防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

菅原道真公と落雷の関係(くわばらくわばら(桑原桑原))

time 2021/07/12

菅原道真公と落雷の関係(くわばらくわばら(桑原桑原))

前号の雷の格言「クワバラ、クワバラ」


で、お寄せいただいたご意見(アンケート回答)に

「くわばらくわばら」はてっきり菅原道真と関係していると長年思いこんでいたので、目から鱗でした。すごく勉強になりました!ありがとうございました。

というのがありました。(ご意見、ありがとうございます)

菅原道真と雷様について、よくご存じですね。すばらしいです。

実は、多少は関係していると私も思います。

「菅原道真」については話が少しそれるために、前回言及を避けましたが、ここで補足します。

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菅原道真公と雷の格言「くわばらくわばら(桑原桑原)」

神道に「天神信仰」という土着信仰が古来日本にはありました。
この天神様は「雷の神様」のことです。

平安時代前期、宇多天皇に重用され右大臣に出世した菅原道真公は、醍醐天皇の時代、謀反を企んだという中傷を受け失脚し、大宰府に左遷され、失意のうちに太宰府で没します。
これは「昌泰の変」という当時の大事件でした。

ところがその後、奇怪なことが次々に起ります。

中傷した犯人とされる藤原菅根と藤原時平が相次いで病死。
道真失脚後の後任の右大臣(黒幕とされる人物)源光(みなもとのひかり)が泥沼で溺死し、死体すらあがらない変死をとげます。
さらに、左遷を命じた醍醐天皇の皇太子が21歳の若さで薨去。

世間はこれを、道真公の祟りと噂するようになります。

怖くなった醍醐天皇は、道真を右大臣に死後復権させ、左遷した罪も破棄するとう名誉挽回を発表するのですが、それでも日本各地で台風・洪水・疫病が相次ぎ発生します。

極めつけは、延長8年(930年)。

会議中の内裏(天皇の私室)に落雷が直撃し、その場の公卿ら数名が感電死する「清涼殿落雷事件」が発生します。

この現場にいた醍醐天皇は病気になり、天皇を退き皇子(朱雀天皇)に譲位しますが、その7日後に急逝してしまいます。

世間はこれら一連のできごとが菅原道真公の祟りだと騒ぎます。
朝廷は道真公の怨霊を鎮めるため「太宰府天満宮」を建築することになりました。

太宰府に祀られた菅原道真公は「火雷天神」「天満天神」として人々から畏怖され神格化。
こうして平安時代には「菅原道真公」が「雷の神」となります。

その後、江戸時代までの数百年間で、雷と怨霊と道真公が合わさって、次第に雷を雷獣の仕業とする妖怪説に変じて、最近までには、菅原道真 → 雷神 → 雷獣 → ピカチュー(ポケモン)という流れができあがったのかと私は真面目に思っています。

清涼殿落雷(北野天神縁起絵巻)


執筆者:平井敬也@思則有備編集主幹 拝
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