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南海トラフ巨大地震と長良川左岸堤防決壊による床上浸水を想定した備え ~ 岐阜県岐阜市のY.N さん(70代男性)の災害対策【わたしの防災対策#03】

time 2022/01/03

南海トラフ巨大地震と長良川左岸堤防決壊による床上浸水を想定した備え ~ 岐阜県岐阜市のY.N さん(70代男性)の災害対策【わたしの防災対策#03】


編集部では読者アンケート調査「教えて!あなたの家の防災対策」(※現在開催中)を実施して、日頃から行っている災害対策についてのご意見を広く募集しました。たくさんのご回答の中から、皆さまにとって有益で参考になるご意見を毎週ピックアップしてご紹介してまいります。3回目は、岐阜市のY.N 様からいただいた対策です。


 

■ 教えて!あなたの家の防災対策 アンケート ■
【回答 No.03】岐阜県岐阜市 Y.N 様(70歳代・男性)

[回答者名]
Y.N 様

[性別 ・ 年齢 ・ 居住地域 ・ 世帯人数]
男性 / 70~79歳代 / 東海地方 / 2人暮らし

[居住環境]
戸建て(2階) 都市部
[想定している災害]
地震 大雨洪水

[アンケート回答]

岐阜県岐阜市、JR岐阜駅から南約1.5kmほど離れた一軒家の無職70代夫婦2人暮らしです。
隣家に長男一家、数百m東に長女一家が居住しています。

南海トラフ地震と長良川左岸決壊による床上浸水を想定しています。

非常食や燃料は、3~4週間分を想定して備蓄していますが、長男長女たちに頼られるとやや不安。
長男長女一家にはせめて米だけはローリングストックせよと伝えてあり実行しているようです。

ハザードマップからは地震の震度はmax.震度6弱と想定されており、3棟ある建物のうち倉庫として使用している築80年ほどの平屋は全面倒壊は無いだろうと思いますが確実に傾くだろうと考えます。
父母が建てた木造2階建ての母屋は、大工さんによれば壁が多いので大丈夫だろうと言われています。
築8年の離れは、重量鉄骨へーベル壁の2階建てで、地震水害の耐性は高いと考えており、近くに避難所がありますが水害も含めて自宅避難場所と考えています。
オーディオルームとしての防音強化をしたので断熱性能も良く、寝室としても使っています。

長良川決壊のハーザードマップは改定のたびに表示区分が変わっており、どういう基準で計算しているか公表されていないので理解しがたいです。
古いver.では0.5m以下の床下浸水地域、最新版では3m以下の地域となっています。

郷土史の記録では200年ほど昔に軒下まで浸水したという記録があります。
60年ほど前に決壊寸前だったという記憶もあります。
あれこれ勘案すると道路面からmax.2m、多分1mくらいの床上浸水だろうと想定しています。

あとは決壊からどのくらいの時間で床上浸水するかが問題ですが、まあ2時間くらいは余裕があるのではと考えています。
鬼怒川決壊時は常総市市街地が1m程度浸水するまでの時間がどうだったか、記録はありますか?

食料は5年保管のレトルトご飯、アルファ化米パック、缶詰、トマトジュース缶など、ミネラルウオーターはローリングストックでペットボトル2リットルが60本程度、井戸ポンプを残してあり日常時は散水などの用途で使っており、非常時はエスティマハイブリッド(トヨタのハイブリッド車)の100V出力で動かして雑用水として使い、飲料水がなくなったら加熱して飲料とすることになるでしょう。

南海トラフ地震を考えると太平洋沿岸が機能不全になり、食料供給が復活するにはかなりの時間がかかると考えます。
備蓄食料も周りから頼られるとあっという間になくなり、自分だけ頑張っても意味が薄れるなー と危惧しています。

 

■ 編集部よりコメント

●まずはじめに、想定される災害についての下調べをきちんとされている点、そして、自宅のハザード(危険)を具体的に想定して過去の事例等を確認されている点、がとても素晴らしいです。
また、近隣にご家族が住まわれているのは、色々と心強く、家族だからこそ助け合うこともできる利点があります。何よりも、3~4週間の備えは凄いことで、恐らく、頼られた場合も考えての備蓄量だと推察します。これも大変良いことだと思います(理由は後述します)。

●AC100Vコンセントが装備されたハイブリッド車は、災害時の給電(電源)に役立ちます。さすがですね。

●さて、濃尾平野は地盤沈下が進む「海抜ゼロメートル地帯」ですので、仰るように水害が心配されます。
特に、低いところへと流れてたまる洪水は、隣近所とのちょっとの高低差(標高差)で事情が大きく変わってきますので、個人ごとに想定しておくことは大切だと思います。
なお、水害リスク想定は、ハザードマップを基本にして、地形や高低差を考慮に入れる必要があると言われますが、Y.N 様の想定でも同じような分析をされているようで、ここも大いに勉強になります。

ご質問もいただきましたので、ここで回答させていただきます。

参考資料
■岐阜市洪水ハザードマップ
https://www.city.gifu.lg.jp/kurashi/bousai/1001359/1001360.html

長良川堤防の決壊は、過去、1959年(昭和34年)9月の伊勢湾台風と、1976年(昭和51年)9月の台風17号に伴う梅雨前線集中豪雨(9.12水害ともいう)、2004年(平成16年)10月の台風23号がよく知られているようです。
台風17号(1976年)と台風23号(2004年)は、調べると何れも長良川右岸堤防の決壊だったので、恐らくですが、長良川では右岸より左岸(岐阜市内中心部)堤防が高くなっている可能性も考えられます。
そうすると、Y.N様の想定の通りで、岐阜市中心部は、溢れた水が家に付くまでには、長良川右岸側に比べて多少の時間的余裕が生まれるかもしれません。ただ、その時間的な余裕が「二時間」であるかは私には分かりませんでした。

千曲川の氾濫

参考資料
■朝日新聞 > 数十分で街が浸水 千曲川決壊、動画で再現 東京理科大(二瓶泰雄教授)シミュレーション動画を作成(2019/12/26)
https://www.asahi.com/articles/ASMDT66JSMDTULBJ00N.html

上記ニュースは、台風19号(2019年10月)をもとにした千曲川(長野市)決壊のシミュレーションですが、堤防から水が溢れて(溢水)から3時間で破堤(決壊)し、堤防から周辺9平方キロメートルの住宅地まで決壊から数十分で浸水(最大深度4メートル)しています。記事をみると川(堤防?)から1.5キロメートル離れた北陸新幹線の車両基地は決壊から30分後に浸水しました。

参考資料
■岐阜県災害アーカイブ > 9月12日豪雨災害(昭和51年)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/6965.html
■岐阜県災害アーカイブ > 伊勢湾台風(昭和34年)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/6930.html
■岐阜県 > 平成16年10月20日台風23号豪雨災害
https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/206230.pdf

●鬼怒川決壊時の常総市(2015年 関東・東北豪雨)の例…
色々と調べたところ、常総市の市街地への当時の浸水経過時間の正確な記録は特に見当たりませんでした。
東北豪雨の際の鬼怒川氾濫では、常総市の堤防が200mにわたり1か所で決壊しましたが、実際には、他にも鬼怒川流域(常総市、結城市、下妻市、筑西市)で溢水(堤防の無いところで水が溢れる)7ヶ所、漏水23ヶ所が発生したので、つまり合計で31ヶ所から水があふれた結果、常総市の1/3となる40平方キロメートルが最大深で4メートル近く浸水した、という水害です。

溢水が始まったのは6時過ぎで、その6時間後の12:50に堤防が決壊し、濁流が一気に流れ、決壊個所から約9キロメートル離れた常総市役所と市中心部では14:00に水が「ひざ下くらい」に15:00頃に「ひざ上」、場所によりいったん水の上昇が止まりますが、その後、支流の新旧八間堀川でも溢水して20:00~21:00頃に市街地域が一気に数メートル浸水したようです。
この時の経過を見ていくと、降雨や溢水などの状況により被害がだいぶん変わってくるので、どのくらいの時間的な猶予があるのとは一概に言えそうにありません。避難指示がでなかった場合でも、とにかく「くるぶし」程度にも水がついたら、できるだけ早くに避難するのが良いのではないかと思います。
水害時に、よく「逃げる間もなく」と表現されますが、諫早豪雨(1957年)の際は諫早市中心部では10分間で1.5メートル増水しました。そして、室戸台風(1934年)の際の大阪湾では、10分間で2.0メートルも水位が上昇(高潮)しました。亡くなった方々は、逃げる間もなく水没した、と言われています。
発災時には、被害の中心にいる人にだけ情報が来ません。だから当事者にとっては、どのタイミングで避難するべきかは、とても難しい問題ですね。基本は早めの避難ですが、最悪のケースやハザードマップの想定される水位が低いのであれば、自宅避難か避難所への避難かは当然変わってくるでしょう。

参考資料
■NHK > 鬼怒川決壊「常総市の住民はどのように避難したのか?」~「関東・東北豪雨」における住民の防災情報認知と避難行動調査~
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/domestic/pdf/20160801_6.pdf
■国土交通省 > 『平成27年9月関東・東北豪雨』に係る洪水被害及び復旧状況等について
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000687586.pdf
■国土交通技術行政の基本政策懇談会資料 > 洪水時の避難情報及び浸水状況が住民の避難行動へ及ぼす影響
https://www.mlit.go.jp/common/001248106.pdf

●近隣から頼られてしまうことについて…
なお私(編集主幹)も近所から「災害時にはよろしく頼みます」と良く声をかけられます。その際には「ご自身で備えましょう」と返事しつつ、我が家には近所に分け与えることを考え余分に備えをしています。何より、災害時に、美味しい食事を作ったら周辺には臭いが漏れますので、隠れて食べることは難しいのです。
弊社のお客様からもこの種の相談は寄せられますが、私の回答としては以下となります。
近隣への分も余分に備えるのが良いと思います。何故ならば、災害時に近所の人たちに乞われた場合、もし支援することを断ると、将来(災害復旧後)近隣住民との間で何らかの軋轢が生じるかもしれません。近所付き合いを思うならば、不本意であっても、ある程度は仕方ないことだと割り切ることも必要です。

 

■ 今回、Y.Nさんから紹介頂いた防災グッズ

越後製菓「備蓄用・保存用米飯 200g 6食(賞味期限は製造から5年)」

・災害用の白米(アルミ包装袋・5年保存)
越後製菓「備蓄用・保存用米飯 200g 6食(賞味期限は製造から5年)」は税込1,296円

URL:https://amzn.to/32fC0TM [amazon.co.jp]

尾西食品 アルファ米12種類全部セット(非常食 5年保存 各味1食×12種類)

・災害用ご飯(アルファ化米・5年保存)
「尾西食品 アルファ米12種類全部セット(非常食 5年保存 各味1食×12種類)」は税込3,409円~4,320円

URL:https://amzn.to/32mXIou [amazon.co.jp]

「機能性表示食品」カゴメ トマトジュース 缶 食塩無添加 190g×30本×(3ケース) 【濃縮トマト還元】

・トマトジュース缶
カゴメ「トマトジュース缶(食塩無添加 190g×30本×(3ケースパック)【濃縮トマト還元】【機能性表示食品(リコピンとGABA)】」は税込5,940 円。賞味期限は製造から270日(9ヶ月)で、だいたい240日前後の製品が市販されているらしいです。

URL:https://amzn.to/33Oc6ab [amazon.co.jp]

クルマは、もしものときの電源になる。トヨタの「防災給電」対応車の特設サイト

・防災給電車(例.トヨタの「防災給電」対応車)
クルマは、もしものときの電源になる。トヨタの「防災給電」対応車の特設サイト。プリウス、プリウスPHVの場合、外部供給できる電力量(満充電・ガソリン満タン時)約40kWh(=約40,000Wh)なので、一般家庭が日常使用する電力量を1日あたり10kWh (家庭での1時間あたりの消費電力400W)として試算した場合には、家の約4.5日分の電力供給が可能。
車に付いているインバーターの能力は1,500W(合計で最大1500ワットの電気製品を同時に動かすことが出来る)。

URL:https://toyota.jp/kyuden/ [トヨタ自動車]

 


 

―――さて、

アンケートは引き続き回答を募集しております。

皆様のご協力をお願いいたします。

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■ 本アンケート調査結果概要・コメント集 ■





































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