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遠藤勝裕が阪神淡路震災の時に残した格言(日本銀行神戸支店長)[今週の防災格言490]

time 2017/05/15

遠藤勝裕が阪神淡路震災の時に残した格言(日本銀行神戸支店長)[今週の防災格言490]


『 「前例がない」との言もよく耳にするが、
初めての経験なのだから、それは当たり前。
東京や大阪にとっても決して他人事ではない。 』

遠藤勝裕(1945〜 / 日本学生支援機構理事長 元日本銀行神戸支店長)

格言は読売新聞「論点」(1996(平成8)年3月1日)より。

阪神淡路震災(1995年)から1年余りが経過し、政府による復興委員会も「役割を終え」解散する。
国や企業、個人という幅広い層で、被災地と被災地域外との被害状況に対する認識のギャップといった “温度差” が見られ、世の中では様々な社会的大事件が続発(オーム真理教の地下鉄サリンテロ事件など)している中、被災地のことも時と共に忘れがちとなり、もろもろの要望に対して「なぜ神戸だけ特別扱い?」と冷たい反応も少なくないという現実に対して、

《 復興とは時間との戦いでもあるのに、これでは、復興議論が埋没しかねない 》

という思いを強めた遠藤氏の言葉。

曰く―――。

《 (復興は)当地だけの頑張りではとても無理、中央のみならず全国的な支援や理解が必要であろう。》

《 この一年で被災地の定住人口は約十五万人、流入人口も二千万人減った。これは雇用機会を減らし商業活動等を低迷させ、それがまた人口減少を引き起こすといった悪循環をもたらしており、今(※1996年)もその動きは止まっていない。この解決には経済政策、福祉政策両面での知恵と工夫が必要となろう。 》

兵庫県の法人・個人が震災前の10年間に納めた国税は、全国第5位の17兆円もの規模に上る、という。

阪神復興は、「神戸だからこそ」で、国の神戸への特別な対応(規制緩和や税制優遇措置など制度面の支援や、被災地の人口減少に対する経済・福祉政策)が必要であり、そうすることで税負担能力の高い神戸を元気によみがえらせ、それが結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラス(国益)となるはず、と述べている。

《 長年国家に貢献してきた企業や個人がある日突然、奈落の底に突き落とされた。この理不尽な天の仕打ちに対し国が特別な救いの手を差しのべるのは当然で、ここは他地域との比較による「ノー」の論理ではなく、早期再生のための温かな心配り、「イエス」の答えが求められよう。
そうすることは税負担能力の高い当地を元気によみがえらせ、結果として税収増の形で必ずや国にとってもプラスとなるはず、国益になることを付言しておきたい。 》

※平井@防災格言編集主幹の注釈
「阪神・淡路復興委員会」は総理府の審議会で、震災翌年の1996年2月に解散しているものの、ここの復興に対する提言は「阪神・淡路復興対策本部(2000年解散)」へと引き継がれています。

遠藤勝裕(えんどう かつひろ)氏は、日本銀行出身で、現在、日本の奨学金制度を担う独立行政法人・日本学生支援機構(旧日本育英会)理事長をつとめる人物。埼玉県所沢市在住。

戦争末期の1945(昭和20)年、疎開先である山形県米沢市に生れる。小学生から東京に暮し、1968(昭和43)年早稲田大学政経学部卒業後に日本銀行に入行。1990(平成2)年青森支店長、1992(平成4)年考査役、1994(平成6)年神戸支店長、1996(平成8)年電算情報局長、1998(平成10)年日銀を退社。その後、日本証券代行株式会社社長を経て、ときわ総合サービス株式会社社長を歴任、2011(平成23)年から日本学生支援機構理事長として活躍。

日銀神戸支店長時代の1995(平成7)年1月17日の阪神淡路震災では、神戸市灘区の社宅で罹災している。
地震当日から、通常では許されない金融特例措置の数々を独断で行い、日銀の金庫を開放し、被災地域の消費拡大に努めた「傑物」として特に有名な人物である。
神戸支店(年間取り扱い額約6兆円)では金融機関の引き出しが、震災翌日18日から3日間で約1,000億円に達し、火災などで損傷した紙幣取り換え量も半年で1,800件、計8億円に上ったという。

■「遠藤勝裕」に関連する防災格言内の記事
佐々淳行 (作家・初代内閣安全保障室長)(2008.6.30 防災格言)
結城豊太郎 (銀行家 大蔵大臣・日本銀行総裁(第15代))(2016.12.05 防災格言)
渡辺文夫 (東京海上火災保険会長)(2013.11.25 防災格言)
岡崎洋 (神奈川県知事)(2009.08.10 防災格言)

■「阪神淡路大震災」に関連する防災格言内の記事
実業家 瀬島龍三 (伊藤忠商事会長)(2017.02.13 防災格言)
余禄(毎日新聞 1995年1月18日朝刊)より(2016.01.18 防災格言)
天声人語(朝日新聞 1995年1月27日朝刊)(2009.01.19 防災格言)
兵庫県知事 貝原俊民(2014.11.01 防災格言)
牧師 草地賢一(2011.08.29 防災格言)
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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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