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金子堅太郎の著書「戦後経済の方針及機関」(1895年)の名言（1853～1942 / 官僚・政治家司法大臣・農商務大臣・枢密顧問官）[今週の防災格言763]

time 2022/08/22

『国家の独立を保維（ほい）するには兵器の戦争と貿易の戦争との二途に外ならず。』

金子堅太郎（1853～1942 / 官僚・政治家司法大臣・農商務大臣・枢密顧問官）

曰く―――。

夫れ国家の独立を保維（ほい）するには兵器の戦争と貿易の戦争との二途に外ならず。
而して兵戦に於ける我国の実力価値は既に宇内（うだい）各国の認定する所なるも、商戦の実力に至りては不幸にして未だ宇内列国の目を驚かすに足らず。
国家の為め特に慨歎（がいたん）に堪えざる次第なり。

（著書「戦後経済の方針及機関」(1895年)より）

金子堅太郎（かねこけんたろう）は、明治時代の官僚・政治家。
ハーバード大学留学時代の学友セオドア・ルーズベルト大統領の支援を得て、外債を募集し、日露戦争の講話実現に尽くした人物。

ペリー提督率いるアメリカ艦隊（四隻）が浦賀に入港し日本に開国を迫った「ペリー来航」の年（1853年）に生まれ、第15代将軍・徳川慶喜が政権返上した「大政奉還」の年（1867年）に元服する。
世の中が鎖国政策から海外との開国進取へと変わるなかを生き抜き、司法大臣、農商務大臣、枢密顧問官を歴任し、大日本帝国憲法の起草や皇室典範などの法典整備に活躍、東京帝国大学の初代行政法講座初代担当者（1886年～1888年）や、日本法律学校（現・日本大学）初代校長などを務め、従一位大勲位伯爵に叙された。

嘉永6年2月4日（1853年3月13日）、福岡藩の貧しい下級武士・金子清蔵直道、母安子の長男として、筑前国早良郡鳥飼村（現・福岡市中央区鳥飼三丁目）に生まれる。幼名は徳太郎といった。
厳格な父のもと、幼少期から金山和蔵の私塾や正木昌陽の不狭学舎に学びながら、文久3年（1863年）11才で藩校修猷館（現在の福岡県立修猷館高等学校の前身）に入学。
慶應3年（1868年）に父親が病死すると16歳で家督を継ぎ、明治維新後、優秀な成績が評価され、明治2年（1869年）には永代士分へと取り立てられ秋月藩（福岡藩の支藩）への留学を命ぜられて、藩校稽古館で陽明学を学び、さらに家老から東京留学を命ぜられ、松山藩大参事・藤野正啓の漢学塾に学んだ。明治4年（1871年）岩倉使節団として福岡藩主・黒田長知に随行し、團琢磨とともにアメリカ留学。
ボストンでオリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア（Oliver Wendell Holmes, Jr. / 弁護士後のハーバード大教授、連邦最高裁判事）に師事し、ハーバード大学ロースクールに入学。ハーバード大には小村寿太郎（1855～1911 / 後の外務大臣・侯爵）がおり、二人は同宿し寝食を共にし、大学在学中に後の大統領セオドア・ルーズベルトと面識を得る。明治11年（1878年）ハーバード大学を卒業し、帰国後は東大予備門（旧制第一高等学校の前身）の教員をしながら、西欧留学帰朝者団体「共存同衆」や「嚶鳴社」に入り、英米法制度を論じ、法律を教え、演説・講演会などを通じ自由民権運動を行なった。伊藤博文の知遇を得て、明治18年（1885年）総理大臣秘書官となり、のちに枢密院議長秘書官、貴族院議員となり、伊藤博文のもとで井上毅、伊東巳代治らと共に大日本帝国憲法、皇室典範、貴族院令、衆院議員選挙法など諸法典の起草に当たった。
以降、伊藤博文のもとで官僚・政治家を務め、立憲政友会の創立に参画し、明治31年（1898年）第三次伊藤内閣の農商務相、明治33年（1900年）第四次伊藤内閣の司法相を歴任、明治39年（1906年）枢密顧問官となって自らを「憲法の番人」と称した。日露戦争（1904年～1905年）では、伊藤の意を受け渡米し世論工作を担当した。金子は、ルーズベルト大統領に接触し援助を求めるととも、日本外交を有利にするため全米各地で講演を行い、ポーツマス講和の成立に貢献した。晩年は、賀川豊彦・松田竹千代・三木武夫らとともに「日米同志会」を立ち上げ会長となり日米友好に尽力し、維新史料編纂会総裁として「明治天皇紀」編修の中心となった。
昭和17年（1942年）5月16日、死去。89歳。

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