『 やたらに人ごみで咳をするな。咳をする人はマスクをかけるぐらいの慎しみを持とう。 』
遠藤周作(1923~1996 / 小説家・随筆家 代表作「白い人(芥川賞)」)
狐狸庵(こりあん)先生こと遠藤周作のエッセイには風邪の話がよくでてくる。
売れっ子作家として、風邪をひかないように日頃から気をつかっており、インフルエンザの季節にはマスクをすることも多かった。
というのも、若いころから体が弱く、ちょっとのことで風邪をひいていた。29歳で肺結核を患い、三年半の闘病生活を経て肺葉を切除し、退院すると医者からの勧めで栄養のあるものを食べすぎ、今度は糖尿になってしまい、酒好きもたたって肝臓病も併発。晩年は様々な病気で入退院を繰り返した。
曰く―――。
《 やたらに人ごみで咳をするな。咳をする人はマスクをかけるぐらいの慎しみを持とう。
それが証拠には音楽会で演奏中、咳をする人は少ない。我慢しようと思えば我慢できるのだ。
一発の咳でウイルスは二メートル四方にとぶことを御存知だろうか。
一人の咳によって風邪にくるしむ人が三人できることを御存知だろうか。 》
(出典:『心の砂時計(1992年)』収録のエッセイ「経済一流、礼儀は三流」より)
マスクをすることについて曰く、
《 私も風邪をひいているからマスクをするのではなく、他人の咳から身を守るためマスクをするのである。
お医者さまは何とおっしゃるかわからぬが、風邪は寒さでひくのではない、ビィールスで伝染するのだ。 》
(出典:『変わるものと変わらぬもの(1990年)』収録のエッセイ「風邪除けマスク」より)
とも述べている。
遠藤周作(えんどう しゅうさく)は、1923(大正12)年3月27日、東京巣鴨生まれの作家。
父親は第三銀行(安田銀行)行員を経て、後に安田財閥系の安田興業社長・会長を務めた実業家・遠藤常久(えんどう つねひさ / 1897~1989年)。
10歳のとき、両親が離婚。母に連れられ神戸の六甲小学校に転校し、私立灘中学、上智大学予科、慶應義塾大学文学部予科を経て1945(昭和20)年に慶應義塾大学文学部仏文科に進学。
慶應大学生時代から「三田文学」にエッセイや評論を発表。カトリック教徒として、キリスト教を主題にした作品を多数執筆。大病を患い、東京町田の玉川学園に転居してから関西弁の「こりゃ、あかんわ(狐狸庵閑話)」をもじって「狐狸庵(こりあん)」の雅号を名乗り、ユーモアに富んだエッセイを多く手がけた。
1955(昭和30)年『白い人』で第33回芥川賞を受賞、1958(昭和33)年『海と毒薬』で第5回新潮社文学賞、第12回毎日出版文化賞受賞、1966(昭和41)年『沈黙』で第2回谷崎賞受賞。1979(昭和54)年『キリストの誕生』で第30回読売文学賞受賞。1980(昭和55)年『侍』で第33回野間文芸賞受賞。
他に日本芸術院賞(1979年)、文化勲章受章(1995年)。
1996(平成8)年9月29日、入院先の慶應義塾大学病院にて死去。73歳。
遠藤周作先生は、古くからサバイバルフーズをご愛顧いただいた方でもありました。
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