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大プリニウス（AD23～AD79 / 古代ローマ帝国の博物学者・政治家）の著書『博物誌』からの名言 [今週の防災格言690]

time 2021/03/15

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大プリニウス（AD23～AD79 / 古代ローマ帝国の博物学者・政治家）の著書『博物誌』からの名言 [今週の防災格言690]

『この世界でただ一つ確かなことは、確実なものなど何もない、ということである。』

大プリニウス（AD23～AD79 / 古代ローマ帝国の博物学者・政治家・軍人）

格言は著書『博物誌』（Naturalis Historia, Vol.Vi Cb）より。

2011年3月に発生した東日本大震災による福島原発事故の際に「福島第一原発から20キロ圏外であればリスクはほとんどない」という判断に基づいた迅速な危機対応により高い評価を受けたイギリス政府。
このイギリス政府の方針決定の科学的根拠を担った中心人物のサー・ジョン・ベディントン卿（元イギリス政府首席科学顧問）は、来日した際の講演（駐日英国大使館・政策研究大学院大学共催シンポジウム「緊急事態における科学者の情報受発信～フクシマからの教訓(2011年5月30日)」）のなかで、この大プリニウスの言葉を引用し、事故への警鐘とした。

ガイウス・プリニウス・セクンドゥス（Gaius Plinius Secundus）は、ローマ帝国の属州総督を歴任する傍ら、ゲルマニア戦記（全20巻）、ローマ史（全31巻）や現存する唯一の著作である百科全書『博物誌（全37巻）』といった102編におよぶ多数の著作を残した博物学者。
甥（養子）の文人であるガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス（小プリニウス）と区別するため一般的に大プリニウスと呼ぶ。

北イタリアに生まれたプリニウスは、自然哲学を信奉するストア派の学識者として知られ、20歳代の頃にローマ軍のゲルマニア遠征に従軍し、30歳の頃にローマで法学を学び、後に総督としてヒスパニア・タラコネンシス（スペイン北部）に赴任。晩年はイタリアへと戻り、ローマ帝国皇帝・ウェスパシアヌス帝（AD9～AD79）のもとで要職を歴任した。
ナポリ近郊のミセヌムでローマ西部艦隊司令長官の任にあったAD79年、突如ヴェスヴィオ火山が大噴火して、火砕流に巻き込まれたヘルクラネウムとポンペイの町が壊滅した。火山調査とともに友人とその家族の救助を試みようとした大プリニウスは、ナポリ湾をわたってスタビアへと上陸した際に、恐らく火山災害に巻き込まれ死亡したという。56歳。

Pliny the Elder