『 更に今日の命、物食はずは生くべからず。後の千の金更に益なし。 』
『宇治拾遺物語(編者未詳)』巻十五 第一九六話「後の千金の事」より
口語訳「今日の命は、何か食べなければとても生きていけない。あとになって千両の金を得ても無益である。」
遠い先の理想を追わず、眼前の現実を救いなさい、と説いたもの。
『宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)』は、13世紀(承久2(1220)年頃)にまとめられた編者未詳の説話集。「わらしべ長者」「雀の恩返し」「こぶとりじいさん」など全197話の長短編説話が紹介されており、『今昔物語集』と並び日本古典説話集の名作として知られる。
この「後の千金」というお話は、中国故事『荘子』雑篇・外物(二)から引用されたものでもある。
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