防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

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苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり)

time 2005/04/13

苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり)
『 苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり) 』  [編集長コラム]

孔子(中国の春秋時代の思想家)が泰山の近くを通りかかった時、墓前で大声をあげて泣いている婦人がいた。

孔子は、供の弟子の子路に命じて、その婦人に、

「あなたの(死者を弔い)大声をあげて泣く様子は、繰り返し不幸にあわれた人のようにお見受けします。」

とたずねさせた。

すると、婦人は

「そのとおりです。昔、私の舅が虎に、私の夫もまた虎に食べられてしまいました。今度は私の息子が虎に食われて死にました。」

と答えた。

孔子は、「どうして危険なこの土地を去らないのですか?」とたずねると

「ここには苛政(過酷な税の取り立てや、強制的な兵役や労役、厳しい刑罰)がないからです。」

と婦人は答えた。

これを聞いた孔子は、弟子に<苛政は虎より猛なり(かせいはとらよりもうなり)>と言った。

昨年2004年1月の日経新聞の記事で「震災対策」をテーマにした2003年12月に実施された東京都民アンケートの集計結果が載っていた。
記事に曰く大地震に対して不安を感じている人の割合は93%にものぼる。
具体的に火災への不安が91.8%、建物の倒壊への不安が87.2%、ライフラインの途絶が86.0%(複数回答)と結果が並ぶ。
その一方で、防災対策はどうかというと、「家具の固定・転倒防止をしていない」68.5%、「建物や塀の点検・補強をしていない」79.2%、「防災訓練に参加しない」60.9%、「帰宅困難対策をしていない」49.2%、「食糧備蓄をしていない」46.1%、「懐中電灯等の防災用具を準備していない」35%という結果が載っていた。
 
アンケートに答えたほぼ全ての人が、火事の不安、建物が倒壊する不安やライフラインが途絶する不安を感じているにもかかわらず、家具の固定や点検・補強などの建物の倒壊対策はせず、防火を体験できる訓練にも参加せず、電気・ガス・水が止まると信じていながら食糧の備蓄も、ライフラインの替わりに用意するはずの懐中電灯を含む防災用具さえも用意していない。

この現実に、私はふっと「苛政は虎より猛なり」のエピソードを思い浮かべた。

仁者孔子の言う処の、「苛酷な政治(税金が高くて、暮せない国)より死んだほうがまし。」と言うのと、このアンケートの結果の言う、「いつか来る地震の恐怖より、今の生活の方が大切。」と言うのはちょっと違うかもしれないが、エピソードに現れる婦人とアンケートに、何か共通点を感じた。

とかく防災にはお金がかかるもの、前者が税金を払うことを拒んだ様に、後者でもお金を掛けて防災をすることには抵抗があるのだろう。

さて、前者も後者もそのツケは、自分と家族が払うことになる。苛政から逃げた婦人は家族を失った。

では、防災の準備をしないでいたら・・・。想像してみよう!

■「孔子」に関連する防災格言内の記事
 安きにありて危うきを思う(居安思危)備えあれば憂いなし(有備無患)(2008.11.10 防災格言)
 易経 繋辞下伝「安くして危うきを忘れず(安而不忘危)」(2009.11.9 防災格言)
 「人、遠慮なければ、必ず近憂あり(無遠慮、必有近憂)」(2009.1.12 防災格言)
 苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり)(2005.4.13 編集長コラム)

■「安全論・危険論」「防災論」「安全神話」に関連する防災格言内の記事
 -「安全」を考える(2004.9.30 編集長コラム)
 -日本の防災制度(2004.11.24 編集長コラム)
 -教訓(安全神話とは何か)(2005.1.17 編集長コラム)
 -苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり)(2005.04.13 編集長コラム)
 -小田原評定(2006.1.29 編集長コラム)
 -災害に備えるということは?(防災論事始)(2007.10.3 編集長コラム)
 -毒矢の教え(フェイルセーフ論)(2010.7.30 編集長コラム)

<編集長 拝>

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