
弱毒がゆえに安心しきっている私達の襟を正してくれる書。
著者は、国立感染研究所感染症情報センター主任研究官。パンデミックの感染拡大シミュレーションを作成している。東京八王子での新型インフルエンザ最初の感染者から始まり、徐々に感染者が増えていく様子を地図上に赤い円が拡がって行く動画と言えば、見たことのある方も多いと思う。※新型インフルエンザシミュレーション動画(アニメーションgif画像)
おススメ度:★★★☆☆ |
本著が書かれたのは、WHOでフェーズ4が宣言される直前であり、著者の言うとおり発生前夜の考え方を記した歴史書としての意味が濃い。しかしながら、著者のシミュレーションはパンデミックを改めて思い直す上で尚新しく、弱毒がゆえに安心しきっている私達の襟を正してくれる。基本的な対策は伝染らない事、そして伝染さない事であることに変わりは無い。そのための外出自粛はどの程度必要か? そして効果があるのか? 著者によれば、致死率0.18%が分かれ目となる。パンデミックでの被害を最小化するために、私達が取るべき手段は自明である。今一度、家庭の備蓄を見直さなければならない。