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小児麻痺のポリオワクチンを開発したジョナス・ソーク博士(1914~1995 / アメリカ合衆国の医学者)のワクチン特許についての名言 [今週の防災格言696]

time 2021/04/26

小児麻痺のポリオワクチンを開発したジョナス・ソーク博士(1914~1995 / アメリカ合衆国の医学者)のワクチン特許についての名言 [今週の防災格言696]


『 (ポリオワクチンの特許は)国民にあります。そこに特許はないのです。太陽の特許を取ることができるのでしょうか? 』

“Well, the people I would say. There is no patent. Could you patent the sun?”

ジョナス・ソーク(1914~1995 / アメリカ合衆国の医学者 「ポリオワクチン」発明者)

ポリオ感染症(急性灰白髄炎)は、人にのみ感染するポリオウイルスにより急性の麻痺が起こる病気で、かつては5歳児程度の小児に多発したことから「小児麻痺」とも呼ばれた。この病気には治療法がなく、感染者の200人に1人が下肢麻痺となり、そのうち1割ほどが呼吸筋麻痺により死亡した。

1955年4月、ポリオワクチンの開発に成功したジョナス・ソーク博士は、その年に放送されたアメリカCBSテレビのインタビュー番組内でアンカーマンのエド・マロー(Edward Roscoe Murrow / 1908~1965)から「 このワクチンの特許は誰が持っているのか? 」と尋ねられると、『 特許は存在しない 』と答えた。

博士が1948年にスタートさせたポリオワクチン開発プロジェクトでは、安全で効果的なワクチンををできるだけ早く開発することだけに集中し、個人的な利益を一切求めなかった。
(出典:Patenting the sun : polio and the Salk vaccine(1990年) by Smith, Jane S)

ソーク博士のワクチンを使ったポリオ予防接種は、米国と世界中の国々で始まり、1959年までには約90ヶ国に広まった。25年も経たないうちに、米国内でのポリオの感染は完全に排除された。日本ではポリオワクチンにより、1960年代に年間5000人ほどいた患者が激減し、1980年の1人を最後に野生ポリオウイルスによる発症は1件も報告されていない。2000年にWHO(世界保健機関)は、日本が属する西太平洋地域でのポリオの根絶宣言を発表している。

尚、現在日本では、ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチンの4種混合ワクチン(DPT-IPV)の定期接種が行われている。

新型コロナウイルス(Covid-19)の世界大流行で、世界中の製薬会社がワクチン開発競争を始めてから一年が経った今、新型肺炎の死者が300万人となるなかで、世界中が予防接種の特許を争っている。コロナワクチンの知的財産権の問題が地球上で最も熱い議論の一つとなった。

現在、この知的財産権がワクチン価格を押し上げ、貧困国でのワクチン普及の足かせとなっていることから、特許権保護を一時的に放棄することを求める声が世界的に大きくなっている。

WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長は、2021年3月7日付の声明のなかで、不平等なワクチン接種政策の影響に対し、世界各国と製薬会社に向け「特許を放棄する(*)」よう求める声明を発した。

(*原文:“Waving patents temporarily won’t mean innovators miss out. Like during the HIV crisis or in a war, companies will be paid royalties for the products they manufacture.”; Waive Covid vaccine patents to put world on war footing, WHO ,7 March 2021.

ジョナス・ソーク(Jonas Edward Salk)は、1914年10月28日に米国ニューヨーク市の、貧しい東欧系ユダヤ人の移民の家庭に生まれた。優秀だった彼は、13歳で名門高校のタウンゼントハリス高校クイーンズカレッジ入学を経て、ニューヨーク市立大学シティカレッジを1934年に卒業。その後、医学を学ぶためニューヨーク大学医学部に入り、1939年に医学博士号を取得。
1941年ウイルス学を学ぶため、B型インフルエンザウイルスの発見者であるミシガン大学公衆衛生大学院のトーマス・フランシス(1900~1969)に師事し、フランシスと共に、ミシガン州陸軍の委託プロジェクトでインフルエンザワクチンの開発に取り組んだ。
1947年、ピッツバーグ大学医学部に移り自身の研究室を開設。1948年、ルーズベルト大統領が設立した国立小児麻痺財団(後のマーチ・オブ・ダイムズ)のポリオプロジェクトに参加し、1952年にワクチンのテストに成功、その後約100万人の子供たちのテストを経て、1955年4月12日にその安全性が確認されワクチンが完成した。
1963年、カリフォルニア州サンディエゴのラホヤ(カリフォルニア大学サンディエゴ校の隣)に私立の非営利法人「ソーク研究所(Salk Institute for Biological Studies)」を創設。分子生物医学界の世界最高峰の研究施設として、その後、多くのノーベル賞学者らをこの研究所から輩出している。
1995年6月23日、心不全によりラホヤで死去。80歳。
2012年、ソーク博士の誕生月を記念した「世界ポリオデー(10月24日)」が設立された。


Yousuf Karsh, photographer – Wisdom Magazine, Aug. 1956 (Vol 1, No. 8), PD-US, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=27746788

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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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