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アルフレッド・ウェゲナー(1880~1930 / ドイツの気象学者・地球物理学者 「大陸移動説(1912年)」を提唱)の著書『大陸と海洋の起源』の名言 [今週の防災格言722]

time 2021/10/25

アルフレッド・ウェゲナー(1880~1930 / ドイツの気象学者・地球物理学者 「大陸移動説(1912年)」を提唱)の著書『大陸と海洋の起源』の名言 [今週の防災格言722]

『 大陸の移動、地殻の伸長と圧縮、地震、火山の噴火、海進と海退、極移動が因果関係で相互に結びついていることは間違いない。しかし、どれが原因でどれが結果なのかは、未来にならなければ明らかにはされない。 』

“Continental drift, faults and compressions, earthquakes, volcanicity, transgression cycles and polar wandering are undoubtedly connected causally on a grand scale. However, what is cause and what effect, only the future will unveil. ”

 

アルフレッド・ウェゲナー(1880~1930 / ドイツの気象学者・地球物理学者 「大陸移動説(1912年)」を提唱)

 

今から100年前、ウェゲナーは『大陸と海洋の起源』(1915年 “The Origin of Continents and Oceans”)という一冊の本をまとめ、地球の表面を覆う主な大陸、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸、南極大陸、オーストラリア島および主な海洋、太平洋、大西洋、インド洋がどのようにして現在の姿をたどったのかを「大陸移動説」で説明した。

太古の地球には一つの陸塊(パンゲア)と一つの海洋しか存在せず、マントル上に浮島として存在するパンゲアが、つねに巨大な圧力を受けて、分裂し、移動して、現在の大陸と海洋を形作ったという。それまで永久不変と考えられていた大陸が、長い年月をかけてゆっくりと移動するという常識を覆す「大陸移動説」が基礎となり、1960年代には現在の定説となる「プレートテクトニクス理論」が体系化し、地球科学(現代固体地球科学)の一大転機をもたらした。

格言の訳文の出典は、マイケル・R・ランピーノ著、小坂恵理 翻訳『繰り返す天変地異』(化学同人 2019年)P.203より。

 

原著に曰く―――。

大陸を移動させる力は、大褶曲山脈を生み出した力である。
大陸の移動、地殻の伸長と圧縮、地震、火山の噴火、海進と海退、極移動が因果関係で相互に結びついていることは間違いない。
これは、地球の歴史のある時期に共通して激化していることからも、それが真実であることを物語っている。
しかし、どれが原因でどれが結果なのかは、未来にならなければ明らかにはされない。

“The forces which displace continents are the same as those which produce great fold-mountain ranges.
Continental drift, faults and compressions, earthquakes, volcanicity, transgression cycles and polar wandering are undoubtedly connected causally on a grand scale.
Their common intensification in certain periods of the earth’s history shows this to be true.
However, what is cause and what effect, only the future will unveil.”
( The Origin of Continents and Oceans by Alfred Wegener, 1929. )

… … …

アルフレッド・ウェゲナー(Alfred Lothar Wegener)は、「大陸移動説」を唱えたドイツの気象学者。ベルリン大学、ハイデルベルク大学で天文学・気象学を学び、ドイツ海洋気象台理論気象部長兼ハンブルク大学教授、グラーツ大学教授などを歴任。生涯にわたり四回のグリーンランド遠征を行い、探検中に遭難し、グリーンランドの氷河で生涯を閉じた。
ウェゲナーの唱えた「大陸移動説」は、彼が亡くなった後も、学会から拒絶反応を示されてきたが、1960年代以降、古地磁気学の研究やマントル熱対流論などの地球物理学の進展に伴い再評価されることになった。

1880年11月1日、牧師・神学者の父親の5人の子どもの末子としてベルリンに生まれる。
ベルリンの独立学校(ケルニッシュ体育館学校)に学び、その後、物理学や気象学をハイデルベルグとインスブルックの大学で学び、1905年にフリードリヒ・ヴィルヘルム大学(現フンボルト大学ベルリン)で天文学の博士号を取得。その後、リンデンバーグ航空宇宙観測所の助手をして気象学・気象観測気球の研究に従事した。
1906年、デンマーク探検隊に応募し二年にわたるグリーンランド遠征に初参加。この経験が人生の決定的な転換点となり、その後、生涯に四度のグリーンランド探検を行うことになった。
1908年に帰国後は第一次世界大戦まで、マールブルク大学で気象学、応用天文学、宇宙物理学の講師を務めた。1910年、世界地図を見ているときに大陸移動説のアイデアを思いつき、1912年1月6日、フランクフルトで開かれたドイツ地質学会で初めて大陸移動説を発表した。
1914年、第一次世界大戦が始まると陸軍中尉として招聘されたが、ベルギー戦線で二度負傷した際に心臓が悪いことが判明したため、後方部隊で気象調査の任務に就いた。この間に大陸移動説の執筆をすすめ、1915年『大陸と海洋の起源(初版)』を出版した。その後、ドイツ海軍天文台の気象学者となりハンブルグに移住。1921年にはハンブルク大学上級講師に就任。1923年、古気候の先駆的研究を行い『地質学的過去の気候(Die Klimate der geologischen Vorzeit / English: The Climates of the Geological Past)』を出版。1924年、オーストリアのグラーツ大学の教授(気象学・地球物理学)に任命。グラーツ大学では竜巻の研究を行い、1917年にヨーロッパで最初の竜巻気候学を発表した。
学会で否定された「大陸移動説」の根拠を探すために、自身を隊長とするグリーンランド遠征を行なったが、1930年11月1日(50歳の誕生日)に悪天候で遭難し、翌1931年5月12日に捜索隊により基地から190km地点でウェゲナーの遺体が発見された。








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著者:平井敬也(週刊防災格言編集主幹)

 

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