『 事に臨んで恐れ、謀を好んで成すは勇士のする所也。 』
楠木正成(1294〜1336 / 鎌倉時代末期・南北朝時代の武将 正一位)
口語訳『 大事にあたって危険を恐れ、よく智謀をめぐらすことは、勇士のなすべきことである。 』
格言は室町時代の軍記物語(作者不詳)『太平記(南北朝〜室町時代)』巻三より。
中国古典の「論語」述而篇にある「必也臨事而懼、好謀而成者也(必ずや事に臨みて懼(おそ)れ、謀(はかりごと)を好みて成さん者なり)」が出典とも言われている。
楠木正成(くすのき まさしげ)は、皇居前広場に銅像が立てられるほど戦前の道徳教育では忠君愛国の士と称賛される南朝方の英雄。敵方である足利氏(北朝)の視点から描かれた『梅松論(1349年頃)』でも賞賛されるほどの武将でありながら、その出自や前歴はほとんどわかっていない。
河内・和泉を本拠とする悪党(当時の公儀の秩序からはみだした者)の一人で、後醍醐天皇の鎌倉幕府討幕計画に加担し挙兵。幕府の大軍をひきつけ、野伏を駆使したゲリラ戦を行うなど兵法に秀で、足利尊氏、赤松則村、新田義貞、北条高時らと共に討幕を成功に導き、建武の新政(1333年)の立役者として後醍醐天皇の絶大な信任を受けた。1335(建武2)年、足利尊氏らが鎌倉で新政府から離反し、足利軍が京へと迫るとこれを京都から駆逐し、北畠顕家や新田義貞らと一旦は九州へと追ったが、1336(延元元)年、九州で軍勢を整えた足利尊氏・直義らが再び京へ迫ると、敗戦の覚悟で湊川(兵庫県神戸市)で足利軍を迎え撃ち敗死した。
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