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首都直下ホントは浅かった佐藤比呂志教授と関東大震災

time 2005/10/26

首都直下ホントは浅かった・・・ [編集長コラム]

新聞記事をつらつらとスクラップしては、世の中の防災への関心度の趨勢(すうせい)を眺めている。
店長の日課だ。

１９９３年の奥尻島の津波（北海道南西沖地震）と１９９５年の阪神震災で「わーっ」と世の中は盛り上がった。
この年、１９８０年頃に東海地震が初めて一般に知れわたった東海地震説騒動？以来の盛り上がりを見せたものの、その後は急下降した。防災記事は紙面の隅に追いやられることが多くなった。
ところが、２００１年の芸予地震頃から、各地で立て続けに発生するＭ７クラスの地震に、政府も「これはただ事ではないぞ」と、大地動乱の時代を憂慮するようになってきた。
帰宅困難者やハザードマップというキーワードも新たに登場した。
あくまで店長の主観だけど・・・。
　
そんな防災情報が日々更新されるなかで、店長が今、最も注目しているのが、東大地震研の佐藤比呂志教授が７月１５日に発表した論文です。
　
要点だけ説明すると、
　
首都圏の直下に存在する巨大断層のフィリピン海プレートは、日本列島が乗っているユーラシアプレートの下に沈みこんでいますが、その深さが、これまで考えられてきた深さより浅いところに存在していたことが新たに発見されました。
具体的には、これまで考えられていた深さより、５〜１７ｋｍも浅かったのだそうです。
　
地震が起こったとき、ニュースでは、

○×県南部の地震は、マグニチュード６.１震源の深さ○×ｋｍと推定されます。各地の震度は・・・云々

などと報道されます。
　
この「震源の深さ」が浅いか深いかで、地表の揺れの大きさが変わってくるのです。地震の発生場所＝「震源の深さ」が、地表に近いほど揺れは、より強くなる傾向があるのです。

つまり、今回の論文は、１９２３年の関東大震災の地震の発生場所や揺れの規模、今後の発生が心配されている首都直下地震の被害想定そのものの評価に大きな影響を与える論文でした。
　
個人的には、この論文はショッキングなニュースだったのですが、残念なことに、科学的すぎたのか、世間では余り騒がれませんでした。

ちょうど、今年の春に政府で首都直下地震の被害想定について発表されたこともあり、７月に発表された今回の論文を受けて、政府や専門委員会から何らかの反応があるだろうと新聞記事をチェックしていたのですが、特に動きは見られませんでした。
　
でもね、政府や行政には、この最新の論文データをもとにして、関東大震災(１９２３年)の発生位置、また、首都直下地震の被害想定の再評価を行っていただき、適切な対策につなげて欲しいと望んでいます。
　
※参考までに論文は
“Earthquake Source Fault Beneath Tokyo” Science, Vol 309, Issue 5733, 462-464 , 15 July 2005

■「首都直下」に関連する防災格言内の記事
　-「地震の巣」を考える(2011.3.25 編集長コラム)
　-空白域（くうはくいき）とは？(2006.1.17 編集長コラム)