『 雨に濡るれば風引くとは親が子を
松下禎二(1875~1932 / 医学者 京大教授 政治家・衆議院議員)
格言は随筆「雨に濡れるな」(「衛生百話」(1920年))より。
曰く―――。
《 雨に濡るれば風引くとは親が子を戒(いまし)むる衛生的金言である。裸体のまま濡るれば(冷水浴)皮膚を強固となし、被服のまま濡るれば不健康の基となるとは些と合点し難き様であるが、是れには大(おおい)に理由があるのであって、決して無理な戒めではない、事実の生みたる立派なる金言である。濡た衣服が感冒の原因となることは、其の水分が蒸発するときに方(あた)りて奪却(だっきゃく)せらるゝ体温の量を以て推知することが出来る。即ち水が蒸発するには一定の温を要するのであるから、濡衣(ぬれぎ)が乾燥せんとするときには水分蒸発に必要なる温量(おんりょう)を人体より奪うのである。 》
松下禎二(まつした ていじ)は、明治から昭和初期に活躍した薩摩出身の医学者(専門は衛生学・細菌学・微生物学・免疫学)。ドイツ私費留学を経てまとめられた論文が話題となり、29歳で京都帝国大学医科大学衛生学教授となった人物。医学博士・理学博士。
1875(明治8)年6月21日、鹿児島県高城郡西方村(現・薩摩川内市)の士族・松下文一の次男に生まれる。
1890(明治23)年、第五高等中学校医学部(現・長崎大学医学部)に入学し、1894(明治27)年卒業。1897(明治30)年、ドイツに私費留学しフライブルク大学・ギーセン大学・ハルレ大学・ブレスラフ大学で医学・衛生学・細菌学・物理学・哲学などを学び、医学博士・理学博士の学位を得て明治35(1902)年に帰国。日本でも、枯草熱(花粉症)や結核等の論文により1903(明治36)年に医学博士の学位を得て、同1903(明治36)年10月、急逝した坪井次郎(1863~1903)の後任として京都帝国大学医科大学教授に就任、衛生学教室(講座)を担当し、衛生学・微生物学を講じた。1907(明治40)年には、国際会議に日本代表として出席し、翌1908(明治41)年に正六位に叙される。1913(大正2)年には、理学博士の学位を得て、1916(大正5)年以降は新設された微生物学教室(講座)の初代担当教授となった。
1920(大正9)年、京都帝国大学教授を辞して、第14回衆議院議員総選挙に鹿児島五区から出馬し当選し代議士となり、1932(昭和7)年6月23日58歳没。
著書に『免疫学及び伝染病論』『結核病論』『免疫学講義』『寄生物診断学』『伝染病各論』『新撰生理衛生』など多数。
松下禎二博士
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