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永六輔が阪神淡路大震災の記念日で述べた名言(1933~2016 / タレント・作家・放送作家・作詞家)[今週の防災格言448]

time 2016/07/18

永六輔が阪神淡路大震災の記念日で述べた名言(1933~2016 / タレント・作家・放送作家・作詞家)[今週の防災格言448]

『 災害がいつ起るか、と思い続けていましょうとは言いません。でも訓練は大事だなと思います。 』

 

永六輔(1933~2016 / タレント・作家・放送作家・作詞家)

 

格言は、阪神淡路震災の記念日(平成10(1998)年1月17日)にオンエアされたTBSラジオ番組『六輔ラジオデイズ サライ時間の旅』より。

早朝に発生した阪神淡路震災(1995年)では、朝の段階で総理大臣は災禍を知らずにいたため、結果として、自衛隊の要請が遅れることになった。

曰く―――。

1955年10月1日の新潟大火のときも酒田大火(1976年)のときも、自衛隊のほうが先に “火事だ” ということを掴んでいるんです。だけど、自衛隊は出動命令がないと動けない。

でも突然の訓練だと言って、(新潟大火のときに自衛隊は)出動しちゃうんです。「訓練の途中で火事と出逢っちゃった。だから対処しろ!」というように自衛隊は動いていたんですよ。

でも、これは憲法の上からいうとホントはいけないんです。だけども、目の前で起きている事に、自分たち自衛隊が行かないでどうするんだ!という、ここの判断をした訳ですが、結果的には、知事が自衛隊の出動を要請して出た、ということに記録上ではなっているのです。でも、実際はそうじゃなかったのですね。

だけど神戸の時は、自衛隊は出動する準備をして、今か今かとずっと待っていたんですよ。でもね、地震とか火災っていうのは少しも早くないと被害は広がる一方なんですよ。「知事の要請があって出動した」という表に出ている記録ね。それは、そうしないといけないんです。でも実際は、そうじゃなかったんです。実際は自分たちの判断で出て行ったんです。これはとっても大事なことなので、イザという時にはそうしないといけないんですよ。

つまり、もちろん自衛隊が勝手に動くことは憲法違反です。憲法違反だけど、今目の前で起きていることにどう対応するかってことに対応できない自衛隊は自衛隊じゃないと私は思いますから。

新潟大火を記録にすると、「知事が柴田の自衛隊の出動を要請した」ってニュースになっちゃうんです。でも良いじゃないですか、災害を救うためなんだから、要請される前に出て行ったって。後で、つじつまを合わせればいいんだから。つまり、そういうことなんですよ、現場処理っていうのは。後でつじつまを合わせよう!今行け!ってことを、どうして神戸の時にできなかったのか。そこなんですよね。

神戸の場合、伊丹の自衛隊がお昼近くまで待っていたんですよね。イザという時に何もできていない、つまり、危機管理が下手というのは。もちろん、総理大臣、防衛庁長官、兵庫県知事、知事が命令すればよかったんです。それを皆が待っていたんですよね。これなんだよね。

訓練しているのに、イザってときに、リュックサックがどこいっちゃったかわからない、という、そういう(リスナーからの)お手紙もありましたけど、それを国レベルで考えると、こういうことになっちゃうんですね。

… … …

放送作家の草分け的存在として知られ、その独特の語り口調で世相を斬り、庶民の心を代弁してきた永六輔(えい ろくすけ / 本名:永孝雄)さん。
東京・浅草の浄土真宗最尊寺の息子に生まれ、戦争中は、長野県の小諸に東京から疎開し、そこで終戦を迎えた。敗戦後、東京へ帰り旧制早稲田中学に編入学。早稲田高等学校を卒業すると、NHKラジオ「日曜娯楽版」に投稿を始め、早稲田大学在学中に三木鶏郎にスカウトされトリローグループの放送作家、司会者として芸能界に入った。その後もラジオ・テレビ番組の企画・演出で活躍、作曲家・中村八大とのコンビで「上を向いて歩こう(坂本九 1961年)」「こんにちは赤ちゃん(梓みちよ 1963年)」「いい湯だな(ザ・ドリフターズ 1966年)」など名曲の作詞を手がけ、テレビ、ラジオを中心に多才ぶりを発揮した。作家・エッセイストとしても多くの著作を残し「大往生(1994年)」は200万部を超える大ベストセラーとなった。
阪神淡路震災(1995年)を機に発足した、被災した障害者に救援金を届けるNPO法人「ゆめ風基金(大阪市)」では呼び掛け人代表を務め、東日本大震災(2011年)の被災地である宮城県山元町の臨時災害FM局「りんごラジオ」には無償で出演するなどボランティアを応援する活動を晩年まで続けた。
最愛の奥様を亡くし、自身もパーキンソン病と診断されてから、介護問題に真剣に取り組んだほか、尺貫法の復活運動、米殻通帳廃止運動、天皇陛下に公式の場で和服を着ていただこうという「天着連」運動など、日本の伝統文化の復権運動にも精力的に取り組んだ。平成28(2016)年7月7日に東京都内の自宅にて死去。83歳。

永六輔










■「阪神淡路大震災」に関連する防災格言内の記事
余禄(毎日新聞 1995年1月18日朝刊)より(2016.01.18 防災格言)
天声人語(朝日新聞 1995年1月27日朝刊)(2009.01.19 防災格言)
素粒子(朝日新聞 1995年2月17日夕刊)より(2022.02.21 防災格言)
AC公共広告機構 阪神淡路大震災キャンペーン広告「人を救うのは、人しかいない」(2009.11.30 防災格言)
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田中康夫(1956~ / 作家・政治家 元長野県知事 元衆議院議員 元参議院議員)(2019.01.14 防災格言)
西村明儒(1961~ / 医師・医学博士 横浜市立大准教授 徳島大学教授)(2009.12.21 防災格言)
谷川浩司(1962~ / 将棋棋士 永世名人 日本将棋連盟会長)(2013.03.04 防災格言)
白羽弥仁(1964~ / 映画監督)(2008.01.21 防災格言)
沢松奈生子(1973~ / 元女子プロテニス選手)(2008.1.14 防災格言)
イチロー(1973~ / 元プロ野球選手)(2013.08.26 防災格言)
立春の日のコロンブスの卵(中谷宇吉郎随筆より)(2006.01.17 編集長コラム)
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著者:平井敬也(週刊防災格言編集主幹)

 

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