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矢野龍渓の随筆「変化、不変化」の名言(1851~1931 / ジャーナリスト・新聞経営者・小説家・政治家 郵便報知新聞社長 大阪毎日新聞副社長)[今週の防災格言750]

time 2022/05/09

矢野龍渓の随筆「変化、不変化」の名言(1851~1931 / ジャーナリスト・新聞経営者・小説家・政治家 郵便報知新聞社長 大阪毎日新聞副社長)[今週の防災格言750]


『 短時間に変化するものは、ひとの変化を知る、長時間に変化しつゝあるものは、ひとあるいこれを知らず、しかしてじつは常に変化しつゝあるなり。これしてこれを言えば、天地万物な変化しつゝあらざるものなし。 』

 

矢野龍渓(1851~1931 / 新聞経営者・小説家・政治家 代表作『経国美談』)

 

格言は、著書『龍渓随筆』(1911年)より。

同書には、地震の随筆もある。
幕末以降の当時の迷信では、熱い夏季には地殻が膨張し、寒い冬季に収縮するから地震が起るといった、太陽と地震(地殻の活動)との関係が俄かに信じられてもいた。

矢野龍渓は、いつの頃の歌かは不明としながら、地震が起こった時刻によって天気予報、風雨晴曇を予知する狂歌が伝わっていると記している。

何れの頃より伝わりしものか知らねども、往々(おうおう)能(よ)く的中す。(但し大激震は例外なり)

 十二四八しはちの雨に、とおひでり
    二六にろくならば、かぜと知るべし

昼夜を問わず、地震が十二時に起れば天気病み晴曇(せいどん)相半(あいなか)ばして、どんよりせるものとなる、四時八時に起れば雨となり、十時に起れば、晴となるの類(るい)なり。

 

矢野龍渓(やの りゅうけい)は、明治大正時代に活躍した政治家、ジャーナリスト、新聞経営者、小説家。本名は文雄(ふみお)、号は龍渓、天峯居士。慶應義塾に学び、福澤諭吉の門下として福澤の推薦で大隈重信の幕下となる。大隈とともに立憲改進党結成に参画、党幹部となって郵便報知新聞社を買収しその社長となり「郵便報知新聞(後の報知新聞)」を立憲改進党機関紙とし、官憲派の「東京日日新聞」などに対抗した。また同紙に政治小説『経国美談』を連載して、民権思想の浸透を図った。明治21年(1888年)の黒田清隆内閣での大隈の外務大臣就任は、伊藤博文と親しかった矢野龍渓の献策という。

1851年1月2日(嘉永3年12月1日)豊後国(大分県)佐伯藩(毛利家)藩士で浦奉行や町奉行、郡奉行を歴任した矢野光儀(やの みつよし / 1822~1880)の長男として生まれる。
佐伯藩校「四教堂(しこうどう)」に入り、儒学者の秋月橘門(あきづき きつもん)や帆足萬里(ほあし ばんり)に学び、武士として鉄砲術免許皆伝。慶應4年(1868年)鳥羽・伏見の戦いで朝廷親兵分隊長として京都警護に従軍。維新後に父・光儀が江戸葛飾県大参事となり、一家は上京した。明治4年(1871年)慶應義塾に入り、明治6年(1873年)卒業後は同校講師となる。明治7年(1874年)著書『西洋言行録(西洋偉人言行録)』を出版。明治9年(1876年)慶應義塾の大阪分校の校長、明治10年(1877年)には徳島分校の校長に就任。明治12年(1879年)福澤諭吉の推薦で、牛場卓蔵、犬養毅、尾崎行雄らとともに政府官吏となり、大蔵省に入省。明治13年(1880年)福澤諭吉とともに社交クラブ「交詢社(こうじゅんしゃ)」を創設し常議員となる。明治14年(1881年)大隈重信と計って「郵便報知新聞」を買収し、郵便報知新聞社社長に就任するが、大隈重信が井上毅による「明治十四年の政変」で政界を追われると、大隈に従って在野に下った。明治15年(1882年)大隈とともに東京専門学校(後の早稲田大学)設立にも携わる。同明治15年(1882年)大隈が立憲改進党を結党すると、政治結社「東洋議政会(慶應義塾の三田派)」を率いこれに参加。
明治16年(1883年)政治小説『経国美談』を発表すると、これが大評判となる。明治18年(1885年)新聞事業視察のためにヨーロッパ諸国を外遊し、帰朝後の明治19年(1886年)には『郵便報知新聞』を政治新聞から文化新聞へ刷新する経営再建を行い、小栗貞雄や三木善八を起用し、購読料引き下げ、記事の充実、文体の平易化、配達の敏速化を進めた。明治23年(1890年)第1回帝国議会では明治天皇の侍従としてこれに参列し、その後は宮内省に入り、宮内省御用掛、皇族令取調委員、帝室礼式取調委員、式部官を歴任した。
明治30年(1897年)日清戦争の際は時の外務大臣・大隈重信の強い要望により、清国特命全権公使(清国駐箚(ちゅうさつ)特命全権公使)に就き、2年間北京に滞在し、日清戦争後の清国で李鴻章(りこうしょう)ら高官と渡り合い、光緒帝(こうしょてい)や西太后(せいたいごう)らに謁見し、清国外債借入問題処理に活躍した。この間、列強諸国に浸食されつつある清国に福建省の不割譲を確約させ、また日本への留学生派遣を清国側に提案するなど積極的な日清外交を行なった。
明治32年(1899年)公使退任以降は、政治から身を引き、月刊誌『東洋画報』顧問、『近事画報』社長として作家・国木田独歩を引き立て、本山彦一の大阪毎日新聞社に入り、相談役、監査役、副社長を歴任。この間に社会主義に関心を持ち、社会主義的市場経済を論じた『新社会』(1902年)やその理想社会を描いた小説『不必要』(1907年)を発表した。昭和6年(1931年)6月18日、千駄ヶ谷町(現在の東京都渋谷区)の自宅で死去、82歳。墓地は多磨霊園にある。


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著者:平井敬也(週刊防災格言編集主幹)

 

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