『 私は法律家として、
問題をきちんと把握し分析した上で
どう動くかを決めるという所作が身についていた。
この人生経験が本当に大事な場面で活かされた。 』
ジョン・V・ルース(1955~ / 弁護士 駐日アメリカ合衆国大使(第28代))
格言は東日本大震災について述べたもの。
出典は読売新聞「証言 震災5年」(2016(平成28)年1月28日朝刊)より。
曰く―――。
《 自然の脅威は、人間の財産も、命までも奪ってしまうことがある。だけど、人間が生きようとする精神までも奪うことなど、できない。人生で、何かに対して完璧に準備して対応できることなどありえません。何かが起きた時は、本能や人生経験に基づいて動くことになります。そして、私は弁護士です。プロの法律家として、問題をきちんと把握して、分析した上でどう動くかを決めるという所作が身についていました。これまでの人生経験が本当に大事な場面で活かされたと思います。》
ジョン・ルース(John Victor Roos)は、オバマ大統領時代の2009年から2013年の4年間、駐日アメリカ合衆国大使を務めた人物。
在任中に東日本大震災を経験し、米国による日本支援の中心人物として活躍されたことで知られる。
米国カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1977年、米スタンフォード大学卒業、1980年に同大学法科大学院を修了し法務博士号を取得。その後、弁護士として活動。シリコンバレーの法律事務所の最高経営責任者(CEO)を務め、カリフォルニア州教育委員会委員(1991~1999年)、スタンフォード大学教育学部長諮問委員会と法科大学院学部長諮問委員会メンバーなどを歴任した。
2008年の大統領選挙では民主党候補のバラク・オバマ氏の陣営に参加し、同氏の大統領就任に貢献。2009年、オバマ大統領の指名を受け駐日米大使に就任し、2013年まで4年間を務めた。在任中には、日本の47都道府県のすべてを訪れ、被爆地の広島・長崎の式典にも出席。2011年には東日本大震災も経験した。
震災当時の様子を以下のように述懐する。
《 東京・赤坂の米国大使館から外の駐車場に避難した後、私が最初にしたことは、ワシントンへの連絡でした。
9階の自室で感じた激しい揺れは、地震が多いサンフランシスコで生まれ育ち、地震に慣れたつもりでいた私の想像をはるかに越えていました。
米国は真夜中でしたが、オバマ大統領とクリントン国務長官は私の説明を真剣に聞いたうえで、こう言いました。
「 危機に直面している日本人を助けるため、必要なすべてのことをしてください 」と。
その直後、太平洋岸を大津波が襲い、福島県の原子力発電所が危険な状態にあるという情報が届きました。
短時間のうちに恐ろしい出来事が次々と起きていく中、私は一本の電話を入れました。相手は在日米軍の司令官です。
米軍を動員して、日本人と日本政府を支援することが最良の方法と考えました。これが「トモダチ作戦」です。
作戦は米政府の了承のもと、すぐに展開され、兵士ら約2万4000人が被災地での救助・捜索活動などを行い、原発事故にも対応しました。
日本の米大使としてはもちろん、在留米国人約15万人と日本で勤務する兵士ら約5万人の安否確認が最優先の業務でした。ですが、米国の最も重要な、深い絆で結ばれた日本のことを後回しにはできませんでした。 》
2011年10月、大震災での卓越したリーダーシップにより、合衆国政府から模範的外交官に与えられる「スー・M・コブ賞」が授与された。また、震災を機に公益財団法人・米日カウンシルと在日米国大使館が主導する官民パートナーシップ「TOMODACHIイニシアチブ」の創設では指導力を発揮。この功績により、2012年には広報分野での優れた業績に対して与えられる合衆国国務省「特別金賞」(Special Gold Standard Award for Public Affairs Excellence)を受賞している。
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