『 人命と原発だけは千年に一度を無視してはいけない。 』
都司嘉宣(1947〜 / 地震学者 理学博士 元東京大学地震研究所准教授)
格言は東京大学地震研究所(2012年3月25日開催)公開講座『2011年東日本大震災〜津波被害調査から』より。
曰く―――。
これまで漠然と「千年一度なんて発生確率の小さい津波は問題にしないことにしよう」と皆、思っていたのである。ところが、東日本震災の津波によって、この考えが間違っていたことを徹底的に思い知らされた。
「千年一度の大津波」はその海岸に生まれ、天寿を全うして八十年生きる人にとって、遭遇する可能性は8%である。そうして、遭遇したら、死ぬ確率が極めて高いのである。8%の遭遇危険性は、決して無視できる程の小さな数字ではなかったのだ。
都司嘉宣(つじ よしのぶ)先生は、奈良県生れの地震学者。古文献の解読とフィールドワークに基づく日本の歴史地震・津波災害の研究で知られる。国内だけにとどまらず、ニカラグア、 インドネシア・フローレス島、ジャワ島東部、イリアンジャヤ、パプアニューギニアなど海外の被災地にも精力的に足を運ばれている。
灘中学、麻布高校を経て東京大学工学部土木工学科を卒業。小さい頃から地学が好きだったこともあり東京大学大学院へ進学し地球物理学を学び直す。科学技術庁防災科学技術センター研究員を経て、1986(昭和61)年に東京大学地震研究所助教授に就任。1989(平成元)年、歴史地震の第一人者であった東京大学地震研究所・宇佐美龍夫名誉教授が設立(設立は1984(昭和59)年)された「歴史地震研究会」の第3代代表となり、以降2007(平成19)年まで18年間代表を務められた。2012(平成23)年、東京大学を定年退官。現在は独立行政法人・建築研究所特別客員研究員、防災科学技術研究所客員研究員、産経新聞で『温故地震』を連載されるなど活躍されている。
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