『 死地にありて死を知らず、災地にありて
稲垣 示(1849~1902 / 明治の政治家・衆議院議員 自由民権家)
格言は西 師意(にし もろおき / 1863~1926)著「治水論」(明治24年)の序文より。
曰く―――。
死地に
日本に
稲垣 示(いながき しめす)は、越中(富山県)における自由民権運動の先覚者で、板垣退助とともに自由党結成に参加した人物。
嘉永2(1849)年、越中国射水郡棚田村(富山県射水市棚田)の豪農・稲垣又平の長男として生まれる。幼名は恒太郎、後に太郎、忠雄、平、示と改称。号は虎岳(こがく)。
14歳で金沢藩校「壮猶館」へ入り、金沢藩の農兵(郷土防衛の予備戦力として領民の銃卒化)となった。ここで次第に頭角を現し、藩からは優秀者として数回にわたり賞を受け、19歳の頃には200人規模の大隊司令官となったという。維新後は、富山県高岡の国学者・野上文山(1825~1873)の私塾「待賢室」や新川県講習所(後の富山師範学校)で学び、後に小杉の評論雑誌社「相益社」に入った。明治12(1879)年に政治結社「立志社」の板垣退助(1837~1919)の自由民権運動に呼応し、翌明治13(1880)年に高岡に政治結社「北立社」を結成。同年に開催された自由民権運動組織「国会期成同盟」の委員となり結成大会に越中からただ一人で参加し、六度にわたって上京しては新政府へ国会開設哀願表の提出を試みた。明治14(1881)年から明治16(1883)年まで石川県県会議員に選ばれるが、県令侮辱の舌禍事件を起こし議員を除名された。中央政界での板垣の自由党結成に応じ、明治15(1882)年には北立社を自由党支部「北立自由党」に改組。これが富山県初の政党となった。明治16(1883)年、杉田定一(1851~1929)らとともに北陸七州(佐渡・越後・越中・能登・加賀・越前・若狭)から300人近くの自由民権家を集めて「北陸七州有志懇談会」を開催するが、間もなく高田事件(新潟県を中心とした自由民権運動弾圧事件)が発生。全国的に激化する自由民権運動に対する政府の弾圧も厳しさを増し、稲垣も明治18(1885)年の大阪事件(自由党左派の大井憲太郎らが企てた朝鮮政府改革計画)で外患罪により連座、明治22(1889)年の大日本帝国憲法公布の大赦で釈放されるまで3年間入獄した。明治22(1889)年、自由党系機関誌「北陸公論」(後の北陸日日新聞)を創刊させ社長となり、その後は大同団結運動に加わったが、この時期に運動の主流は改進党系(立憲改進党)へと移っていた。明治24(1891)年、第2回衆議院議員総選挙で初当選。以降2回(第3回・第6回)当選。田中正造の足尾銅山鉱毒事件の応援や、普通選挙運動を展開。明治31(1898)年、自由党復帰後は政友会に属し、富山県支部長の要職を務めた。明治35(1902)年8月9日、第7回衆議院選挙で他の候補者の応援演説をした直後に倒れ急逝、54歳だった。
稲垣示
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