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バジル・ホール・チェンバレンが著書『日本事物誌 1』に記した格言(東京大学名誉教授)[今週の防災格言391]

time 2015/06/15

バジル・ホール・チェンバレンが著書『日本事物誌 1』に記した格言(東京大学名誉教授)[今週の防災格言391]


『 地震は防止できるであろうか。もし防止できないならば、少なくとも予知できるであろうか。残念ながら、この質問は二つともノーで答えねばならない。 』

バジル・ホール・チェンバレン(1850〜1935 / イギリスの日本語学者)

格言は高梨健吉訳『日本事物誌 1(東洋文庫 1969年)』地震と火山より。

曰く―――。

《 「ああ、私はどんなに地震を感じたいと思っていることか!」とは、一般にヨーロッパから初めて日本に上陸した人びとの最初の叫びの一つである。
「何とつまらないことに人は大騒ぎをするのだろう」とは、一般に二回目の地震を経験したときの彼の言葉である。しかし、五回、六回となると、彼はもはや地震を経験したくなくなってくる。

この地震の国に住めぱ住むほど、彼は地震に対する恐怖が増してくる。日本は太古の昔から地震国であった。実際、地質学者の語るところによれば、地震と火山の活動がなければ、日本の大部分は生れてこなかったであろう。何度も火山爆発を繰り返すことによって、日本全土は海洋から隆起したのである。
地震の原因は依然として不明である。学者たちは、現在のところ、原因は種々多くあるという意見に傾いている。しかし、一般に地震と火山との間に相互関係があることは疑問の余地がない。≪中略≫

理論的精神を持つヨーロッパ人の到来によって、新時代が始まった。一八八〇年(明治13年)に日本地震学協会が創設されたが、これは主としてジョン・ミルン教授の努力によるものであった。彼は全力を傾けてこの問題と取り組んだ。地震、大地の振動、大地の流動、一般的な地震や火山の現象が実に多数の材料を提供している。日本政府も助力の手をさしのべ、帝国大学に地震学講座を作り、帝国全土にわたって観測所を数百も設けている。ついでながら、帝国には、少なくとも五一の活火山が散在し、毎年約五〇〇回の地震を感ずる。

地震は防止できるであろうか。もし防止できないならば、少なくとも予知できるであろうか。残念ながら、この質問は二つともノーで答えねばならない。それでも、ミルン教授とその協力者の力によって、或る程度の実際的な結果が出ている。これは決して軽蔑さるべきではない。今では、或る任意の地点の「地震測定」が可能となり、どの地方がもっとも地震を受け難いか、を示すことができる。また、建物の土台を土の表面から完全に孤立させれば、建物を損害から比較的に守ることができることも証明された。その理由は、土の表面は隣接する土の下層よりも震度が烈しいことである。ちょうど、幾つかのビリヤードの球を一列に並べて、最初の球に衝撃を与えると、最後の球だけが飛び出て、中間にある球はほとんど動いていないのと同じである。同じ理由によって、断崖の端近くに建てることは危険である。≪中略≫

かくして、未だ不完全ではあり、この問題の性質上から、いつまでも不完全であるかも知れぬが、地震学はすでに実際的な成果を生み、何万ドルも節約する効果をあげている。 》

バジル・ホール・チェンバレン(Basil Hall Chamberlain)は、ポーツマス・サウスシー(Southsea)生まれのイギリス人日本研究者で、外国人として初の東京帝国大学名誉教師(東京大学名誉教授)となった人物。彼の父バジル・ホールは英国海軍提督として、琉球列島や朝鮮沿岸を最初に訪れたヨーロッパ人の一人であり、母はスコットランドの旧家ダグラス一族ホール家の出身であった。1873 (明治6)年に23歳で初来日。以来、1905(明治38)年まで30年にわたって海軍兵学寮(海軍兵学校)や東京帝国大学文科大学(東京大学)で教師をしながら、日本語(アイヌ語・琉球語含む)の研究業績や日本文学を日本アジア協会・ロンドン日本協会・イギリス人類学会などに紹介した。1890(明治23)年には世界初の日本のガイドブック『日本事物誌(Things Japanese:Being Notes on Various Subjects Connected with Japan (for the Use of Travellers and Others))』を刊行。『日本事物誌』は以降、時代とともに6版を重ねるベストセラーとなった。
1882(明治25)年以降は、数度、英欧日本間を往復したが、視力と体力の衰えを感じ、1905(明治38)年に日本を去りスイス・ジュネーブへと移り住んだ。その後、1910(明治43)年から翌1911年にかけて一度だけ来日したのが最後となり、1935(昭和10)年2月15日にジュネーヴにて死去。84歳。

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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