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政府の中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会報告書(2012年3月)」の名言 [今週の防災格言531]

time 2018/02/26

政府の中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会報告書(2012年3月)」の名言 [今週の防災格言531]


『 どの安全確保行動を選択するべきかは、個々人の置かれた状況によるため、国民一人一人の判断が大切になる。 』

政府の中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会報告書(2012年3月)」より。

曰く―――。

《 東日本大震災を契機に災害から命を守るため、災害から「逃げるということ」が注目されている。このような時期に、国民一人一人が避難について真剣に考え、適切な安全確保行動を取ることが出来るようになることを望んでいる。 ・・・(中略)・・・ 避難は緊急時の行動であるが、平時から訓練等を通し十分準備を整え、その有効性を検証し、改善を加えることを繰り返すことにより、全ての人々が自ら適切な安全確保行動をとることができるようになることを強く願うものである。 》

災害の際の「避難」というと、多くの人は避難先として指定されている小中学校の体育館や公民館などといった公的施設への移動を前提に捉えてしまっている場合が多い。

しかし、既に河川氾濫が発生しているときなど、避難先への移動がかえって危険を伴うことがある。

平成21年台風第9号(2009年8月に兵庫県佐用町などで死者・行方不明者27人をだした)による佐用町のように、河川氾濫が起きた際などに、避難先へ移動しようとする中で被災した例がある。その一方で、自宅などに留まることによって被災を免れた例がある。

また、都市部など人口が集中した地区では、大量の人々が避難先へ水平移動をすると、避難先の収容量を超えてしまったり、避難路で混雑が発生してしまい、住民らの適切な避難が行えないことにもなりかねない。

災害に対し自身の安全を確保するためには、状況によっては、自宅などの建物の上階への移動やその場に留まるような行動も有効であると考えられるのである。

しかしながら、以前の災害対策基本法第60条では、市町村長は、住民へ「避難のための立退き」を勧告又は指示できると規定されているにも関わらず、自宅などの建物の上階への移動(垂直避難)や、その場に留まるといった安全確保行動が含まれているかは明確ではなかった。

政府の中央防災会議内に設置された「災害時の避難に関する専門調査会(座長・林春男 京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授)」は、”誰もが自ら適切に避難するため”の指針として、2012(平成24)年3月に27頁のレポートをまとめ、はじめて「避難」の考え方を明確にした。

このレポートにより、翌2013(平成25)年6月、「災害対策基本法」が一部改正(平成25年法律第54号)されることになり、このとき初めて、具体的な「避難」が追記されることになった。
災害時の避難の種類

■「災害時の避難に関する専門調査会」「防災の標語」「教訓」に関連する防災格言内の記事
林春男 (心理学者・防災心理学 京都大学防災研究所教授 地域安全学会会長)(2008.09.15 防災格言)
昭和八年三月三日 大海嘯記念碑(大槌町 昭和9年建立)(2011.11.07 防災格言)
宝永津波碑(宝永4(1707)年 / 徳島県海部郡海陽町鞆浦)(2017.11.27 防災格言)
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ報告書(2013年5月)(2013.06.24 防災格言)
安きにありて危うきを思う(居安思危)(中国故事)(2008.11.10 防災格言)
備えあれば憂いなし(有備無患)(中国故事)(2008.11.10 防災格言)
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ムダ足覚悟で早めの避難(1957(昭和32)年7月25日 諫早豪雨教訓)(2017.07.10 防災格言)
国土交通省東北地方整備局「災害初動期指揮心得(2013年3月)」(2015.03.09 防災格言)
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厚生労働省 2007(平成19)年 インフルエンザ総合対策標語(2009.10.26 防災格言)
CDC(米国疾病予防管理センター)インフルエンザ感染対策標語(2013.12.30 防災格言)
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中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会報告書(2012年3月)」より(2018.02.26 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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