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故事成語「酒は百薬の長」の出典として知られる王莽(BC 45~AD 23 / 古代中国「新朝」皇帝)の名言 [今週の防災格言730]

time 2021/12/20

故事成語「酒は百薬の長」の出典として知られる王莽(BC 45~AD 23 / 古代中国「新朝」皇帝)の名言 [今週の防災格言730]


れ塩は食肴しょくこうの将、酒は百薬ひゃくやくの長、嘉会かかいこうなり。鉄は田農でんのうもとにして、名山めいざん大沢だいたく饒衍じょうえんぞうなり。 』

“夫鹽食肴之将、酒百薬之長、嘉會之好。鐵田農之本、名山大澤饒衍之臧。”

 

王莽(BC 45~AD 23 / 古代中国「新朝」皇帝 故事成語「酒は百薬の長」)

 

昔から、酒は百薬の長、などといわれて親しまれてきた。
その出典は、今から二千年もの昔に編纂された書物の一節で、古代中国の正史『漢書(かんじょ)・食貨志(しょっかし)下』のなかで紹介されている。

「嘉会(かかい)」は、めでたく喜ばしい集まりの意味。
「大沢(だいたく)」は、大きな沢、河川、湖沼のこと。
「饒衍(じょうえん)」は、豊かでたっぷりあるの意味。

つまり、

「 そもそも食物には塩が最も大切で、適度な酒はどんな薬にも勝り、お祝いにも欠かせない。鉄器は農業の基本で、豊かな山河は生活を支える倉庫である。 」

という意味である。

もともとは、資源を独占する法令を作った皇帝が、国民に理解をもとめるために用いた詭弁(宣伝文句)であった。
これを防災標語として捉え直すと、

《 美味しい食事、嗜好品、便利な道具、備蓄は生活に大切である 》

―――という意味合いとなる。

 

漢(前漢)王朝の帝位を奪い「新(しん)」の国を興して、自ら皇帝となった王莽(おうもう)は、経済政策の徹底を志して詔を発した。その内容の一節に有名な「酒は百薬の長」という言葉が載っている。

王莽の経済政策の柱は、「五均(ごきん=物価の統制政策)」と「六管(ろっかん=酒・塩・鉄・銭(貨幣の鋳造)・山川沼湖(採取・狩猟・漁業)などを国家が管理する政策)」を法令に定め、民の生活に必要なものを国の専売事業とすることだった。
これは儒教において理想とされる太古の昔「周」の時代への復古政策であったが、新王朝ではやがて農民や豪族の反乱(赤眉の乱など)が続発することとなり、王莽の目指した専売制の強化策は失敗し、国家財政はひっ迫した。更なる反乱により国は大いに乱れてしまい、その結果、各地は群雄割拠することとなり、ついに反乱により王莽は斬殺され「新」は建国から一代限りの十五年で滅亡してしまった。
その後、光武帝劉秀(りゅうしゅう)により「漢(後漢)」王朝が再興された。

今から二千年前の遥か古代に、当時の生活必需品である塩や鉄と並び、「酒」を“百薬の長”と評した王莽の言葉は、後世、適度な酒はどんな薬より効果がある、という故事成語「酒は百薬の長」に転じ広まることになる。


王莽(BC 45~AD 23 / 古代中国「新朝」皇帝)










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著者:平井敬也(週刊防災格言編集主幹)

 

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