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政府の阪神淡路復興委員長を務めた下河辺淳（1923～2016 / 建設官僚・都市計画家国土庁事務次官）の名言 [今週の防災格言539]

time 2018/04/23

『復興の最大の課題は公営住宅を早急に大量に供給することだったが、それは中央の感覚ではなかったか。伝統的なコミュニティーがある神戸では、自分の家に戻れるよう私的な住宅再建の支援も考えるべきだったかもしれない。』

下河辺淳（1923～2016 / 建設官僚・都市計画家国土庁事務次官）

格言は、神戸を襲った阪神淡路大震災から4年目の日経新聞記事「ニュース複眼：「震災復興の文化」置き去り～官民協力し街づくりを」（1999（平成11）年1月13日夕刊）より。

震災から4年を経て、道路や建物などハード面の復興が進むにつれて現状が固定化され「復興の文化」という被災地に課せられたテーマが見えにくくなっている点について、政府の阪神・淡路復興委員長を務めた下河辺氏の述懐から。

記事では、150万都市の神戸を俯瞰（ふかん）する都市政策を普通の市民らが考えるのは難しいかもしれないが、暮らしの場であるコミュニティーを官民のパートナーシップで再建することは可能だろう、と結ばれており、その取り組みこそが「復興の文化」でもある、と論じている。

下河辺淳（しもこうべあつし）は、戦後日本の国土開発を担い、「ミスター全総（ぜんそう）」と呼ばれた都市計画家。工学博士。経済企画庁の総合開発局長を経て国土庁事務次官として日本国土の総合開発計画「全国総合開発計画」の「一全総」から「五全総」まで全ての計画に携わったことで特に知られ、また、1995（平成7）年の阪神淡路大震災では「阪神・淡路復興委員会」の委員長に就任し、公費による倒壊家屋の解体や公的住宅の大量建設計画、市街地再開発事業の推進など数々の提言を行った人物。

関東大震災の年である1923（大正12）年9月30日、旧東京市に生まれる。1947（昭和22）年、東京大学第一工学部建築学科卒業し、戦災復興院技術研究所に勤務し、住宅問題、都市計画の調査・研究を手がけた。1952（昭和27）年より経済審議庁に出向し経済計画策定に参画。1957（昭和32）年に建設省で河川総合開発計画などに従事、1962（昭和37）年からは経済企画庁総合開発局へ移り、戦後日本の国土政策・国土行政の根幹となる全国総合開発計画（一全総）から1998（平成10）年の第5次全国総合開発計画（五全総）の策定に一貫して深く関わった。1977（昭和52）年に国土事務次官に就任、1979（昭和54）年に国土庁を退任後、政府のシンクタンクである総合研究開発機構（NIRA）の理事長（第2代）に就任、1992（平成4）年からは東京海上研究所の理事長を務めた。社団法人日本プロサッカーリーグ（Jリーグ）裁定委員会委員や日中経済知識交流会顧問、日米欧委員会日本委員会委員などを歴任し、1995（平成7）年2月からは阪神・淡路大震災復興委員会委員長として復興政策の立案に参画。2003（平成15）年に下河辺研究室会長・有限会社青い海会長に就任（2014（平成26）年閉室）。2016（平成28）年8月13日、92歳で没。
下河辺淳:photo 総合研究開発機構（NIRA）
写真：NIRAより