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永田秀次郎が関東大震災の時に遺した格言(関東大震災時の東京市長)[今週の防災格言369]

time 2015/01/05

永田秀次郎が関東大震災の時に遺した格言(関東大震災時の東京市長)[今週の防災格言369]


『 地震は何時いつ来るか知れませぬ。
地震が来てから、考えて居ては、間に合わぬ。
それ故、大きな地震があった時には、
どうすると言う事を、平生から考えて置かねばなりませぬ。 』

永田秀次郎(1876〜1943 / 政治家・拓務大臣 関東大震災時の東京市長)

格言は随筆『震災十周年(子供の時間)』より(出典『九十五点主義 青嵐随筆』実業之日本社 1935年)。

関東大震災から9年経た10周年にむけて、昭和7(1932)年9月1日のラジオ第一放送の人気番組「子供の時間」で放送されたもの。
この中の『 緩む心のねじをまけ(緩む心の捻を捲け / 緩む心にねじをかけ)』は、関東大震災(大正12(1923)年)を契機にはじまった毎年9月1日の震災記念日の統一標語とされていたもの。

曰く―――。

《 “ゆるむ心に ねじを巻け” 一年一年と、地震の時の苦しさを忘れて、気儘(きまま)になりますから、今日の九月一日の記念日には、此(こ)のゆるむ心にねじを巻いて、元気よく勉強して、賢い人にならなくてはなりませぬ。

数寄屋橋の外に『不意の地震に不断の用意』と書いた記念塔が建ちました。地震は何時(いつ)来るか知れませぬ。地震が来てから、考えて居ては、間に合わぬ。それ故、大きな地震があった時には、どうすると言う事を、平生から考えて置かねばなりませぬ。あの大地震の時には、水道がとまる、電気は消える、瓦斯(ガス)は出ない、全たく途方に暮れて仕舞いました。私があの時に、東京市長をして居て、困った一例を申して見ますると、大地震の一年前に、小さな地震があって、村山の貯水池から、水を引いてる堤が切れて困った、経験がありました。いそいで玉川の旧水道を利用して、其(その)水を電力でポンプを使って、淀橋の貯水池に入れる設備をして置きました。
然(しか)るにあの時は、その送電線が切れて仕舞って、ポンプが動かないと言う始末で、十分に用意しておいた積(つも)りのものが、全く駄目になって居たのであります。

あの大地震の経験から、此頃にあんな大地震があっても、あの様な死んだり焼けたりする、災難にかからない様に、色々とあなた方の御祖父さんや、御父さん達が、心配して、あなた方の為に、やって呉(く)れた事を、知って居ますか。 分らない、それではお話しましょう。

それは第一に、逃げたり、荷物を運んだりするのに困らない様に、道路が広くなりました。第二に主な町は、火事にならぬ様に、焼けない鉄筋コンクリートで家を造りました、之(これ)を防火地区と言います、第三に橋が落ちて困りましたから、隅田川の十一の大きな橋を始め、沢山の小さな橋が、丈夫に出来ました。第四に食い物が海から自由に運べる様に、東京湾の築港が出来ました。其外(そのほか)色々あります。これからあの様な大地震があっても、皆さんはあの時の様な目に、遭わないで済むと思います、若(も)しも皆さんが、大きくなった時に、あの時よりモット大きな地震にでも遭ったら、今度は今よりも、モットモット確(しっ)かりした、家や、橋や、築港をして下さい、災難があっても、災難に負けては駄目です。災難に打ち勝って、却(かえ)って以前よりも立派なものをこしらえる、それだけの勇気が無くては、日本人ではありませぬ。 》

永田秀次郎(ながた ひでじろう)は、大正関東大震災時の東京市長。三重県知事、拓殖大学総長、貴族院議員、拓務大臣(第9代)、鉄道大臣(第18代)を歴任した。長男は元自由民主党衆議院議員の永田亮一(1911〜1997)。
関東大震災では、東京市役所の市長室で揺れを感じ、そのままじっとしていたという。東京市だけで6万9千人以上が亡くなった震災では、東京市長として最前線で罹災者の救護対応を指揮し、遺体の火葬を命じた。しかし非業の死を遂げた多くの人たちを供養できなかったことへの自責と悔悟の念から、震災2年後の1925(大正14)年、私費を投じて和歌山県の高野山に霊牌堂を建立し、関東大震災の犠牲者を弔い、その名を永遠に語り継ぐ、という慰霊計画を立案する。この『関東震災殃死者名簿の一万年保存計画』では、関東大震災による殃死者約10万5千人のうち過半数の約5万4,700人分の氏名を記載した特殊な素材でできた名簿が、高野山奥之院の関東震災霊牌堂に奉納され、その後、一万年間保存されることになっている。
1943(昭和18)年9月17日に満67歳没。辞世句『震災忌我に古りゆく月日かな』。

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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