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新渡戸稲造が著書『修養』に記した格言(法学者)[今週の防災格言257]

time 2012/11/12

新渡戸稲造が著書『修養』に記した格言(法学者)[今週の防災格言257]


『 人は逆境とか災難とかいうことを、兎角とかく過大視するへいがある。 』

新渡戸稲造(1862〜1933 / 農学者・教育者・法学者 東京女子大初代学長)

格言は著書『修養(実業之日本社 明治44年9月)』より「逆境にある時の心得」の章から「逆境の人は何故天を怨むか」より。

弊(へい)は「よくない習慣」という意味。

曰く―――。

昔時(むかし)司馬遷が伯夷叔斉を論じたとき、天道是か非かと疑問を発して、天を怨むの語気を示した。今の学者は天に是非なし、天を道徳的に見るとは、学理の許さぬことと論する。英国のハツクスレー(※イギリスの生物学者トマス・ハクスレー(Thomas Henry Huxley / 1825〜1895))は自然即ち天をインモーラルといはずにアンモラールといひ、道徳観は人の作るもので、天とか地とかに客観的にあるものでないといふて居る。故に天道是か非かといふ議論は、恐らく古来一歩も進んで居らぬ、又人智の未だ説き得ざる問題と仮定することが出来やう。
然(しか)るにすでに云ふた如く、人が逆境に陥ると、其罪を他に嫁したがる。而(しか)して他に嫁することの終局は、天にまでも責(せめ)を負はせるに至る。この問題は宗教の力によらねば説けるものでないが、僕は爰(ここ)に一言青年に注意したいことがある。其は外でもない、人は逆境とか災難とかいふことを、兎角過大視する弊があることである。

旧五千円札の肖像で知られる新渡戸稲造(にとべ いなぞう)は、岩手県盛岡市出身の農学者・農政家、法学者、教育家。札幌農学校(現・北海道大学)に入学すると、同期の内村鑑三、宮部金吾、廣井勇らとともに、函館のメゾジスト系アメリカ人宣教師メリマン・ハリス(Merriman Colbert Harris / 1846〜1921 青山学院神学部教授)からキリスト教の洗礼を受ける。農学校卒業後に東京帝国大学へ進学。1884(明治17)年には米国ジョンズ・ホプキンス大学に私費留学。クェーカー派と親交を通じ米国人女性メアリー・エルキントン(日本名・新渡戸万里子)と出会い1891(明治24)年にフィラデルフィアで結婚。札幌農学校助教授としてドイツのハレ大学(マルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク=MLU)へ留学。1891(明治24)年帰国すると札幌農学校教授となるが体調不良により休職。カリフォルニアで療養する中で『武士道(Bushido: The Soul of Japan)』を英文で執筆、1900(明治33)年に初版刊行されるとこれが各国語に翻訳され世界的ベストセラーとなった。
1901(明治34)年、後藤新平の招聘により台湾総督府技師として台湾の殖産に携わり大きな功績を挙げ、また、1920(大正9)年から1926(大正15)年まで7年間、国際連盟事務次長として国際的に活躍した。
教育にも携わり、京都帝国大学法科大学教授、東京帝国大学法科大学教授、第一高等学校校長、東京貿易殖民学校校長、拓殖大学学監、東京女子大学学長など多くの教職を歴任。
日本が国際連盟を脱退後に、軍閥(と共産党)を批判したとしてマスコミから激しいバッシングを浴びる中で国際会議出席後に突然倒れカナダ・ビクトリア市で永眠。71歳。

■「新渡戸稲造」氏に関連する防災格言内の主な記事
内村鑑三(2014.12.29 防災格言)
美術評論家・岡倉天心(2009.09.14 防災格言)
二宮尊徳(金次郎)翁(2012.01.30 防災格言)
後藤新平(政治家・医師)(2010.04.26 防災格言)
福沢諭吉(慶応義塾創設者)(2010.09.20 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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