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中世ヨーロッパ医学の正典とされたガレノス(AD129頃~AD216頃 / 古代ローマ帝国の医者・哲学者)の感染症についての箴言・名言 [今週の防災格言635]

time 2020/02/24

中世ヨーロッパ医学の正典とされたガレノス(AD129頃~AD216頃 / 古代ローマ帝国の医者・哲学者)の感染症についての箴言・名言 [今週の防災格言635]

『 素早く遠くへ逃れ、遅く戻れ 』

” Cito longe fugas et tarde redeas. “

 

ガレノス(AD129頃~AD216頃 / 古代ローマ帝国の医者・哲学者)

 

14世紀に大流行した「黒死病(腺ペスト)」は、わずか数年間でヨーロッパ全土に広がり、当時の人口の六割を死に至らしめたという。
黒死病がパリを襲うと、フィリップ6世はパリ大学に専門家を集め、1348年夏、議論の末にペスト治療についての意見書が編纂された。
そこには市民への行動規範として古代ローマ時代の医師ガレウスの箴言が引用された。

意見書には、当時、病気の原因とされた悪い空気「ミアズマ(瘴気)」を吸い込むのを避けるために、身体を疲労させないようにすることや、音楽に触れたりして楽しく快活に生活するようにつとめるよう奨めたり、食事に気をつけ食養生につとめることなどが記載されたという。

 

ガレノス(Aelius Galenus or Claudius Galenus)は、古代ローマ帝国時代の医師・哲学者。臨床医としての経験と多くの解剖によって体系的な医学を確立し、哲学や倫理学を含む解剖学、生理学、病理学、薬理学、神経学など様々な古代の科学分野に影響を与えた人物。

裕福な建築家であるアエリウス・ニコンの息子として古代都市ペルガモン(現トルコのベルガマ)に生まれる。広範囲に旅をし、さまざまな医学理論を発見、その後ローマに定住し、執筆活動や講義、公開解剖などを行い、名医としての評判を得て、ローマ帝国皇帝マルクス・アウレリウス・アントニウスの典医を務め、70歳代で亡くなった。
死後、中世ヨーロッパでは、解剖学に関する著作は医学大学のカリキュラムの主流となったが、西ローマ帝国の崩壊によりヨーロッパでは著作のほとんどが消失する。東ローマ帝国やサーサーン朝後期からアッバース朝時代にかけてガレノスの著作の研究が続けられイスラム医学に多大な影響を与える。11世紀にはイスラムから翻訳されたた医学書が西欧へと逆輸入されることとなり、サレルノ大学やモンペリエ大学、パドヴァ大学などで教えられ16世紀には西洋医学の正典となった。


■「ガレノス」「黒死病(腺ペスト)」に関連する防災格言内の記事
「正しく怖れる」寺田寅彦(物理学者)(2009.03.02 防災格言)
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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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