『新型ウィルスは季節性インフルエンザと同じ』では決してない。(本文より)
著者は新型インフルエンザの世界的権威、2009年4月に初めて流行が認められた豚インフルエンザウィルスの今秋冬の流行や、鳥インフルエンザ(H5N1)が忘れられている事へ警鐘を鳴らす。
おススメ度:★★★★☆ |
本書には、インフルエンザウィルスのたんぱく質レベルの構造から、その増殖、感染、変異のメカニズムを解き明かす。
1918年にパンデミックを起こした通称スペインインフルエンザウィルスをリバースジェネティックスにより完全復活させた上でカニクイザルへ感染させる実験では、その想像以上の病原性に驚かされる。ほんのわずかなたんぱく質の変化で、病原性は大きく変わる、そのような病原性を新型ウィルスが獲得するにいたらないと誰が言えるだろうか? インフルエンザを最も良く知っている著者は警告する。
その上で、株が一致してのワクチンの予防効果が70%程度であること、今のところ耐性ウィルスの発現があるものの、タミフルやリレンザ、富山化学のT-705などの新薬も含めた抗インフルエンザ薬が有効である事を記す。
インフルエンザウィルスについて今知りたいことを丁寧に説明した書。