『 明日に向かうために まず睡眠 』
田村康二(1935~ / 医師・医学博士 山梨大学医学部名誉教授)
田村康二(たむらこうじ)氏は、新潟県生れの医師。専門は内科学・循環器病学・老人病学。新潟大学医学部卒業。同大学院修了。新潟大学医学部第一内科助教授を経て、1981(昭和56)年より山梨医科大学(現・山梨大学医学部)教授に就任。2001(平成13)年に退官し名誉教授。現在、新潟県長岡市の医療法人立川メディカルセンター顧問。生体リズムを病気の予防・治療に生かす「時間医学」の第一人者としても知られ「おもいっきりテレビ」などでも活躍された。
格言は、新潟地震(1964年)、新潟県中越地震(2004年)に遭遇した自らの体験をもとにした著書『「震度7」を生き抜く―被災地医師が得た教訓(祥伝社新書 2005年)』から、地震時のストレスやPTSDについての解説した章「生涯引きずっていくストレスからのサバイバル」より。
曰く―――。
不眠、無気力感、不安や怒り・・・いらいらして落ち着きがなくなる、誰とも話したくなくなる、体調が優れない、などの訴えをする人が増えている。 <中略> 最初の地震の怖さが少し和らぐのもつかの間、いつまた来るかもしれない余震におびえながら、地震の被害の大きさ、震災後の生活の不安定さ、将来の見通しの暗さなどが、心に重くのしかかってくる。それで精神的に不安定な状態になるのである。だから、心のケアがなにより重要になってくる。(P.154)
地震直後には、体験をながながと語り合えるが、その時期が過ぎると、人と話したり、聞いたりする余裕が失われる。辛いのはお互い様で、心の持ち方だと言われてしまう。だから、愚痴をこぼせなくなる。そして、生活水準の低下を免れない自分への嫌悪感を感じるようになる。被災者自身は、なにも悪いことをしていないのに、外部から冷たい眼差しが注がれているように感じ出す。「あなたは、まだ恵まれているほうだ」と言われるのが辛いし、生活をなんとか立て直そうとしつつも、なかなかうまくいかないことでストレスを強く感じてしまう。だから、PTSDでは、たえず苦しい思いが現実や夢の中に現われる。 <中略> 一般に、PTSDの治療には熟練した医師が必要である。悪夢のために朝まで眠れず憂うつになり、家庭生活や社会生活に著しい支障を来すようならば、睡眠薬などを使って睡眠を確保することが必要となる。これは、医師でなければ処方できない。(P.183-184)
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