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志田鉀太郎（1868～1951 / 商法学者明治大学総長）が関東大震災後に福岡市で行った保険講演の名言。[今週の防災格言570]

time 2018/11/26

『自分の事は自分で始末する、他人の助けを借りない、唯我独尊ではなく、自我自尊である。』

志田鉀太郎（1868～1951 / 商法学者・教育者明治大学総長(第5代)）

格言は大正14（1925）年4月4日、福岡市で開催された官民合同生命保険九州大会での講演「保険の根本精神」より。

曰く―――。

《極めて簡単に言えば、保険の根本精神は自立の精神である。自己で自己のことを始末すると言う精神である。これは個人主義の立場より出発したるものであります。本来、申せば個人主義の立場から、自分の事は自分で始末する、他人の助けを借りない、唯我独尊ではなく、自我自尊である。この自立精神が則ち保険の根本精神となっている。》

志田鉀太郎（しだこうたろう）は、日本保険学会を創立し、戦時中に明治大学総長（第5代）を務めた法学者。明治大学の学生食堂を開設し「師弟食堂」と命名した人物としても知られる。

明治元年8月20日（1868年10月5日）、一橋徳川家剣術師範役だった父・志田純一郎（後に志田知義と改名）の長男として東京府東京市牛込区赤城（現東京都新宿区）に生まれる。
東京府尋常中学校（現都立日比谷高等学校）、私立東京英語学校を経て、明治27（1894）年、東京帝国大学法科大学英法科を卒業。同大学院へと進み商法、特に会社法と保険の研究を行うかたわら、明治28（1895）年の真宗信徒生命保険（後の共保生命、東京生命）の創立に関わった。明治30（1897）年、新設された東京高等商業学校（後の東京商科大学、現一橋大学）初代商法教授に、翌明治31（1898）年に学習院大学教授に就任。他にも東京専門学校、明治法律学校、和仏法律学校などで保険学・保険法の講座を受け持った。
明治35（1902）年、欧州（ドイツ・フランス）へ留学。帰朝後は日清戦争後の清国に招かれ商法編纂事業に従事。農商務省嘱託として保険監督に関する業務に関与し、政府を代表して万国アクチュアリー会議などにも列席した。
大正8（1919）年、共済生命保険会社（現明治安田生命保険）常務取締役、後に専務取締役。大正9（1920）年、東洋火災海上再保険（後の東洋火災保険）代表取締役に就任。また、簡易生命保険審査会委員などを兼任し、昭和15（1940）年の日本保険学会創立にも尽くした。
明治37（1904）年、明治大学に私学初となる商学部設置に尽力し、明治大学教授に就任すると、商学部長を経て、昭和15（1940）年に第5代明治大学総長に就任。総長として留学生教育及び学生の福祉向上に努め、医学部を含む理系学部の設置を構想する。しかし、戦時下にあって、学内に軍将校が配置されたことを受け「学園は兵営にあらず」との苦言を呈し、昭和18（1943）年に発言の影響を考慮し自ら総長職を辞し退職。
昭和26（1951）年3月13日死去。享年82。
志田鉀太郎（1868～1951 / 商法学者・教育者明治大学総長(第5代)）

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