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貝原俊民が阪神淡路大震災で遺した名言(1933~2014 / 兵庫県南部地震時の兵庫県知事)[今週の防災格言362]

time 2014/11/17

貝原俊民が阪神淡路大震災で遺した名言(1933~2014 / 兵庫県南部地震時の兵庫県知事)[今週の防災格言362]

『 人間同士がお互いに助け合って生きているんだ、ということを実感した時にはじめて本当の幸せや安心を手に入れることができる。 』

 

貝原俊民(1933~2014 / 阪神淡路大震災時の兵庫県知事 旧自治省官僚)

 

これが、私自身が阪神淡路震災の中で学んだ一番大きな教訓だった――と後年サンテレビ報道番組「ニュースシグナル」インタビュー内(「震災から14年 貝原俊民前知事インタビュー(2009年1月21日OA)」)で語ったもの。

1995(平成7)年1月17日の早朝午前5時46分に発生した阪神淡路大震災では神戸市中央区中島通の知事公舎で就寝中に大きな揺れに遭遇した。

手記(「大震災100日の記録」(ぎょうせい 1995年12月))で《 いつになく熟睡していたところを、いきなり突き上げるような衝撃に襲われた。咄嗟に妻に声をかけて、二人とも頭から布団をかぶった。家中ガラス類の壊れる音がし、足下にはタンスが倒れてきた。近所から女性の悲鳴が聞こえてくる 》と語っている。

知事公舎から兵庫県庁までは約4km離れていたが、貝原は車が迎えに来るまで自宅待機していたため、震災当日午前8時20分頃に登庁することになった。発災から2時間半たっての「重役出勤」に批判が殺到し、また自衛隊派遣要請が午前10時と遅れたことからも「助かる命がもっとあったはず」として大きな非難を浴びることになった。

後に《 今回の震災を経験して、今までは、安全は当然のことだとして、あまり意識しない傾向があったことを反省している 》(「大震災100日の記録」(ぎょうせい 1995年12月))や《 神戸に大地震はない、という俗説に惑わされ、地震対策が十分でなかった。初動体制は県民の期待を裏切るものだった 》(「兵庫県知事の阪神・淡路大震災 15年の記録」(丸善 2009年))など率直に反省を吐露してもいるが、《 県庁がアンコントロール。ハンドルを握っても動かないという状態だった 》(震災から14年 貝原俊民前知事インタビュー 2009年)《 県庁は通信システムや災害対策の部屋が壊れ、情報空白、交信途絶の状態だった。当時の状況の中で最善の対応をしたと自負している 》(阪神・淡路大震災の教訓 小冊子)など当時の状況を釈明する度に、不可抗力の災害だったと理解を示す人もいる一方で「弁解がましい」という批判も多く寄せられた。

… … …

貝原俊民(かいはら としたみ)は、神戸市直下を襲った阪神淡路大震災(1995年)時の兵庫県知事。震災では復旧・復興の陣頭指揮をとり「創造的復興」をスローガンに地元主体の復興を提唱し、兵庫県と神戸市で「阪神・淡路大震災復興基金」を創設。低家賃の復興公営住宅の建設や、被災者への国からの現金給付制度の必要性を訴え、1998(平成10)年「被災者生活再建支援法」成立に貢献した人物。

佐賀県武雄市生まれ。東京大学法学部卒業後に旧自治省入り。1970(昭和45)年、兵庫県に総務部地方課長として出向し財政課長、農林部長、総務部長などを歴任。1980(昭和55)年より兵庫県副知事を6年間務め、1986(昭和61)年に知事に初当選。以来、4期15年を務めたが、任期を1年4ヶ月残した2001(平成13)年に、妻の介護を理由に突如辞任した。会見では「震災で大きな犠牲者を出したことのけじめ」と説明。その後、公益財団法人「ひょうご震災記念21世紀研究機構」の特別顧問を務めた。2014(平成26)年11月13日、神戸市内で乗用車の後部座席に乗っていたところ自動車同士の衝突事故に遭い81歳で死去。







■「阪神淡路大震災」に関連する防災格言内の記事
余禄(毎日新聞 1995年1月18日朝刊)より(2016.01.18 防災格言)
天声人語(朝日新聞 1995年1月27日朝刊)(2009.01.19 防災格言)
素粒子(朝日新聞 1995年2月17日夕刊)より(2022.02.21 防災格言)
AC公共広告機構 阪神淡路大震災キャンペーン広告「人を救うのは、人しかいない」(2009.11.30 防災格言)
地震は起きる。それは「想定」ではない。「前提」だ。:三菱地所ホーム(株)のポスター広告 2015年(コピーライター:谷野栄治、三宅ひづる)より(2021.01.18 防災格言)
和達清夫(1902~1995 / 物理学者 初代気象庁長官)(2007.12.03 防災格言)
本田宗一郎(1906~1991 / 実業家 本田技研工業創業者)(2012.12.31 防災格言)
朝比奈隆(1908~2001 / 指揮者 大阪フィルハーモニー交響楽団創立名誉指揮者 文化勲章受章(1994年))(2014.03.10 防災格言)
鈴木俊一(1910~2010 / 元東京都知事 元内務官僚 東京都名誉都民)(2008.10.13 防災格言)
瀬島龍三(1911~2007 / 伊藤忠商事会長)(2017.02.13 防災格言)
後藤田正晴(1914~2005 / 政治家 内閣官房長官 副総理 警察官僚)(2010.11.29 防災格言)
中内功(1922~2005 / 実業家 ダイエー創業者・最高顧問・元会長)(2009.09.07 防災格言)
村野賢哉(1922~2007 / 科学評論家 元NHK解説委員)(2016.08.08 防災格言)
牧冬彦(1922~2006 / 神戸製鋼所社長・神戸商工会会頭)(2018.01.08 防災格言)
李登輝(1923~2020 / 台湾の政治家・農業経済学者 元中華民国総統)(2015.07.13 防災格言)
下河辺淳(1923~2016 / 建設官僚・都市計画家 国土庁事務次官)(2018.04.23 防災格言)
司馬遼太郎(1923~1996 / 作家・評論家 代表作『梟の城(直木賞)』など)(2015.01.12 防災格言)
陳舜臣(1924~2015 / 小説家・歴史著述家)(2015.01.26 防災格言)
黒岩重吾(1924~2003 / 直木賞作家)(2018.01.22 防災格言)
村山富市(1924~ / 震災時の首相 社民党初代党首 内閣総理大臣(第81代))(2007.12.31 防災格言)
野中広務(1925~2018 / 震災時の自治大臣 衆議院議員(7期) 内閣官房長官(第63代))(2018.02.12 防災格言)
五十嵐広三(1926~2013 / 実業家・政治家 阪神淡路大震災時の内閣官房長官(村山内閣))(2022.02.14 防災格言)
河野保(1927~ / 元朝日監査法人代表 日本公認会計士協会近畿会会長)(2011.01.10 防災格言)
吉村昭(1927~2006 / ノンフィクション作家 代表作『関東大震災』『戦艦武蔵』等)(2021.07.19 防災格言)
篠塚昭次(1928~2016 / 民法学者・不動産法 早稲田大学名誉教授)(2020.01.06 防災格言)
田辺聖子(1928~2019 / 作家・随筆家 文化勲章受章)(2019.06.17 防災格言)
西原春夫(1928~ / 法学者 早稲田大学総長)(2018.04.09 防災格言)
多木浩二(1928~2011 / 評論家・思想家 専門は芸術学・記号論・哲学)(2013.01.14 防災格言)
秋山富一(1929~ / 実業家 元住友商事社長・会長 住友商事名誉顧問)(2013.09.02 防災格言)
西川杏太郎(1929~ / 美術史家 東京文化財研究所名誉研究員)(2017.01.16 防災格言)
池端清一(1929~2007 / 旧社会党出身の民主党政治家 国土庁長官(第27代))(2008.01.07 防災格言)
時実新子(1929~2007 / 川柳作家・エッセイスト 代表作「有夫恋」)(2017.01.23 防災格言)
佐々淳行[2](1930~2018 / 評論家 警察官僚・初代内閣安全保障室長)(2018.10.15 防災格言)
篠塚正宣(1930~2018 / 土木工学者 コロンビア大学栄誉教授 プリンストン大学名誉教授)(2020.01.20 防災格言)
領木新一郎(1930~ / 経営者 大阪ガス元会長 大阪工業会会長)(2008.11.03 防災格言)
柴田俊治(1931~2015 / ジャーナリスト 朝日放送社長 朝日新聞記者)(2019.01.07 防災格言)
伊藤滋(1931~ / 都市計画家 東京大学名誉教授)(2019.07.29 防災格言)
小松左京(1931~2011 / SF作家・小説家)(2011.08.01 防災格言)
早川和男[1](1931~2018 / 建築学者 神戸大学名誉教授 日本居住福祉学会会長)(2014.06.16 防災格言)
早川和男[2](1931~2018 / 建築学者 神戸大学名誉教授 日本居住福祉学会会長)(2019.11.11 防災格言)
海部俊樹(1931~2022 / 政治家・衆議院議員(16期) 内閣総理大臣(第76・77代))(2022.01.31 防災格言)
五木寛之(1932~ / 小説家・随筆家・作詞家・作曲家)(2020.01.13 防災格言)
岩城宏之(1932~2006 / 指揮者 メルボルン交響楽団終身桂冠指揮者)(2008.02.18 防災格言)
吉田正輝(1932~2011 / 大蔵官僚・銀行局長 兵庫銀行頭取)(2019.01.28 防災格言)
依田智治(1932~ / 元自民党参議員 元防衛事務次官 元警察官僚)(2007.12.10 防災格言)
貝原俊民(1933~2014 / 阪神淡路大震災時の兵庫県知事)(2014.11.01 防災格言)
斎藤栄(1933~ / 推理作家 代表作『殺人の棋譜』『魔法陣シリーズ』)(2014.03.03 防災格言)
永六輔(1933~2016 / タレント・作家・放送作家・作詞家)(2016.07.18 防災格言)
藤本義一(1933~2012 / 作家・脚本家 代表作「鬼の詩(第65回直木賞)」)(2011.01.17 防災格言)
中井久夫(1934~ / 精神科医 神戸大学名誉教授 文化功労者)(2020.03.09 防災格言)
久我 徹(1934~没年不知 / 元博報堂常務取締役 元博報堂関西支社長)(2009.04.06 防災格言)
筒井康隆(1934~ / SF作家・小説家・劇作家)(2013.02.18 防災格言)
美智子上皇后(1934~ / 第125代天皇明仁の皇后 旧名・正田美智子)(2010.10.18 防災格言)
堺屋太一(1935~2019 / 作家・経済評論家 経済企画庁長官(第55~57代))(2019.02.11 防災格言)
筑紫哲也(1935~2008 / ニュースキャスター・ジャーナリスト 元朝日新聞記者)(2009.09.21 防災格言)
羽田 孜(1935~2017 / 政治家・衆議院議員(14期) 内閣総理大臣(第80代))(2017.09.04 防災格言)
阿久悠(1937~2007 / 作詞家)(2013.06.17 防災格言)
高橋壽正(1938~ / 元社団法人・全国産業廃棄物連合会技術部長)(2012.01.16 防災格言)
古市忠夫(1940~ / プロゴルファー 兵庫県神戸市長田区出身)(2019.07.08 防災格言)
草地賢一(1941~2000 / 牧師 国際ボランティア学会創設者 PHD協会総主事)(2011.08.29 防災格言)
桂文枝(桂三枝)(1943~ / 落語家・タレント 社団法人上方落語協会会長)(2015.01.19 防災格言)
ジェームズ・L・ウィット(1944~ / 元・米連邦緊急事態管理庁(FEMA)長官)(2010.01.11 防災格言)
岡本行夫(1945~2020 / 外交評論家・実業家 元外務省安全保障課長)(2018.08.20 防災格言)
斎藤富雄(1945~ / 兵庫県初代防災監 兵庫県副知事)(2017.11.20 防災格言)
遠藤勝裕(1945~ / 震災時の日本銀行神戸支店長)(2017.05.15 防災格言)
鳩山由紀夫(1947~ / 政治家・衆議院議員 内閣総理大臣(第93代) 民主党代表)(2009.08.31 防災格言)
伊集院静(1950~ / 作家・作詞家 CMディレクター 代表作『乳房』)(2012.02.27 防災格言)
大森一樹(1952~ / 映画監督・脚本家 代表作『ヒポクラテスたち』)(2013.04.08 防災格言)
髙村薫(1953~ / 作家 代表作『マークスの山(第109回直木賞)』)(2013.07.29 防災格言)
藤原智美(1955~ / 小説家・随筆家)(2013.08.12 防災格言)
田中康夫(1956~ / 作家・政治家 元長野県知事 元衆議院議員 元参議院議員)(2019.01.14 防災格言)
西村明儒(1961~ / 医師・医学博士 横浜市立大准教授 徳島大学教授)(2009.12.21 防災格言)
谷川浩司(1962~ / 将棋棋士 永世名人 日本将棋連盟会長)(2013.03.04 防災格言)
白羽弥仁(1964~ / 映画監督)(2008.01.21 防災格言)
沢松奈生子(1973~ / 元女子プロテニス選手)(2008.1.14 防災格言)
イチロー(1973~ / 元プロ野球選手)(2013.08.26 防災格言)
立春の日のコロンブスの卵(中谷宇吉郎随筆より)(2006.01.17 編集長コラム)
阪神淡路震災より18年(2013.01.17 店長コラム)

 

著者:平井敬也(週刊防災格言編集主幹)

 

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