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森田正光が著書『理不尽な気象』に記した名言(お天気キャスター)[今週の防災格言493]

time 2017/06/05

森田正光が著書『理不尽な気象』に記した名言(お天気キャスター)[今週の防災格言493]


『 私たちが目指してきた「安心で便利な暮らし」が、どうも人々の想像力、危険を察知する能力を摘み取っているような気がしてなりません。 』

森田正光(1950〜 / お天気キャスター (株)ウェザーマップ代表取締役)

格言は著書『理不尽な気象(講談社+α新書 2007年)』の「防災意識の低下が怖い」より。

2007(平成19)年9月7日、神奈川県小田原市付近に上陸した台風9号は、関東地方の山沿いに500〜700ミリの大雨を降らせ、東京・神奈川の境の多摩川が増水、住宅街に水が迫ったため、一時、避難勧告も出されることになった。

曰く―――。

《 いくら予報精度が上がっても、それをちゃんと活用できないと災害を未然に防ぐことはできないのです。今回の台風では「台風が離れて行っても、大きな河川はまだ増水する恐れがある」と警告していたにもかかわらず、神奈川県でカヤックの転覆事故が発生してしまいました。防げたはずの事故が起きてしまったのは、本当に残念で仕方ありません。世田谷区では、もっと深刻な実態が明らかになりました。避難勧告が出たのに、多くの区民が避難しなかったのです。

9月6日夜から多摩川の水位が上昇したため、区は7日午前5時12分、多摩川周辺の740世帯、1490人に避難準備情報を発令、二子玉川小学校に避難所を設置しました。そして午前6時20分、多摩川が避難判断水位を超えたため避難勧告が発令されました。ところが、広報車や地元FM放送が避難を呼びかけたのに、避難したのはわずか4世帯6人しかいなかったそうです。

これを受けて世田谷区長は会見を開き「区民は勧告に応えてほしい。災害が来てからでは遅い」と苦言を呈しました。今回は結果的に被害が出なかったものの、多摩川の状況次第、あるいはあと少しでも雨量が多かったら、1484人が被害に遭っていた可能性もあったのです。

ひと昔前に比べると、確かに人的被害は少なくなりました。しかしこれは、過去の大きな災害による、さまざまな犠牲と教訓の上に成り立っているのです。今、当たり前のものとして寄りかかっている「安全」が、想定以上の事態を前に脆くも崩れてしまい、再び大水が押し寄せてくることくらい自覚するべきだと思います。 》

森田正光(もりた まさみつ)さんは、愛知県名古屋市出身のお天気キャスター(気象予報士)。親しみやすいキャラクターと、斬新な切りロによる天気解説で人気を集め、テレビ、ラジオで多数のレギュラーを持つ。

愛知県立犬山高等学校を卒業後、日本気象協会東海本部に入る。その後、東京本部勤務を経て、1992(平成4)年にフリーのお天気キャスターとなる。同年、気象会社「ウェザーマップ」を設立し代表取締役に就任。
2005(平成17)年には日本生態系協会理事となり、生物多様性に関する広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーとして活動している。

■「森田正光」「気象学者」に関連する主な防災格言内の記事
倉嶋厚(気象学者・お天気キャスター 元気象庁主任予報官)(2019.07.22 防災格言)
宮澤清治 (気象学者・お天気キャスター)(2016.09.05 防災格言)
池上彰(ジャーナリスト ニュースキャスター)(2010.07.19 防災格言)
筑紫哲也(ニュースキャスター)(2009.09.21 防災格言)
伊藤和明(元NHK解説委員)(2009.7.20 防災格言)
小田貞夫(元NHK解説委員)(2009.08.17 防災格言)
荒川秀俊 (気象学者)(2016.10.03 防災格言)
福田矩彦 (気象学者・米ユタ大学名誉教授)(2013.12.09 防災格言)
森田正光 (お天気キャスター)(2017.06.05 防災格言)
村野賢哉 (科学評論家・元NHK解説委員)(2016.08.08 防災格言)
藤原咲平 (気象学者)(2013.10.28 防災格言)
和達清夫 (物理学者 初代気象庁長官)(2007.12.03 防災格言)
圓岡平太郎 (中央気象台鹿児島測候所長 口永良部島新岳噴火(1931年)報告書)(2015.06.01 防災格言)
竹内均[1] (物理学者)(2010.09.06 防災格言)
竹内均[2] (物理学者)(2016.04.04 防災格言)
寺田寅彦[1](物理学者)(2007.11.26 防災格言)
寺田寅彦[2](物理学者)(2009.03.02 防災格言)
寺田寅彦[3](物理学者)(2009.10.12 防災格言)
寺田寅彦[4](物理学者)(2011.06.20 防災格言)
寺田寅彦[5](物理学者)(2016.08.01 防災格言)
寺田寅彦[6](物理学者)(2017.08.21 防災格言)
寺田寅彦[7](物理学者)(2018.06.25 防災格言)
寺田寅彦[8](物理学者)(2019.03.11 防災格言)
寺田寅彦[9](物理学者)(2019.06.24 防災格言)

■「洪水・水害」に関連する防災格言内の主な記事
利根川改修工事に見る水害の歴史(2010.2.26 店長コラム)
利根川の洪水想定 首都圏で死者4,500~6,300人(2010.3.5 店長コラム)
小田原評定(水俣土石流災害)(2006.1.29 店長コラム)
豪雨そして土砂災害。その犠牲者はいつも老人ホーム(2010.7.20 店長コラム)
諫早豪雨の教訓から(1957(昭和32)年7月25日)(2017.07.10 防災格言)
松野友(岐阜県本巣郡穂積町町長 日本初の女性村長)(2015.03.02 防災格言)
及川舜一(元岩手県一関市市町 カスリーン台風とアイオン台風の大水害)(2015.09.14 防災格言)
小川竹二(元新潟県豊栄市長 下越水害)(2017.09.11 防災格言)
奥貫友山(利根川・荒川水害である寛保大水害時の慈善家)(2010.4.5 防災格言)
川合茂(河川工学者 舞鶴工業高等専門学校名誉教授)(2011.08.15 防災格言)
高橋裕(河川工学者 東京大学名誉教授)(2017.06.12 防災格言)
幸田文(随筆家・小説家 代表作『崩れ』『流れる』)(2015.05.11 防災格言)
桑原幹根(愛知県知事)(2014.09.15 防災格言)
廣井悠 (都市工学者)(2012.03.12 防災格言)
大隈重信 (佐賀藩士・早稲田大学創立者)(2010.09.27 防災格言)
下田歌子 (歌人・実践女子学園創始者)(2009.12.14 防災格言)
平生釟三郎 (川崎重工業社長)(2009.11.02 防災格言)
山下重民 (明治のジャーナリスト 風俗画報編集長)(2008.09.22 防災格言)
吉田茂 (政治家)(2008.05.05 防災格言)
脇水鉄五郎(地質学者・日本地質学会会長)(2011.07.18 防災格言)
谷崎潤一郎 (作家)(2014.12.08 防災格言)
矢野顕子 (シンガーソングライター ハリケーン・サンディ水害)(2016.10.17 防災格言)
森田正光 (お天気キャスター)(2017.06.05 防災格言)
中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」(2008年9月8日)より(2018.07.09 防災格言)
二宮尊徳翁(二宮金次郎)(江戸時代後期の経世家・農政家)(2012.01.30 防災格言)
上杉鷹山 (江戸時代中期の大名 出羽国米沢藩9代藩主)(2010.04.12 防災格言)
莅戸善政[1] (かてもの作者 出羽国米沢藩家老)(2008.03.17 防災格言)
莅戸善政[2] (かてもの作者 出羽国米沢藩家老)(2011.12.05 防災格言)
中江藤樹 (江戸時代初期の陽明学者 近江聖人)(2010.11.22 防災格言)
『百姓伝記』(1680~1682年・著者不明)巻七「防水集」より(2018.08.27 防災格言)
中西 進(国文学者 大阪女子大名誉教授 文化勲章受章)(2019.04.08 防災格言)
寺田寅彦[9](物理学者 室戸台風直後の随筆から)(2019.06.24 防災格言)
藤原咲平 (気象学者 室戸台風後の著書『天気と気候』より)(2013.10.28 防災格言)
丹羽安喜子(歌人 室戸台風で罹災)(2016.08.22 防災格言)
倉嶋厚(気象学者・お天気キャスター 元気象庁主任予報官)(2019.07.22 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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