『 安くして危うきを忘れず(安而不忘危)
存して亡ぶるを忘れず(存而不忘亡)
治まりて乱るるを忘れず(治而不忘乱) 』
易経 繋辞下伝より(作者不明 / 孔子(紀元前500年頃)とする説もある)
「安泰な時であっても危機を忘れず、存続している時も亡びる事を忘れず、治まっている時も乱れる事を忘れない(平時に乱を忘れず)」つまり「平和な時でも、万一の時を考え、備えを怠らない事(油断してはいけない)」という意味。以前紹介した平時からの備えの重要性を説いた春秋左氏伝の「安きにありて危うきを思う(居安思危)」の類例とされる中国故事である。
出典は、儒教の聖典のひとつ『易経(えききょう)』の概論『繋辞伝(けいじでん)下』より。易という占いは、紀元前2700年頃の伝説の聖人・伏羲(ふつき)帝が基本となる「八卦」を作り、紀元前1000年頃の周の時代に体系化され完成したとされるもの。
伏羲座像(南宋、馬麟画)by Wiki
■中国古典・故事成語に関連する防災格言内の記事
安きにありて危うきを思う(居安思危)備えあれば憂いなし(有備無患)(2008.11.10 防災格言)
易経 繋辞下伝「安くして危うきを忘れず(安而不忘危)」(2009.11.9 防災格言)
孔子:「人、遠慮なければ、必ず近憂あり(無遠慮、必有近憂)」(2009.1.12 防災格言)
孔子:苛政猛於虎也(苛政は虎より猛なり)(2005.4.13 店長コラム)
天下の
水を
墨子「
蘇軾「安心は是れ薬、更に方無し。」(安心是薬更無方)(2014.05.19 防災格言)
荀子「
安くして危きを忘れざるは、古の炯誡なり(安不忘危、古之炯誡也)(2011.09.05 防災格言)
積善の家には必ず余慶あり(積善之家必有餘慶)、積不善の家には必ず余殃あり(積不善之家必有餘殃)。『易経』坤・文言伝より(2018.10.22 防災格言)
孟子・公孫丑篇上「飢える者は食をなし易く、渇する者は飲をなし易し(飢者易為食、渇者易為飲)」(2019.02.04 防災格言)
孟子・公孫丑篇下「
洪応明「菜根譚」より「
韓非子「
晏嬰「晏子春秋」より「
陳弘謀「願體集」より「君子
王莽(BC 45~AD 23 / 古代中国「新朝」皇帝)の故事成語「酒は百薬の長」(『漢書・食貨志下』より)(2021.12.20 防災格言)
■「古典」「故事」に関連する防災格言内の記事
する事かたきにあらず、よくする事のかたきなり。/ 鎌倉時代の説話集『十訓抄(建長4(1252)年 / 編者未詳)』より(2018.07.02 防災格言)
豊かなるけふ(今日)より、万々一の日の心がけいたすべく候 / 莅戸善政・米沢藩家老『かてもの(寛政12(1800)年)』より(2008.03.17 防災格言)
今の豊かなる日に能能(よくよく)心得させよとの御事に候条、油断すべからざるもの也 / 莅戸善政・米沢藩家老『かてもの(寛政12(1800)年)』より(2011.12.05 防災格言)
■「聖書」に関する防災格言内の記事
旧約聖書『伝道者の書』第1章9節より(2009.11.23 防災格言)
旧約聖書『創世記』41章より(2011.12.26 防災格言)