土地を買い家を建て定住する。
一生に一度の大きな買物である。
住みよい環境、安全な場所、そして値段など悩んで検討した住処である。
しかし、いざ災害が起きると家族が一番時間を過ごす我が家の立地が生死や罹災後の生活の明暗を分けるというケースが多い。
昔から津波被害を受けてきた岩手県宮古市田老(旧田老町)では、過去の教訓から防潮堤が1957年に建設され、住居はこの防潮堤の内側に建てられた。
年月を経ると外側にも家が建つようになったため、1978年までに10メートルの高さの新防潮堤が、新たな家々を内側に守るように延長されることになる。
一昨年の震災では、20メートルを超える津波が延長された新防潮堤(501メートル)を土台ごと押し流した。
新しく建てられた家はほとんど流されてしまった。
津波は古い防潮堤をも超えたが、堤防は破壊されずに耐え、内側の古くから住む人たちの命を守った。
田老の死者・行方不明者187人の犠牲者のうちほとんどが最も古い防潮堤の外側に住む新しい者たちだった。
千葉県内陸部で117世帯が液状化で全壊した我孫子市の閑静な住宅街は震災後に古地図を調べた結果、大昔には沼地だったことが判明する。
分譲時に行政は土地が沼地だったことを認識しておらず、そのため市が作成した液状化マップに記載されることはなかった。
幸い日本は過去の災害史を知る手掛かりとなる文献が多く残る。
最新のGPS観測やネット地図などにより、以前よりも簡単に自宅の海抜なども調べることもできるようになった。
一概に新しい土地が危険とは言えないが、歴史上、古代人が営々と暮していた地域は住むのに適した災害に強い場所と言われているのも事実である。住んでいる場所の歴史を調べることは”自分の身は自分で守る”防災のヒントとなるに違いない。
(※本記事の初出はセイショップニュースレター「季刊防災格言Vol.5(2012年9月25日)」より)
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