防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

防災意識を育てるWEBマガジン

天然痘根絶で著名なラリー・ブリリアント(アメリカ合衆国の免疫学者)がTEDインタビューのなかで述べたパンデミックの名言 [今週の防災格言648]

time 2020/05/25

天然痘根絶で著名なラリー・ブリリアント(アメリカ合衆国の免疫学者)がTEDインタビューのなかで述べたパンデミックの名言 [今週の防災格言648]

『 残念ながら、これからはパンデミックの時代に入っていきます。 』


“ I’m afraid, looking forward, we are in the age of pandemics. ”

ラリー・ブリリアント(1944~ / アメリカ合衆国の免疫学者・医者・慈善活動家)

格言は2020年4月22日収録のTEDインタビュー「パンデミックは世界的解決策を求めている(A global pandemic calls for global solutions)」より。

曰く―――。

《 これまでの30年を振り返ってみると、エボラ、SARS、ジカ熱、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ、西ナイル熱、など耳障りなこれらの名前のほとんどを挙げられますが、そのうち私たち人類に感染する新種のウイルスは30~50種ありました。残念ながら、これからはパンデミックの時代に入っていきます。私たちはそれに応じた振舞いをし「ワンヘルス(One Health)」の考えを実践する必要があります。
人間と動物と環境は同じ世界の中にあって生きていることを理解し、自分たちは特別な種だという幻想を捨てる必要があります。ウイルスにとって違いはないのですから。

・・・《中略》・・・

そう、(パンデミックに対する)進むべき道は変わりません。「早期発見(rapid detection)」に「早期対応(rapid response)」です。感染者を全て見つけ、接触者の全てを突き止めます。 ・・・《中略》・・・ 皆で流行を遅らせなければなりません。仏教徒は精神統一で時を遅くすると言いますが、私たちはウイルス蔓延の速度を遅くさせる必要があり、そのため私たちは社会的距離(ソーシャルディスタンス)を取ります。誤解のないようにしますが、社会的距離を取って感染グラフの曲線がなだらかになっても感染者の絶対数は変わりませんが、しかし、富士山みたいなピークをなだらかにして、病院のベッド不足で人命が失われることがないようにするのです。
心臓発作を起こした人や化学療法が必要な人、難産の人が入院できるようにし、限られたリソースでやりくりできるように…発展途上国では特にそうです。流行のスピードを落とし、波が来るごとに、力を込めて踏みつけ、全ての感染者を見つけ、全ての接触者を追跡し、全ての症例を検査し、隔離が必要な人だけを隔離し、それをワクチンができるまで続けるのです。 》

“If I look backwards three decades or forward three decades, looking backward three decades, Ebola, SARS, Zika, Swine Flu, Bird Flu, West Nile, we can begin almost a catechism and listen to all the cacophony of these names. But there were 30 to 50 novel viruses that jumped into human beings.
And I’m afraid, looking forward, we are in the age of pandemics, we have to behave like that, we need to practice One Health, we need to understand that we’re living in the same world as animals, the environment, and us, and we get rid of this fiction that we are some kind of special species. To the virus, we’re not.

Well, the way forward is still the same. Rapid detection, response. Finding every case, and then figuring out all the contacts. / We need to slow down, the Buddhists say slow down time so that you can put your heart, your soul, into that space. We need to slow down the speed of this virus, which is why we do social distancing. Just to be clear — flattening the curve, social distancing, it doesn’t change the absolute number of cases, but it changes what could be a Mount Fuji-like peak into a pulse, and then we won’t also lose people because of competition for hospital beds, people who have heart attacks, need chemotherapy, difficult births, can get into the hospital, and we can use the scarce resources we have, especially in the developing world, to treat people. So slow down, slow down the speed of the epidemic, and then in the troughs, in between waves, jump on, double down, step on it, and find every case, trace every contact, test every case, and then only quarantine the ones who need to be quarantined, and do that until we have a vaccine. ”

ローレンス・ラリー・ブリリアント医師(Lawrence “Larry” Brilliant)はアメリカ合衆国の免疫学者・医者・慈善活動家(フィランソロピスト)・科学技術者。
世界保健機関(WHO)と協力し天然痘根絶プログラムのリーダーの一人として活躍され、天然痘の撲滅を成功させたことで知られる人物。
生涯にわたり新型感染症によるパンデミック(世界大流行)の危機を世界へ警告し、その啓蒙のために未知の感染症流行を描いたハリウッド映画『コンテイジョン(原題:Contagion)』(2011年)のアドバイザーも務めた。

1944年5月5日、ミシガン州デトロイト生まれ。東ヨーロッパからのユダヤ系移民の家系の出身で、父親のジョー・ブリリアントは慈善家であり実業家であった。
ミシガン大学で学士号とMPH(公衆衛生学修士)の学位を取得、後にウェイン州立大学医学部で医師博士号を取得。カリフォルニア・パシフィック・メディカル・センター(CPMC)のインターンシップを経て医者となる。専門は予防医学および公衆衛生学。
1960年代に全米各地で発生したアメリカ先住民族(インディアン)たちの権利回復要求運動のなか1969年に発生したアルカトラズ島占拠事件で非正規の医師として運動に参加。1971年にアメリカ政府によりアルカトラズからインディアン全部族が強制退去された後にメディアの寵児となり、ヒッピー文化などを描いたヒット映画「Woodstock Nation」の続編映画『Medicine Ball Caravan』の医師役で出演。1970年のバングラデシュ(東パキスタン)サイクロン「Bhola」被害の被災者支援キャラバンにも参加し、インドで数年を過ごし、ヒマラヤでヒンドゥー教の聖人ニーム・カロリ・ババ(1900~1973)と出会いこれに師事。ババの勧めで国際連合(UN)で働き始め、約1年後にババはブリリアントに次の十年間を天然痘の撲滅の仕事に捧げるよう助言した。
1973年から1976年に世界保健機関(WHO)の天然痘根絶プログラムに医療官として参加し、1980年に天然痘は世界から根絶する。
1978年、国際非営利健康財団・セバ財団の共同設立者兼会長に就任。チベット、ネパール、インド、バングラデシュ、カンボジア、タンザニア、エチオピア、グアテマラなどで300万人以上の失明者らの視力回復に尽力。またインド・マデュライのアラビンド眼科病院(Aravind Eye Hospital)設立を支援した。
アメリカに戻ってからは、ミシガン大学で国際保健学教授に就任、多くの慈善事業やビジネスベンチャーを立ち上げた。1985年、編集者のスチュワート・ブランドとともにオンラインコミュニティ「The Well」を創立。2005年、スリランカ津波被災地でボランティア活動をし、インドではWHOとともにポリオ撲滅キャンペーンに参加。
2005年設立の米Google社の慈善活動部門Google.orgの初代エグゼクティブディレクターに就任、2009年にeBay創設者で初代社長ジェフリー・スコールが設立した基金(Skoll Global Threats Fund)の初代CEO、他にスコール財団(Skoll Foundation)理事など務める他、現在 the Board of Ending Pandemics議長も務める。

■「ラリー・ブリリアント」に関連する防災格言内の記事
下村海南(下村宏)[2](肺結核について 官僚政治家・歌人)(2020.04.13 防災格言)
与謝野晶子(歌人 スペイン風邪についての随筆)(2020.03.23 防災格言)
尾身 茂(医師 名誉WHO西太平洋地域事務局長 自治医科大学名誉教授)(2020.03.02 防災格言)
ラリー・ブリリアント(1944~ / アメリカ合衆国の免疫学者・医者・慈善活動家)(2020.05.25 防災格言)
マーガレット・チャン(第7代WHO事務局長)(2009.05.01 編集長コラム)
テドロス・アダノム(第8代WHO事務局長)(2020.03.16 防災格言)
李 文亮(中国・武漢市中心医院の眼科医 新型肺炎で最初に警告を発した医師)(2020.02.17 防災格言)
厚生労働省 2007(平成19)年 インフルエンザ総合対策標語(2009.10.26 防災格言)
CDC(米国疾病予防管理センター)感染対策ガイドライン(2013.12.30 防災格言)
吉益東洞(1702~1773 / 江戸時代の漢方医 日本近代医学中興の祖)(2020.05.11 防災格言)
ガレノス(古代ローマ帝国の医者・哲学者)(2020.02.24 防災格言)
バルダッサーレ・ボナイウティ(フィレンツェの歴史家)(2020.02.10 防災格言)
ジョヴァンニ・ボッカチオ(フィレンツェの詩人・散文作家 「デカメロン」著者)(2010.11.15 防災格言)
村上陽一郎(科学史家 東京大学名誉教授「ペスト大流行」より)(2015.06.29 防災格言)
日沼頼夫(ウイルス学者 京都大学名誉教授 塩野義製薬副社長)(2020.01.27 防災格言)
アルフレッド・W・クロスビー(アメリカの歴史学者)(2014.07.28 防災格言)
マクファーレン・バーネット(オーストラリアの免疫学者 ノーベル生理学・医学賞)(2020.02.03 防災格言)
川崎富作(小児科医 川崎病を発見)(2009.01.05 防災格言)
北里柴三郎(細菌学者 医学者)(2008.12.15 防災格言)
二木謙三 (内科医・細菌学者)(2016.11.14 防災格言)
竹田美文(医学者 国立感染症研究所長)(2009.05.04 防災格言)
岡部信彦(小児科医 国立感染症研究所感染症情報センター長)(2009.02.23 防災格言)
田尻稲次郎(政治家・経済学者 スペイン風邪当時の東京市長 専修大学創始者)(2008.12.22 防災格言)
大隈重信 (佐賀藩士・早稲田大学創立者)(2010.09.27 防災格言)
渋沢栄一[1] (幕臣・日本資本主義の父)(2013.03.18 防災格言)
渋沢栄一[2](幕臣 官僚・実業家・教育者 日本資本主義の父)(2019.07.15 防災格言)
後藤新平 (政治家)(2010.4.26 防災格言)
寺田寅彦「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい。」(2009.3.2 防災格言)
坂茂(建築家 プリツカー賞受賞(2014年))(2016.03.21防災格言)
ウイリアム・ハスラー(アメリカの予防医学者 サンフランシスコ市の衛生官としてスペイン風邪パンデミック対策を主導した人物)(2020.06.22 防災格言)
フランシス・ラッセル(アメリカの郷土史家 ボストンのスペイン風邪についての伝記より)(2020.04.06 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

[このブログのキーワード]
防災格言,格言集,名言集,格言,名言,諺,哲学,思想,人生,癒し,豆知識,防災,災害,火事,震災,地震,備え,備蓄,備蓄食料,感染症対策
非常食・防災グッズ 防災のセレクトショップ SEI SHOP セイショップ
メルマガ登録バナー
E-mail
お名前
※メールアドレスと名前を入力し読者登録ボタンで購読

アーカイブ