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中曽根康弘(政治家・衆議院議員 内閣総理大臣(第71~73代))が伊勢湾台風(1959年)後に日本の災害対策について述べた名言 [今週の防災格言623]

time 2019/12/02

中曽根康弘(政治家・衆議院議員 内閣総理大臣(第71~73代))が伊勢湾台風(1959年)後に日本の災害対策について述べた名言 [今週の防災格言623]

『 時間が経つと、のど元過ぎて熱さを忘れ、災害は忘れられた頃来るを繰り返す恐れがある。 』

中曽根康弘(1918~2019 / 政治家・衆議院議員(20期) 内閣総理大臣(第71~73代))

格言は、1959(昭和34)年11月の国会・科学技術振興対策小委員会の発言から。

1959(昭和34)年、第2次岸改造内閣の科学技術庁長官として初入閣を果たしたこの年の秋(9月26日)「伊勢湾台風」が日本列島に上陸し、和歌山県、奈良県、三重県、愛知県、岐阜県を中心に死者5,098人を数える未曾有の大災害が発生した。
中曽根・科学技術庁長官は「台風」に対する科学的対策樹立の緊急性から、すぐさま学識経験者らを集め、発生4日後となる9月30日に第1回会合を開催。以降、台風など自然災害の研究、予報・警報から国際協力体制など広範囲な科学的対策の検討を行った。11月には伊勢湾台風を調査解析する目的から、各省庁の科学技術者や研究者を集めた「臨時台風科学対策委員会」を組織させた。この伊勢湾台風が契機となり、2年後の1961(昭和36)年11月、国民保護の防災に関する初の法律「災害対策基本法」が成立する。

曰く―――。

《 日本の災害というものは、現在の国土、国富の損失という面から、一番大きな要素であり、政治が相当力を入れなければならぬ部面であると思います。この点で、今まで、ややもすればその力が足りなかったということをわれわれも反省しておるのででございます。今度、これだけの災害が起き、科学技術庁といたしましても、従来のような概念でまた見逃してはいけないということを感じまして、各方面にいろいろ警告を発したりして努力はして参りましたが、それでも、時間が経つと、これまた、のど元過ぎて熱さを忘る、災害は忘れられたころ来るということを繰り返す恐れがあります。 》

中曽根康弘(なかそね やすひろ)は、衆議院議員在職56年、戦後5番目の長期政権を築いた元首相。「戦後政治の総決算」を掲げて、国鉄、電電公社、専売公社の分割・民営化の実現などの行財政改革や、強固な日米関係の構築に指導力を発揮するなど、内政・外交の両面で大きな実績を残した政治家。

1918(大正7)年5月27日、群馬県高崎市末広町生まれ。旧制高崎中学(現群馬県立高崎高等学校)、静岡高等学校(現静岡大学)を経て1941(昭和16)年東京帝国大学法学部政治学科を卒業後、旧内務省に入省。戦時中は帝国海軍士官(中尉、終戦時に海軍主計少佐)を務めた。
戦後、内務大臣官房事務官、香川県警務課長、警視庁警視・監察官を経て、1947(昭和22)年の衆議院議員選挙で旧群馬3区から当時の民主党から立候補し初当選し、2003(平成15)年に政界引退するまで連続20回の当選を重ねた。この間、1955(昭和30)年の保守合同で自由民主党結成に参加するまでは、反吉田茂勢力として、民主党、国民民主党、改進党、日本民主党と長く野党議員として過ごした。
1959(昭和34)年の第2次岸改造内閣の科学技術庁長官として初入閣。その後、運輸大臣、防衛庁長官、通商産業大臣、行政管理庁長官などを歴任。1974(昭和49)年の三木(武夫)内閣では自由民主党幹事長を務め、1982(昭和57)年11月、鈴木善幸首相の退陣表明を受けた自民党総裁予備選で河本敏夫、安倍晋太郎、中川一郎を抑え圧勝し、第71代内閣総理大臣に就任した。「戦後政治の総決算」を掲げ、国鉄、電電公社、専売公社の三公社の民営化の実現や、消費税の原形となる売上税の導入などに取り組んだ。
1985(昭和60)年には、戦後の首相として初めて、靖国神社に公式参拝。外交・安全保障の分野では、日米関係の緊密化に取り組み、ロナルド・レーガン大統領との間では「ロン・ヤス関係」と呼ばれる個人的信頼関係を築き、国際社会での日本の地位向上と日米安全保障体制の強化に努めた。また、1986(昭和61)年12月に三木内閣が決めた防衛費の国民総生産(GNP)比1%枠の突破を決定し、防衛力の整備と積極的な防衛政策の立案を可能にした。
首相が政治を主導するという「大統領的な首相」を自任し、そのトップダウンによる決定と私的な諮問機関を設けブレーンを重用する審議会政治を活かす政治手法は、その後の政権にも影響を与えた。
第1次中曽根内閣の際に発生した1986(昭和60)年の伊豆大島三原山噴火災害では、首相権限により海上保安庁の巡視船8隻や海上自衛隊の護衛艦2隻、南極観測船を出動させ、全島民の救出に成功。これが安全保障会議設置法適用第1号の事案となり、官邸主導の救難作戦事例として高く評価されている。その一方で、護衛艦艇群の出動が鈴木俊一東京都知事からの災害派遣要請の前段階だったとして、頭越しの決定をされた形となる国土庁の官僚や、野党などからは職権乱用、省庁権限の干犯として激しく非難されることになった。
党総裁の任期切れに伴い、1987(昭和62)年11月に後継総裁に竹下登を指名し退陣。首相在任期間は1806日と、当時としては異例の5年におよび安倍、佐藤、吉田、小泉の各内閣に次ぐ戦後5番目の長期政権となった。
2003(平成15)年10月、小泉純一郎首相から定年制導入のために引退を要請により政界を引退。その後は自身が会長を務める公益財団法人世界平和研究所で積極的な政策提言を行った。また、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」では会長を務め、憲法改正の必要性を説いた。2019(令和元)年11月29日、死去。101歳没。
大日本帝国海軍の軍人であったとき海軍主計少佐として従六位大勲位叙勲。他に大勲位菊花大綬章(1997年)など。

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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