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下鶴大輔（1924〜2014 / 火山学者火山噴火予知連会長東京大学名誉教授）が国会・災害対策特別委員会（1974年）で遺した名言 [今週の防災格言399]

time 2015/08/10

『臨界状態にある火山の噴火は、ある非常に簡単な引き金作用によって起こる可能性がある。その引き金作用が一体何であるかは、現在のところよくわかっていない。』

下鶴大輔（1924〜2014 / 火山学者火山噴火予知連会長東京大学名誉教授）

下鶴大輔（しもづるだいすけ）は、東京大学地震研究所所長や日本火山学会会長などを歴任した火山物理学者。
1981（昭和56）年から12年にわたって第2代火山噴火予知連絡会会長を務め、その間に、伊豆諸島の三宅島噴火（1983年）、伊豆大島の三原山噴火（1986〜1990年）、十勝岳噴火（1988〜1989年）、伊豆半島東方沖の海底噴火（1989年）、雲仙普賢岳（1989〜1995年）と噴火に相次いで直面したことから「ミスター予知連」の異名で呼ばれた。
特に、伊豆大島の住民全員が一ヶ月にわたって島外避難した1986（昭和61）年の伊豆大島の三原山噴火災害の際に、連日記者会見を行い、また、住民の避難や一時帰島をめぐり自治体と厳しいやり取りを行ったことでも知られる。
東京都出身。旧制第二高等学校を経て、東北帝国大学理学部地球物理学科を卒業し、火山研究の道に進み、1966（昭和41）年に東京大学地震研究所教授、1981（昭和56）年から1983（昭和58）年まで東京大学地震研究所所長を務め、1986（昭和61）年に東京農業大学教授となる。
1990（平成2）年に防災功労者内閣総理大臣表彰、1996（平成8）年に勲二等瑞宝章受章。2014（平成26）年6月25日に肺炎のため90歳で逝去。

格言は1974（昭和49）年11月26日の国会（衆議院）災害対策特別委員会の発言から。

曰く―――。

《火山の噴火は、火口底の破壊で、これは固体の破壊、それからマグマが上昇して噴火するということは、これは液体の破壊につながっていますが、そのような破壊現象というものは、これは確率論的仮定と申しまして、われわれがその噴火の危険性というものについて確率論的にしかものが言えないということが噴火予知の宿命です。したがいまして、ある短期的な予報としていつごろ噴火があるという表現のしかたは、噴火の危険度が何十％ぐらいであるということになります。そして、観測を充実させて次第にその精度を上げていくという方法をとらざるを得ない。
また、一つの火山が臨界状態にあるかどうかということを観測によって、もし知り得た場合に、その火山が噴火するかどうかは、ある非常に簡単な引き金作用によって起こされる可能性があります。したがいまして、臨界状態であるということをわれわれが発見した場合に、その噴火は非常に簡単な引き金作用で起こる可能性がある。その引き金作用は一体何であるかということについては、現在のところよくわかっておりません。》