防災意識を育てるWEBマガジン「思則有備(しそくゆうび)」

《新型インフルエンザ書評【3冊目】》アルフレッド・W・クロスビー (著), 西村秀一 (翻訳)「史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック 新装版 付「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」」(みすず書房 2009年)

time 2009/01/10

《新型インフルエンザ書評【3冊目】》アルフレッド・W・クロスビー (著), 西村秀一 (翻訳)「史上最悪のインフルエンザ-忘れられたパンデミック 新装版 付「パンデミック・インフルエンザ研究の進歩と新たな憂い」」(みすず書房 2009年)

新型インフルエンザの発生と流行に季節は関係ない。我々は、正しく恐れる必要がある。

概して我々は、死亡率は低いが早晩自分たちが関わることになるはずの現実的な病気より、自分たちがほとんど罹りそうにもない高い死亡率を持つ病気の方にずっと恐怖を抱くものである。(序文より)





史上最悪のインフルエンザ
ー忘れられたパンデミック【新装版】


おススメ度:★★★☆☆

本書は、1918年3月のボストンから始まり、わずか4ヶ月で地球を一周し、その後の1919年春までに世界で4000万人とも言われる犠牲者を出したスパニッシュインフルエンザのアメリカでの記録である。ボストンでの鼻かぜが、再度米国を襲う時(7・8月)、すでにパンデミックは始まっていた。第1次世界大戦の終盤に、この戦争で亡くなるよりもずっと多くの人がインフルエンザで亡くなっていると言うのに、フィラデルフィアでは、市民は戦勝にうかれ、サンフランシスコではマスクを付ける付けないで争いが起こる、ヨーロッパ戦線に向かう船の中では、9月~11月のわずか2ヶ月間で4,000名もの米国兵が、定員オーバーの環境の中で亡くなっている。

一方、米国領サモアでは、インフルエンザの防疫に成功し、アラスカでは壊滅的なダメージを受けている。米国は、このインフルエンザ(1918秋~1919春)で、少なくとも44万にもの犠牲者を出し、その数は2度の大戦とベトナム戦争での犠牲者42万人を優に超えると言うのに、その記憶は失われ、21世紀の今同じ轍を踏もうとしている。

新型インフルエンザの発生と流行に季節は関係ない。我々は、正しく恐れる必要がある。

初出:2009年01月10日

          


















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