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ドイツ法典の標準化を主導したアーノルド・ニーベルディング(1838~1912 / ドイツ帝国の法学者・政治家)の水害対策についての名言 [今週の防災格言664]

time 2020/09/14

ドイツ法典の標準化を主導したアーノルド・ニーベルディング(1838~1912 / ドイツ帝国の法学者・政治家)の水害対策についての名言 [今週の防災格言664]

『 水害防御に二種あり。一つは水量の其の沿岸に対する攻撃を防ぎ、一つは過度の水が沿岸を超えて周囲の土地に氾濫するを防ぐもの是なり。 』

 

アーノルド・ニーベルディング(1838~1912 / ドイツの法学者 政治家)

 

著書「水害防御」(内務省土木局 1896年)より。

曰く――――。

《 水害防御に二種あり。一つは水量の其の沿岸に対する攻撃を防ぎ、一つは過度の水が沿岸を超えて周囲の土地に氾濫するを防ぐもの是なり。
前者のために護岸を施し、後者のために堤防を築く。前者は沿岸の崩壊と共に接近地の破壊を防止し、後者は低地一帯の諸地方に及ぼす洪水を防御す。故に護岸は一二地方にのみ限られたる狭少の利益に止まれども、堤防に至っては遠く全地方の文化に重大なる影響を及ぼすものなり。
正頓(原文ママ)したる堤防保護は、多くは公益と密着の関係を有すれども、沿岸保護に至りては僅かに公益上注意せらるゝのみ。其の直接の結果として法律は沿岸に付いて各所有者に僅少の義務を負わしむるに止まると雖(いえど)も、堤防に付いては低地所有者をして其の保護の重き義務を負わしむ。 》

 

ルドルフ・アーノルド・ニーベルディング(Rudolf Arnold Nieberding)は、第二帝政(ドイツ帝国)期にドイツ法典の標準化を主導した法学者。ドイツ法は日本の法体系にも多大な影響を与えた。

1838年5月4日、ドイツ西部レックリングハウゼンにあるペトリナム高校(Gymnasium Petrinum)の教師だった父カール・ニーベルディングの息子としてコーニッツ(現在のポーランド北部ホイニツェ)で生まれる。
旧ドイツ・ブレスラウ大学(現ポーランド・ヴロツワフ大学)、ハイデルベルクやベルリンで法律を学び、大学卒業後、1863年にブレスラウ市、1866年からプロイセン王国商務省、1872年から1889年にベルリンのドイツ帝国首相府で働き、1889年にはドイツ帝国内務省の初代司法部長に就任。大審院(ライヒ裁判所)院長、司法省次官を経て、1893年から1909年までドイツ帝国司法省長官に就任し、1900年施行の統一ドイツ後の新しいドイツ民法典(BGB)、商法(HGB)、刑法、刑事法、民事訴訟法などの標準化を担当した。レオ・フォン・カプリヴィ(ドイツ帝国第2代宰相)、クロートヴィヒ・ホーエンローエ=シリングスフュルスト侯爵(ドイツ帝国第3代宰相)、ベルンハルト・フォン・ビューロー侯爵(ドイツ帝国第4代宰相)、テオバルト・フォン・ベートマン・ホルヴェーク(ドイツ帝国第5代宰相)の4代にわたる帝国首相の交代下で国務長官の地位を務めあげ、1909年に引退した。1912年10月10日にベルリンで死去。74歳。
アーノルド・ニーベルディング
Rudolf Arnold Nieberding(wikipedia.org)

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アーノルド・ニーベルディング(1838~1912 / ドイツの法学者 政治家)(2020.09.14 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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