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脇坂義堂(江戸の心学者)の著書「五用心慎草(ごようじんつつしみぐさ)」(文化3(1806)年)の火事の名言[今週の防災格言596]

time 2019/05/27

脇坂義堂(江戸の心学者)の著書「五用心慎草(ごようじんつつしみぐさ)」(文化3(1806)年)の火事の名言[今週の防災格言596]

『 火の用心:つゝしめよ ほたるほどなる 田葉故煙草の火 心ゆるせば 早鐘はやがねの声 』

脇坂義堂(生年不詳~1818 / 江戸時代中期・後期の心学者)

格言は著書「五用心慎草(ごようじんつつしみぐさ)」上之巻(文化3(1806)年)より。

曰く―――。

《 このわずかのきせるの火より、いかなる大事にも至るは、火の元なれば、念には念を入れ、その少しき所、そのいまだきたらざるの前を慎しまずして、火の手をあげ、後悔することも、何のかひなし。 ・・・《中略》・・・ 世の中、そのすこしきを慎まずして、その大いなるあやまち、身を亡(ほろぼ)すもの、かぞへがたし。 》


一、火の用心(堪忍大名神を信ずべし)
つつしめよほたるほどなる煙草の火心ゆるせば早鐘の声。
恐るべし、ぐちと短気の胸の火がわれと我身をこがすやきもち。

二、非の用心(家業如来を信ずべし)
よこしまの非をばおそれて正直を守る人をば神ぞ守らん。
恐るべし、非がふりかかる困窮は、己が非道の非がせむるなり。

三、色の火用心(礼節大名神を信ずべし)
恐るべきものは色こそ慎みて手あやまちすな、用心をせよ。
慎みを人の心の根とすれば言葉の花もまことにぞ咲く。

四、邪の非用心(正直大名神を信ずべし)
恐るべし、是を是とせざるよこしまは己が身をやく非にぞありける。
正直の神はやどるぞ頭から、足のさき迄、無理非道すな。

五、欲の火用心(知足ちそく大名神を信ずべし)
恐るべし、欲のほのをは、はげしくて、我身も家も人もやくなり。
足ることをしりからげして身を軽く欲のうずさに福とじゅはあり。


脇坂義堂(わきさか ぎどう)は、江戸時代後期に活躍した心学者。
「心学(しんがく)」とは、江戸時代の庶民道徳を説いた学問で、創唱者の石田梅岩(いしだ ばいがん / 1685~1744)の名をとって「石門心学」と呼ばれた。

京都の町人として二条高倉東に生まれる。生年不詳。名は弘道。通称は青貝屋庄兵衛。
はじめは書店主。石門心学者の手島堵庵(てじま とあん / 1718~1786)・布施松翁(ふせ しょうおう / 1725~1784)らに学び心学を修めた後、諸国に講師として招かれて町人らに遊説した。高槻城下への遊説の際、伊藤仁斎ら古学批判を行ったことから高槻藩主の不興を買い、堵庵より破門される。心学布教の道を断たれたために以降は教訓書などの著述を生業とするが、流浪して江戸へ下ったところ石門心学者・中沢道二(なかざわ どうに / 1725~1803)の知遇を得て、道二に推挙され人足寄場(にんそくよせば)教諭方となった。江戸藩邸で諸藩の藩主や藩士らに進講し、駿府・高岡・金沢など各地を遊説して積極的に心学布教につとめたことから文化14(1817)年に破門を解かれ「石田梅岩先生門人簿」に名が登録された。文化15(1818)年4月3日死去。生涯に167種の数多くの著作を残した。


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<防災格言編集主幹 平井 拝>

 

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