初の観光ガイドブック『三浦大観（1906（明治39）年）』を執筆、晩年は神奈川県史跡名勝天然記念物調査委員を務めた。

1923（大正12）年9月1日の関東大震災では、学校の自室で、10月に予定されていた海外視察準備のため英語の勉強をしていたところ罹災。この時の様子を『横浜市震災誌（1927年）』で語っている。

何とも形容の出来ぬ響が起って、大砲の様な音が沢山する。煉瓦や土手崩れ煙突折れて赤褐色の砂塵は十間許（ばか）りづつ騰（あが）る。人の声など少しも聞えぬが、大都の破壊する様を目の前に見る。如何に混雑が市中に起って居るであろうと戦（おのの）き恐れたが夫が彼の大火を起し三万に近い生霊を殺す惨憺たる結果を生ずるとは予想しなかった。

…（中略）…

地震の当時は可なり強い西風であった。二三分と経ないで風上の保土ヶ谷方面に火の手が二つ揚った、其他（ほのほか）沢山燃え始めたのであったが夫等（それら）には注意しないで風上の火に注意し三人の大工（※たまたまこの日に学校に大工が入っていた）と不完全なる消防機を側に置いて、死力を尽して防御しようと覚悟した。やがて付近に圧死者のあった事も伝えられた。死を決して防御しようと、落日孤城を守る覚悟を定めた。

一時間許りで其の火が沼と川とに遮ぎられて消えたので助かったのだと思った。校舎を見巡れば、外観は大体安全で、多少の傾斜をなし、一二割の瓦を落とし、壁は七八分通り落されて居る。それでも此位（これくらい）で済んだのは、地盤のよかったのと、基礎工事の十分なるとによると思う。

佐藤善治郎(右)とジョン・ヤング翁（イギリスの漁港ハル市のガス会社社長兼孤児院院長）1932年12月頃