『 一見したところ、動物の地震予知などという話は、現代科学の合理的世界にはふさわしくないようにみえるし、またいつでも自由に検証できる現象でもないという欠点がある。
しかし真剣な科学研究の対象になったことが今まで一度もないのに、たいていの人は、それを錯乱的な体験をした人々が当時を思いおこす際に頭の中で作りあげた絵空事だとして片付けてしまう。
この問題に本気で取り組もうとする科学者は、自分の名声に傷がつくかもしれないというおそれと同時に、援助は一切与えられないことも覚悟しなければならないだろう。 』
ヘルムート・トリブッチ(1943〜 / ドイツの自然科学者 ベルリン自由大学名誉教授)
格言は著書「動物は地震を予知する “Wenn die Schlangen erwachen”(渡辺正訳 朝日選書(277) 1985年)」より。
イタリア・フリウリ州のドイツ語系住民として生れたヘルムート・トリブッチ(Prof. Helmut Tributsch)氏は、物理化学分野の一つである太陽エネルギーの科学的な変換・貯蔵技術研究の世界的権威として知られる科学者。オーストリアで高等教育を受けた後、西ドイツ・ミュンヘン工科大学で物理学を専攻し1968年に学位(博士)取得。1969年、ノーベル化学賞を受賞したアメリカの生化学者のメルヴィン・カルヴィン(1911〜1998)教授に招かれカリフォルニア大学バークレー校で二年間の光合成モデル研究を行い、その後、南米チリ・ボリビア・ペルーの国家プロジェクト(微生物を用いた鉱山技術研究)の科学顧問に迎えられた。1977年には西ベルリンのフリッツ・ハーバー研究所、翌1978年、パリの仏国立科学研究センター(CNRS)の研究員、1982年にベルリン自由大学の物理化学教授(2008年退任し名誉教授)に就任。2008年よりベルリンのハーン・マイトナー原子核研究所の太陽エネルギー部門主任研究員。
専門分野だけにとどまらず動物の生物理学的機能の解説書、古代遺跡の物理学的研究、古代文明アトランティス大陸の謎などについての科学書を発表する非常にユニークな研究者としても知られている。
著書「動物は地震を予知する」は、トリブッチ氏の出生地であるイタリア・フリウリ州を震源とする地震(1976年5月6日 M6.5 死者930人 イタリア北東部地震)で現地の人たちの動物の異常行動についての報告が寄せられたことをきっかけに研究を始めたもの。
尚、トリブッチ氏は、パリのCNRS時代に来日。この時、愛知県岡崎市の分子科学研究所に約半年ほど研究員として滞在されている。
■「トリブッチ」氏に関連する防災格言内の主な記事
劉英勇 (中華人民共和国初代国家地震局局長・宏観現象による地震予知成功例)(2012.02.06 防災格言)
力武常次 (宏観現象の研究でも著名な地球物理学者)(2011.10.24 防災格言)
地震とナマズ (2003.12.20 編集長コラム)
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