防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

防災意識を育てるWEBマガジン

ポール・クルーグマン(1953~ / アメリカの経済学者・ノーベル経済学賞(2008年))のインタビュー「コロナ後の世界」の名言 [今週の防災格言681]

time 2021/01/11

ポール・クルーグマン(1953~ / アメリカの経済学者・ノーベル経済学賞(2008年))のインタビュー「コロナ後の世界」の名言 [今週の防災格言681]

『 早すぎる経済活動の再開は、かえってダメージを大きくする 』

ポール・クルーグマン(1953~ / アメリカの経済学者・コラムニスト ノーベル経済学賞(2008年))

格言は世界の識者への緊急インタビュー企画、大野和基編著『コロナ後の世界』(文春新書 2020年7月)の「景気回復はスウッシュ型になる」より。

曰く―――。

《 今回の新型コロナによるパンデミック不況を考えるにあたって、最も類似しているケースは第一次世界大戦終盤の一九一八年からはじまったスペイン風邪の大流行でしょう。スペイン風邪の流行後、経済的に比較的早く立ち直った地域の特徴がわかっています。それは流行当初に経済的な打撃を大きく受けたものの、ソーシャル・ディスタンスをきちんと守った所であり、結果的に死亡者数も少なかったのです。

新規の感染者数がある程度落ち着いたからといって、早まって経済活動を再開してしまうと、裏目に出てしまうようです。すぐに感染者が急増し、再びロックダウン(都市封鎖)しなければならなくなります。

普通に考えれば、大きな政府で社会保障が充実している国が、新型コロナ対策でも成功しているように思いますが、必ずしもそうではありません。 ・・・(中略)・・・

そう考えますと、経済を回すことを優先させるよりも、まずは感染症対策の最前線にいる医療関係者と、経済的シャットダウンで打撃を受けている人たちをサポートするべきなのです。早すぎる経済活動の再開は、かえってダメージを大きくするだけです。

新型コロナの流行が拡大しはじめた当初、もっと国際的な協力態勢が築けていればと痛感します。WHOにしても国際機関でありながら、対応が遅れたのみならず、中国に嘘をつかれていたわけです。もし新型肺炎についての情報がWHOに入ったとき、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)に知らせていれば、中国の武漢に研究員を派遣して感染拡大を止められたかもしれません。情報を隠していた中国も悪いですが、WHOは国際機関としての機能を果たしていません。

エボラ出血熱や豚インフルエンザのとき、アメリカはウイルスを封じ込めることができましたが、今回は明らかに失敗しました。これはCDCに責任がありますが、さらに責任を負うべきは中国とWHOでしょう。

ですから、今回のパンデミックから学ぶべき教訓は、迅速に強固な国際協力態勢を築くことの重要性です。 》

ポール・クルーグマン(Paul Robin Krugman)は、世界でも最も影響力のある経済学者の一人で、2008年にノーベル経済学賞を受賞した人物。金融緩和やインフレターゲットを主張する「リフレ派」として知られ、日本では、異次元の金融緩和を軸とするアベノミクスの「理論的支柱」としての役割も担ってきた。

1953年2月28日、ニューヨーク州アルバニーでロシア系ユダヤ人の家庭に生まれる。父方の祖父母はベラルーシのブレストから1922年に米国に移住した。
ニューヨークのジョン・F・ケネディ高校を卒業後、アシモフの科学小説から経済学に興味を覚え、1974年にイェール大学経済学部を優秀な成績で卒業。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)大学院に進学し、経済学者のルディ・ドーンブッシュ(Rudi Dornbusch / 1942~2002)に師事し、1977年に経済学博士号を取得。同年、イェール大学助教授に就任。1979年にマサチューセッツ工科大学(MIT)教授となり、1982年から1983年まで、レーガン政権下のホワイトハウスで経済顧問評議会スタッフとして勤務し、IMF、世銀、EC委員会エコノミストを務めたほか、スタンフォード大学、イェール大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(ロンドン大学)でも教鞭を執った。2000年にプリンストン大学経済学・国際問題担当教授に就任。2005年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの100周年記念講座教授、2015年にプリンストン大学を退職し名誉教授。2015年からはニューヨーク市立大学大学院センターの教授に就任し現職。
金融危機などの国際経済、経済地理学、通貨危機などの研究で著名で、これまでに学術書、教科書、一般書籍など27冊の著書を発表し、また専門誌に200以上の学術論文を掲載。2000年からはニューヨーク・タイムズのコラムを担当し、他にもフォーチュン誌、スレート紙に経済・政治問題についてのコラムを数百本執筆している。
主な受賞歴に、ジョン・ベーツ・クラーク賞(1991年)、アストゥリアス皇太子賞(社会科学部門)(2004年)、トムソン・ロイター引用栄誉賞(2006年)、ノーベル経済学賞(2008年)。

Paul Krugman, 2008. via Wikipedia

■「コロナ禍」「感染症」「パンデミック」に関連する防災格言内の記事
ラリー・ブリリアント(1944~ / アメリカ合衆国の免疫学者・医者・慈善活動家)(2020.05.25 防災格言)
ウイリアム・ハスラー(1868~1931 / 医学者 サンフランシスコ市保健委員会委員長)(2020.06.22 防災格言)
フランシス・ラッセル(1910~1989 / アメリカの伝記作家・歴史家・郷土史家)(2020.04.06 防災格言)
ジャレド・ダイアモンド(1937~ / アメリカの人類生態学者 カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)(2021.01.04 防災格言)
テドロス・アダノム(第8代WHO事務局長)(2020.03.16 防災格言)
李 文亮(中国・武漢市中心医院の眼科医 新型肺炎で最初に警告を発した医師)(2020.02.17 防災格言)西村秀一(1955~ / ウイルス学者・医師 仙台医療センターウイルスセンター長)(2020.06.01 防災格言)
下村海南(下村宏)[2](肺結核について 官僚政治家・歌人)(2020.04.13 防災格言)
大隈重信 (佐賀藩士・早稲田大学創立者)(2010.09.27 防災格言)
渋沢栄一[1] (幕臣・日本資本主義の父)(2013.03.18 防災格言)
渋沢栄一[2](幕臣 官僚・実業家・教育者 日本資本主義の父)(2019.07.15 防災格言)
後藤新平 (政治家)(2010.4.26 防災格言)
寺田寅彦「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい。」(2009.3.2 防災格言)
ガレノス(古代ローマ帝国の医者・哲学者)(2020.02.24 防災格言)
バルダッサーレ・ボナイウティ(フィレンツェの歴史家)(2020.02.10 防災格言)
ジョヴァンニ・ボッカチオ(フィレンツェの詩人・散文作家 「デカメロン」著者)(2010.11.15 防災格言)
村上陽一郎(科学史家 東京大学名誉教授「ペスト大流行」より)(2015.06.29 防災格言)
日沼頼夫(ウイルス学者 京都大学名誉教授 塩野義製薬副社長)(2020.01.27 防災格言)
アルフレッド・W・クロスビー(アメリカの歴史学者)(2014.07.28 防災格言)
マクファーレン・バーネット(オーストラリアの免疫学者 ノーベル生理学・医学賞)(2020.02.03 防災格言)
ポール・クルーグマン(1953~ / アメリカの経済学者・コラムニスト ノーベル経済学賞(2008年))(2021.01.11 防災格言)
川崎富作(小児科医 川崎病を発見)(2009.01.05 防災格言)
北里柴三郎(細菌学者 医学者)(2008.12.15 防災格言)
二木謙三 (内科医・細菌学者)(2016.11.14 防災格言)
竹田美文(医学者 国立感染症研究所長)(2009.05.04 防災格言)
岡部信彦(小児科医 国立感染症研究所感染症情報センター長)(2009.02.23 防災格言)
田尻稲次郎[1](法学者・東京市長・専修大学創立者)(2008.12.22 防災格言)
田尻稲次郎[2](法学者・東京市長・専修大学創立者)(2008.12.29 防災格言)
与謝野晶子(歌人 スペイン風邪についての随筆)(2020.03.23 防災格言)
尾身 茂(医師 名誉WHO西太平洋地域事務局長 自治医科大学名誉教授)(2020.03.02 防災格言)
マーガレット・チャン(第7代WHO事務局長)(2009.05.01 編集長コラム)
ジュリー・ホール(アメリカの医者 WHO中国伝染病担当)(2009.02.02 防災格言)
ジュリー・ガーバーディング(CDC長官)(2009.04.27 防災格言)
厚生労働省 2007(平成19)年 インフルエンザ総合対策標語(2009.10.26 防災格言)
CDC(米国疾病予防管理センター)感染対策ガイドライン(2013.12.30 防災格言)
吉益東洞(1702~1773 / 江戸時代の漢方医 日本近代医学中興の祖)(2020.05.11 防災格言)

 

<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

[このブログのキーワード]
防災格言,格言集,名言集,格言,名言,諺,哲学,思想,人生,癒し,豆知識,防災,災害,火事,震災,地震,備え,備蓄,食糧備蓄,複合災害
非常食・防災グッズ 防災のセレクトショップ SEI SHOP セイショップ
メルマガ登録バナー
E-mail
お名前
※メールアドレスと名前を入力し読者登録ボタンで購読

アーカイブ