防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

バルダッサーレ・ボナイウティ(1336~1385 / 14世紀のフィレンツェの歴史家)の感染症「黒死病(ペスト)」にまつわる名言 [今週の防災格言633]

time 2020/02/10

バルダッサーレ・ボナイウティ(1336~1385 / 14世紀のフィレンツェの歴史家)の感染症「黒死病(ペスト)」にまつわる名言 [今週の防災格言633]

『 疫病はたちが悪くかつ猛烈で、この病がいったん家にあがりこむと、もはや誰も病人を看護することはできない。 』

 

バルダッサーレ・ボナイウティ(1336~1385 / フィレンツェの歴史家)

 

14世紀・15世紀。ヨーロッパを死の伝染病「ペスト(黒死病)」が襲った。肺炎などにより6割以上の感染者が死亡した。
1350年前後のペスト大流行では、イタリアの人口の70~80%が失われ、カタルーニャでは55%、イングランドでは40~50%の人口が減ったという。

格言は著書「フィレンツェ年代記」から。
(出典はG・フーケー/G・ツァイリンガー著:小沼明生翻訳「災害と復興の中世史」(八坂書房 2015年))

曰く―――。

疫病はたちが悪くかつ猛烈で、この病がいったん家にあがりこむと、もはや誰も病人を看護することはできない。看病しようとした者自身もすぐに病気になってしまうからである。感染した者はほとんどが三日と生きながらえることができない。医師も薬もこの病には役立たない。このような病はこれまで全く知られておらず、医師たちにもなすすべがなかったからである。治療法もまた見当がつかぬままで、皆どうしてよいかわからず、すさまじい不安だけが残った。

 

バルダッサーレ・ボナイウティ(Baldassarre Bonaiuti)は、イタリア・フィレンツェ出身の歴史家・政治家・実業家・外交官。14世紀半ば(1348年)フィレンツェ周辺に大流行した黒死病(ペスト禍)について記した最高の作品の一つ「マルキオンネ・ディ・コッポ・ステファニ(Marchionne di Coppo Stefani)」「通称:フィレンツェ年代記」の作者として知られる人物。

1336年、フィレンツェの裕福な銀行家の家に生まれる。本名はバルダッサーレだが、彼はマルキオンネ(Marchionne)のあだ名で呼ばれることを好んだ。唯一の文学作品である「マルキオンネ・ディ・コッポ・ステファニ(Marchionne di Coppo Stefani)」は彼の仮名でもある。
15歳のときに両親を亡くし、妹と義理の兄弟姉妹と一緒に育った。1366年頃から金融の専門家としてフィレンツェ政府の政治的な仕事に従事。八聖人戦争(1375~1378)中はボローニャ大使をしており、外交使節団として活躍。1381年にはドイツ国王ヴェンツェル(ボヘミア王ヴァーツラフ4世)の大使として派遣された。1382年、フィレンツェ政府を代表し下級労働者の反乱「チオンピの乱」を終息させた。1385年、フィレンツェにて死去。


■「バルダッサーレ・ボナイウティ」に関連する防災格言内の記事
ボッカチオ「デカメロン」(黒死病についての記述)より(2010.11.15 防災格言)
作家 遠藤周作[2](2018.11.19 防災格言)
マクファーレン・バーネット(1899~1985 / オーストラリアの免疫学者 ノーベル生理学・医学賞)(2020.02.03 防災格言)
日沼頼夫(ウイルス学者 京都大学名誉教授 塩野義製薬副社長)(2020.01.27 防災格言)
厚生労働省 2007(平成19)年 インフルエンザ総合対策標語(2009.10.26 防災格言)
CDC(米国疾病予防管理センター)感染対策ガイドライン(2013.12.30 防災格言)
ジュリー・ガーバーディング(米CDC長官 炭疽菌テロ事件担当・中国SARSウイルス担当者)(2009.04.27 防災格言)
ジュリー・ホール(WHO中国伝染病担当 中国鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ・パンデミック)担当者)(2009.02.02 防災格言)
川崎富作(小児科医 川崎病を発見)(2009.01.05 防災格言)
北里柴三郎(細菌学者 医学者)(2008.12.15 防災格言)
二木謙三 (内科医・細菌学者)(2016.11.14 防災格言)
竹田美文(医学者 国立感染症研究所長)(2009.05.04 防災格言)
岡部信彦(小児科医 国立感染症研究所感染症情報センター長)(2009.02.23 防災格言)
アルフレッド・W・クロスビー(アメリカの歴史学者)(2014.07.28 防災格言)
エイブラム・カーディナー(心的外傷後ストレス障害(PTSD)を定義した米国の精神科医)(2019.01.21 防災格言)
ラルフ・スタインマン(カナダの免疫学者 ノーベル生理学・医学賞)(2011.10.10 防災格言)
日野原重明(医師 聖路加国際病院理事長・名誉院長)(2017.07.24防災格言)
本間博彰(児童精神科医・元宮城県子ども総合センター所長)(2014.10.06防災格言)
西村明儒(医師 徳島大学教授)(2009.12.21防災格言)
田村康二(医師 山梨大学医学部名誉教授)(2012.10.22防災格言)
橋爪誠 (医師 九州大学大学院医学研究院 災害・救急医学教授)(2011.06.13 防災格言)
浅田一 (法医学者 東京医専教授 長崎医大教授)(2011.10.03 防災格言)
片山国嘉 (法医学者 東京大学教授)(2015.11.16 防災格言)
三宅秀 (医学者・貴族院議員 東京大学名誉教授)(2016.06.20 防災格言)
関東大震災時のアメリカ合衆国赤十字社防災標語(2008.05.19 防災格言)
アンリ・デュナン (国際赤十字創設者)(2011.5.2 防災格言)
佐野常民 (日本赤十字創設者)(2013.02.11 防災格言)
橋本綱常 (医師・陸軍軍医総監 橋本左内の実弟)(2014.05.12 防災格言)
橘南谿 (江戸時代の医師 朝廷医官)(2011.07.04 防災格言)
常盤潭北(江戸時代中期の俳人 医者・教育者)(2017.07.03 防災格言)
柳瀬実次郎(小児科医 大阪回生病院長 大阪こども研究会発起人)(2014.09.08 防災格言)
後藤新平 (医師 政治家)(2010.4.26 防災格言)
森鴎外 (作家・医者 医学博士)(2014.11.03 防災格言)
手塚治虫 (漫画家 医学博士)(2013.09.30 防災格言)
秦宗巴(江戸初期の医者 豊臣秀次、徳川家康侍医)(2019.08.05 防災格言)
田尻稲次郎(政治家・経済学者 スペイン風邪当時の東京市長 専修大学創始者)(2008.12.22 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

[このブログのキーワード]
防災格言,格言集,名言集,格言,名言,諺,哲学,思想,人生,癒し,豆知識,防災,災害,火事,震災,地震,危機管理,防災グッズ,非常食,感染症対策
みんなの防災対策を教えてアンケート募集中 非常食・防災グッズ 防災のセレクトショップ SEI SHOP セイショップ

メルマガを読む

メルマガ登録バナー
メールアドレス(PC用のみ)
お名前
※メールアドレスと名前を入力し読者登録ボタンで購読

アーカイブ

人気記事