『 人のいとなみ、皆愚かなる中に、さしも危うき京中の家を造るとて、宝を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍る。 』
鴨 長明(1155~1216 / 平安時代末期の歌人・随筆家 代表作『方丈記』)
口語訳『人のやることは全て愚かだ。中でも、こんな危険な(大火の続く)都に家を建てるといって、全財産をはたき、心を砕くことは、全く無意味この上もない。』
この京都の大火とは、治承元年(1177年6月3日)の「安元の大火(太郎焼亡)」のことで大極殿をはじめ京都の約3分の1となる20,000戸以上が焼失したもの。
鴨長明は、大火の続く都会に私財をついやし家を建てるのは愚かだと言って自分の住まいは日野山の方丈庵(地震に強いプレハブ)に起居した。
方丈記が書かれた時代は、源平の合戦の頃、武家社会へと価値観が大きく変わり、天変地異が次々と起こる不安な時代であった。下鴨神社の神官の子として将来を約束された鴨長明は、ついにはその座に就くことなく山里の小さな庵に隠棲し、この世の無常を綴った。
若いころに京都で体験した大火、辻風、福原遷都、飢饉、地震という五つの災厄を「世の不思議」として描いている。
■「鎌倉時代」「平安時代」に関連する防災格言内の記事
鴨長明「人のいとなみ、皆愚なる中に、さしも危うき京中の家を造るとて、宝を費やし、心を悩ますことは、すぐれてあぢきなくぞ侍る」(2012.05.28 防災格言)
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